amahikasです。
注記1
この度、MUSIN様からAMP8-EXを提供していただきました。
いつも通り、正直な感想を書きますが、改めてMUSIN様への感謝を伝えたいと思います。
注記2
Miter製のDX220用ケースとDAPケースをMiter社から提供していただきました。こちらも正直な感想を書きたいと思います。
早いもので2019年7月にDX220を購入してから一年が経過しました。ここのところ、CayinのN6ii/E01に関する情報発信が多いのですが、DX220もN6iiと同じ割合で使っています。以前はCayin i5とOPUS #3をメインのDAP(デジタルオーディオプレーヤー)として使ってましたが、2019年から2020年にかけてDX220とN6iiにグレードアップできたと実感しています。
今回はDX220だけでなくAMP8-EXのレビューも兼ねています。DX220用のアンプは付属のAMP1 MKIIとAMP9を併用してきました。しばらくAMP9を使うことが多かったのですが、現在はシングルエンドしかないCayin N6ii/E01との兼ね合いもあってラインアウトとバランス接続もできて使い勝手のいいAMP1 MKIIを使うことが多いです。単純に使い勝手だけじゃなくてAMP1 MKIIは音質的にもよくまとまってるんですよね。
さて、AMP8-EXです。前にDX220、DX200、DX150、AMP7、AMP9、AMP1 MKIIを交えて試聴しました。この時の印象ではAMP7が私には一番合うと思いました。AMP8も何度か聴いていますが、バランス接続に対応しているbeyerdynamic DT 177Xと組み合わせたときに初めていいと感じました。
前置きが長くなりました。
DX220については前回のレビューからさらに気がついた点について書きます。AMP8-EXについては音質を中心にレビューをしていきます。
iBasso DX220
DX220の詳細については公式サイトを参照して下さいませ。
視聴環境
DX220をどのように使っているかを書いておきます。
視聴に使ってる機器
DX220は以下の環境で視聴しています。
- DX220 → ヘッドホンとイヤホン(インイヤーモニター)
- DX220 → YAMAHA NP-S303 → Spark 884A → B&W CDM1NT
- DX220 → M-CR611 → DALI Menuet
DX220は相変わらず主に外で使ってます。秋から春にかけてはDT 1770 PROかDT 177X GOで使うことが多いです。自宅ではスピーカーで音楽を聴くことが多いのでネットワークプレーヤーのNP-S303からSPARKの真空管アンプ経由でスピーカーから音を出したり、M-CR611にライン接続をして聴いています。
アンプモジュールはAMP9を入手してからしばらくAMP9をメインに使っていたのですが、CayinのN6ii/E01を購入した2019年12月から標準のAMP1 MKIIを使うことが増えました。AMP1 MKIIのソリッドな音も好きなのとライン接続の有無が要因です。
各種設定
デジタルフィルターはSlow Roll-Off(Minimum)で落ち着きました。イコライザー類は変わらずすべて無効にしています。GAINはMiddleにするようになりました。ファームウェアは常に最新にしていますが、2019年8月に導入した「firmware add-on by Lurker」を引き続き使っています。前回のレビューで書いたとおり、「firmware add-on by Lurker」を導入すると全体的にレスポンスが向上するのと発熱が少なくなるためです。再生アプリは変わらず、Neutron Music Playerを使っています。
音の感想
AMP1 MKIIとAMP9ともに購入当初と印象は変わりません。今回はAMP8-EXの音について感想を書いていきます。AMP8-EXは100時間以上鳴らしました。バーンイン(エイジング)は十分かと思います。
この記事の試聴にはAMP8-EXはDT 177X GOを4.4mmバランス端子に接続した感想をメインに書いていきます。AKG N5005も4.4mmバランスケーブルを作成してもらったので、たまに感想を書きます。比較にはN6ii/E01とDT 177X GOを使います。
Golden Faders / Fourplay
高域のシンバルの滑らかさ、高域から中域のピアノの響き方、キレのあるベースと微妙なアタック音の違いを聞き分けられるドラムとどの楽器をとってもいいですね。音色もそれぞれに良くて奥行きもあります。開放的でレンジの狭さを感じさせないのもいいです。
N6ii/E01で聴くともう少し低域に量感があり、背景の静けさも上がり、無音部分もしっかりと鳴ります。それとDX220 + AMP8-EXのほうが音は近くに感じます。
Bisso Baba / Bob James
