密閉型ヘッドホン beyerdynamic DT 177X GOとDT 1770 PROの聞き比べ

DT 1770 PRO

今年に入ってから休日や夜間作業が増えてオーディオ系のイベントになかなか行けないamahikasです。だいぶストレスが溜まってきてますねぇ(笑)
さて、DT 177X GOが到着してから2ヶ月が経ちました。先日、ファーストインプレッションを書きましたが、今回はDT 1770 PROとの聞き比べをしたいと思います。個人的にも177Xと1770がどれくらい違うのかかなり気になっています。

聞き比べ環境

1770とm9XX、177X

1770とm9XX、177X

DT 177X GOは標準ケーブルと標準のイヤーパッドを取り付けました。177Xの標準イヤーパッドはDEKONI製のシープスキンイヤーパッドです。装着感が良く、音漏れも少なくて遮音性も高いことから気に入って使っていたのですが、B&WのP7と同様に耳がかぶれてしまいました。おそらくアレルギーです。そんなわけで最近はYAXIのK240SEを取り付けて使っているんですが、聞き比べをするなら標準がいいだろうということで177Xに標準で付属するDEKONI製のシープスキンイヤーパッドを使います。
1770もケーブル、合皮イヤーパッドともに標準で付属するものを使いました。

再生にはMacBook Proを使いました。再生アプリはAudirvana 3.5.28(3558)で2019年12月13日時点の最新バージョンです。iTunes Integrated ModeではなくAudirvana単体で使っています。バージョンが3に上がってからiTunes Integrated Modeの使い勝手が著しく悪くなったため、最近はAudirvana単体で使うことが多いです。
ヘッドフォンDAC/AMPはGrace Design m9XXを使います。MacBook ProとはUSB接続しています。ヘッドホン端子がふたつあるので聞き比べに最適です。
音源はいつも通りの試聴曲を使います。主にCDから取り込んだAppleロスレス(ALAC)です。iTunesと同じミュージックライブラリをAudirvanaに読み込ませています。
試聴に使う曲や聴きどころについてはこちらを参考にしてくださいませ。

オーディオの試聴によく使う曲と聴きどころ(2017年2月版)
amahikasです。 昨年のうちに更新しておきたかったのですが、インフルエンザにかかってしまって更新ができませんでした。 今回は私がオーディオの試聴に使う曲をと聴きどころを紹介します。 ちなみに前回の更新は2015年10月でした。 ...

聞き比べ結果

それでは早速聞き比べてみましょう。

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Rio Rush / Fourplay

ちゃんと聞き比べをしてみると結構違いますね。まず、177Xのほうが中域と低域に量感があって帯域バランスは中低域寄りです。1770のほうがフラットに近くて高域も目立ちますし、開放感もあります。177Xを聴いた直後だと1770の高域は刺激的に聞こえますね。
音質はほぼ同じで全体的に乾いた音質です。飾り気がなく気持ちよく聞かせるというよりも正確に鳴らすのはどちらも一緒です。ただし、177Xは中域と低域に厚みがあるため、1770より聴きやすいですし、リラックスして気持ちよく聴くのに適しています。

Bisso Baba / Bob James

冒頭のベース音を聞くとどちらも下までしっかりと出ているのがわかります。しかし177Xは低域がかなり目立つのでシンバルとピアノの音が控えめに聞こえます。1770のほうがタイトに聞こえるのでこの曲に関しては1770で聴いたほうが好きです。
中域に厚みがあるためか、ボーカルは177Xのほうが前に出てきます。177Xは低域がどっしりとしているので音場も広く感じますね。空間が広がったというよりもやや間延びしていますが、余裕を持って鳴らしてます。

At The End Of The Day / Les Miserables

冒頭のパーカッションと歓声ですが、177Xで聴いた直後に1770で聴くと1770の高域が人工的且つ刺激的と感じるくらい違いますね。ここは結構好みが分かれるところだと思いますが、177Xのほうがナチュラルに聞こえます。1770は開放的で良いのですが、高域が出すぎかもしれません。
177Xでは低い弦楽器の響き方がいいものの女声コーラスは少し埋もれてしまいます。迫力はありますが、オーケストラ全体を聞き分けるのは1770のほうが適してますね。ただ、ゆったりと気持ちよく聴くには177Xが向いてます。

Flesh and The Power It Holds / Death

この曲もこれまでと同じような違いを聴きとることができます。音量を上げていくと1770は高域が少し聴きづらくなりますね。長時間の視聴は厳しい感じです。逆に177Xは長時間聴いていられる音ですが、低域の厚みは少し疲れます。
ベースとバスドラの音にキレがある1770と違って、177Xは広い空間の中で細かい音を聴かせてくれます。バスドラの風圧も感じ取ることができるくらいで低域の表現力は177Xのほうが高いと感じました。
スピード感はどちらもよく表現できていて優劣はありませんが、迫力は177Xのほうが上です。中間部のギターソロは1770のほうが解像力も高く、ひとつひとつの音を聞き分けやすいです。

Master of Puppets / Metallica

この曲をどのように聴きたいかにもよりますけど、迫力を優先する場合は177Xのほうが合います。1770だと音源の粗も聞こえますし、177Xと聞き比べてしまうと中域に物足りなさを感じます。177Xだとギター、ベース、ドラムが一体となってたたみかけてくるように聞こえますが、1770ではあくまでも冷静に分析的に聞こえます。
1770は20帖くらいのスタジオで聴いてる感じならば177Xはライブハウスで聴いてる感じです。