この曲ではDX220 + AMP8-EXも甲乙つけがたいです。特にピアノとアコギの音はDX220 + AMP8-EXが明るく、クリアに聞こえます。一方、N6ii/E01は淡々と鳴らす感じですね。
At The End Of The Day / Les Miserables
各楽器の分離、解像力は申し分なく、オーケストラの情報量もしっかりと伝達してると感じます。これと言って強調するところがなくわりとフラットに鳴らしてますね。しかしこの曲に関しては音場と各楽器の分離はN6ii/E01のほうが上で、全体を俯瞰的に鳴らすのがうまいです。
Flesh and The Power It Holds / Death
音の密度と情報量の多さは問題なく鳴らせてます。メタルらしい迫力や音の厚さも良いのですが、スピード感がもうひとつと言ったところです。音が耳に近いところで鳴るからか少しごちゃついてます。N6ii/E01は淡々と鳴らす印象で迫力や分厚さではDX220 + AMP8-EXに歩がありますが、スピード感はよく表現できてます。
Master of Puppets / Metallica
DX220 + AMP8-EXで聴くと音の線が太くなり、全体的に肉厚になります。その分、スピード感とキレはやや失われます。あまり肉厚な傾向になると個人的には好みの範囲から外れるのですが、この曲の場合は、これくらいの音の太さでも気になりません。むしろ迫力がでていい感じに聴くことが出来ます。N6ii/E01だともう少しカラッと乾いた音になります。解像力と音場についてはそれほど差は感じませんが、3分35秒からのギターソロで静かになる部分では背景の黒さとギターの音が浮かび上がるように聞こえるのはN6ii/E01のほうが得意としています。
Crush / Kelly Sweet
この曲ではAMP8-EXのちょっとした演出が効果を出していてボーカルとベース、アコギがやや前に出てきます。N6ii/E01だとボーカルは同じくらいの位置としてもアコギがもう少し後ろの位置で鳴ります。全体的にAMP8-EXは音が目の前で鳴る生々しさがあるもののN6ii/E01のほうが立体感があり、音の大小だけでなく定位の表現も良いです。
Days of Wonder(Original Mix) / M6
録音状態のいいトランス系ではより背景の黒さや立体感といった点で差が顕著に表れました。この曲だと文句なしにN6ii/E01が良かったです。
The Brain Dance / Animal as Leaders
プログレ、Djent、アンビエントといった要素の入った曲も聴いてみます。雄大な雰囲気の曲で音の大小も大きいので、前の曲と同じように差が出るかなと思いましたが、意外とどっちも良いという結果です。背景の黒さや立体感は相変わらずさがあるんですが、AMP8-EXではこの曲の魅力であるギターが前に出てきて気持ちよく聴くことが出来ます。強すぎる演出は好みから外れるのですがDX220のちょっとした演出は好きなので、この曲ではDX220 + AMP8-EXのちょっとした演出がいい方向に効果を出してくれてます。
AMP1 MKII、AMP9との比較
DX220の標準アンプモジュールのAMP1 MKII、Nutubeを搭載したAMP9とも聞き比べをしました。それぞれに特徴があるので、優劣はつけづらいのですがあえて順番をつけるとしたらAMP9、AMP8-EX、AMP1 MKIIの順番です。
まずAMP1 MKIIはAMP8-EXと比べると全体的にすっきりとした音です。ただし、DX220のクセ(演出、端正な音)などはAMP1 MKIIがもっとも出やすいです。AMP9は独特のアナログっぽさ、線の細さがあり、高域の開放感が最も強いです。逆に低域の量感は最も少ないです。AMP8-EXはDX220のクセが出にくくAMP7やAMP8の良いところを詰めこんだアンプモジュールと感じます。
どのアンプモジュールもダイナミックレンジは広く、高域の天井の低さ、低域の浅さは感じませんし、解像力と音場も大きな違いはありません。ただし、ちょっとした音の出方に差があるため、高域の開放感をより強く感じたのははAMP9、AMP1 MKII、AMP8-EXの順番です。低域の量感はAMP8-EX、AMP1 MKII、AMP9の順番で、中域についても同様です。中域についてはAMP8-EXが特に強めです。
バランス接続についても触れておきます。AMP8-EXはメインで使っているイヤホン(IEM)のAKG N5005とDT 177X GOで使ってます。しかし、シングルエンドに比べてあまりバランス接続の良さや違いは感じていません。DT 177X GOとAMP1 MKIIを組み合わせたときに左右の距離が遠くて、これがバランス接続の特徴のひとつかなと感じたのですが、AMP8-EXとDT 177X GOを組み合わせても中域の密度が高いので左右の距離が遠いとは感じませんでした。
使い勝手
DX220の使い勝手について印象は大きく変わっていないので割愛します。過去に書いた記事を参考にしていただければと思います。
ケース MITER ケース For iBasso DX220
標準ケースが緩んできたので、前に使っていたTPUケースに戻そうかと迷っていたところ、レビューを前提にMITER製のMITER ケース For iBasso DX220を提供してくださるという連絡があったため、引き受けることにしました。
MITER ケース For iBasso DX220は青色で鮮やかな色の標準ケースと比べると落ち着いた感じになっています。質感はいいのですが、標準ケースよりも少し薄目です。
写真からも薄いのがわかるかと思います。耐衝撃性は下がってると思いますが、良い点がふたつあります。まずは画面上部のプルダウンメニューが操作しやすくなった点です。標準ケースとTPUケースは画面上部に干渉するため、プルダウンメニューを引っ張り出すのに苦労しました。
もうひとつはボリュームです。ケースが薄いのでボリュームも変更しやすくなりました。
残念ながらMITERのケースもmicroSDカードスロットは塞がります(笑)
底面は大きめに空いてるのでアクセスがしやすくプラグが干渉することもありません。
耐衝撃性についてはリスクになる可能性がありますが、私のようにプルダウンメニューとボリュームノブで使いづらさを感じている方にはお薦めです。
MITER キャリングケース DAP + Earphone
MITER社から「キャリングケース DAP + Earphone」も提供していただいたので、こちらも紹介します。
少し大きめでがっしりとしたケースになっています。ケースを開くとふたつの収納スペースに分かれています
左側がDAP(デジタルオーディオプレーヤー)側で写真にある通りDAPを立てかけられるようになっています。
右側の収納スペースはさらにふたつに分かれており、イヤホンやイヤーピースを入れることができます。バンドと小物入れが入っていますが、バンドは持ち運ぶ時に開かないようケースそのものを止めておくために使います。
DX220を再生しながらIE 400 PROと接続してみました。DX220は底面に端子があるタイプですが、L字型のプラグであれば問題なく使用できます。
持ち運ぶには大きめなので、私が使う場面はあまりないかなと思っていたんですが、自宅やオフィスでDAPを使うときに便利であることがわかりました。自宅やオフィスでDAPを使う時って無造作に机の上に置いたりしますが、うっかりヘッドホンを装着したまま移動したりするとDAPを引っ張って落としてしまったりするんですよね。自宅でDAPはあまり使わないのですが、最近の自粛期間で2回ほど落としそうになったため、このケースを使うようにしました。強く引っ張ってしまうとケースごと落ちるわけですが、少しは抑止力になります。
まとめ
DX220購入1年後のレビューを書きました。最初に聴いたAMP1 MKIIの音も好みですがアンプモジュールが交換可能となっているだけに飽きないで使っています。今回のようにアンプモジュールをいくつか交換して聴いてもDAP(デジタルオーディオプレーヤー)として基本的な性能が高いと感じます。ダイナミックレンジであったり、解像度、音場の広さはアンプモジュールを交換しても変わらず、音の傾向が変化するくらいです。DACとアンプの役割についてもよく理解が出来ます。DACが伝送する以上の情報量をアンプで出すことは基本的に出来なくて、出そうとするとナチュラルさやクリアさが損なわれて違和感を感じたりすることになります。そういう意味でDX220は基本性能が高く、アンプモジュールによって良い具合に傾向を変化させることの出来る良い製品と思います。
面白いことにDACごと変更ができるCayinのN6iiは好みがはっきりと分かれますが、DX220は好みが分かれることはなく、どのアンプモジュールもそれぞれに良いところがあると感じます。音質はDACだけではなくアンプも含めて決まりますが、DACを変えずにアンプで少し傾向を変えるほうが差は出にくいのかなと感じました。
AMP8-EXについては思いもよらない理由で入手出来ました。待望の4.4mmバランス端子を持つ製品とあって素直に喜んでいます。
ケースはしばらくMITERのケースを使います。文中にも触れたとおり、耐衝撃性についてはやや不安がありますが、プルダウンメニューの操作感が上がるのは大きなメリットです。DAPはスマートフォンと違ってカバンや上着のポケットにしまっておくことが多いので落とすリスクが少ないことを考えると十分かなと思います。
今回は以上です。
以下の記事も合わせて参考にしてください。基本的に古い記事のほうが音についての印象を多めに書いています。
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