Crush / Kelly Sweet

この曲では177Xのほうがベース音が目立つ以外は大きな違いは感じませんでした。どちらも音源通りにボーカルが浮かび上がってくる感じで聴くことができますし、バックで流れるアコギが繊細で細かくていいです。中間部でのシンバル連打はどちらも余裕を持って滑らかに金属的な音を聴かせてくれます。1770のほうが開放的でシンバルも少し目立って聞こえます。

Rangers / A Fine Frenzy

この曲では帯域バランスの違いを感じることができます。シンバル音は1770のほうが目立ち、177Xはベースが目立ちます。1770のベースはキレ重視で、177Xはフワッと広がる感覚もあります。ボーカルは177Xのほうがやや前に出てくる傾向にありますが、違和感はありません。

Days of Wonder(Original Mix) / M6

これまでと基本的に同じ違いを感じることができます。バスドラの音でいうと1770はキック音の刺激が強くて、真下に音がドンッと鳴ります。177Xは少しフワッと広がるように鳴ります。低域の音の広がり方は177Xのほうが上です。1770は高域の方向に音が広がっていきます。

GBFISYSIH / GoGo Penguin

静かで音の数が少ない曲ですが、ホワイトノイズは177Xのほうが拾いやすいです。主となるピアノはどちらもさほど変わりませんが、1770のほうがシンバルとベースの音が生々しくて細かな演奏がよくわかります。177Xではベース音に迫力があって音場も広く感じるんですが、細かな音は少し聞き取りづらくなってます。

Prophecy / Their Dogs were Astronauts

1770のほうがギターリフの歯切れが良くシンバル音もソフトタッチとハードヒットの違いがよく出ています。177Xはバスドラとスネア、タムの表現力が高いです。1770は高域の方向に向かって音場が広がることによって開放的に感じますが、177Xは逆で、低域の方向に音場が広がります。

まとめ

1770と177X

日頃、1770と177Xを使っていてあまり音の違いを感じていなかったんですが、聞き比べてみるとそれなりに違いがあることがわかりました。
基本的な音質は変わらないのですが、帯域バランスが異なります。1770のほうが高域寄りで177Xが低域寄りです。高域は1770のほうが開放的で天井が高く感じますが、177Xも十分に上まで出ているので窮屈とは感じません。低域についても同じで、177Xのほうが量感は多いのですが、1770もしっかりと下まで出ています。あくまでも量感の違いですね。
どちらも元気で明るい音というわけではなく、落ち着いて正確に聴かせるタイプです。ただ、177Xは低域に量感があって高域がやや控えめになるため、全体的に聴きやすく感じます。実際に聞き比べてみると1770の高域は刺激が強いと感じる曲と177Xだと低音が強く過ぎると感じる曲がありました。なかなか1台でちょうど良い塩梅というのは難しいものだと改めて思い知りました。
そんなわけで1770と177Xを聞き比べてみて感じた聴感上の違いは帯域バランスのみという結論です。1770だと高域の刺激が強すぎるとか、低域が物足りないという方に177Xはちょうどいいと思います。バランス接続ができるようになっているのも強みでいろんな楽しみ方ができると思います。1990も1770と同じような傾向にあるので199Xの販売を望む声が大きいのもわかる気がします。

DT 177X GOは以下から購入することができます。

Massdrop x Beyerdynamic DT 177X GO Headphones | Closed-Back Audiophile Headphones | Drop
A collaboration with world-renowned headphone manufacturer Beyerdynamic, the DT 177X GO has the kind of German-made quality you can see, hear, and feel.

当初は早期予約者だけの特典だったのですが、最近は380米ドルが当たり前になってますね。

個人的にはどっちも好きですが、ひとつだけ選べと言われたら1770を選びます。やっぱり1770のバランスが私にはちょうど良いです。しかし177Xを買って後悔しているわけでもありません。予備に1770をもう一台買おうかと思っていたくらいなので、帯域のバランスが少し異なる177Xは1770をもう一台買うよりも良かったと思っています。バランス接続にこだわるわけではありませんが、選択肢があるのは良いことです。それと177Xは録音状態が良くない音源もそれなりに聴かせてくれるがメリットです。
バランス接続と言えば、私も177X用のバランスケーブルをE4UA様に製作していただきました。177Xは1770と違って4pin miniXLRを採用しているため、市販されているケーブルがあまりないのでカスタムで製作してもらうことにしました。ケーブルはベルデンの1804Aです。最近は1770とAKG K275でベルデンの88760を使うのがお気に入りなので、比較的88760に音が近くて取り回しも良い1804Aを選びました。このケーブルでの感想は後日記事にしたいと思います。
E4UA様のサイトは以下です。

E4UA – The Re-cable & Customize ヘッドホン・イヤホン他ケーブル、電子工作製作請け負います。

今回は以上です。
以下の記事も参考にしてみてください。

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コメント

  1. […] DT 1770 PROは音光堂作製のベルデン88760をケーブルとして使っています。DT 1990 PROはORB Clear forceを、DT 177X GOはE4UA作製のベルデン1804Aのケーブルを接続しています。それぞれ個人的にもっとも好きなケーブルと組み合わせています。DT 1770 PROとDT 1990 PROは3.5mmのシングルエンド接続、DT 177X GOは4.4mmバランス接続で聞いています。DX220 MAXの設定ですが、ゲインはHIGH、デジタルフィルターはSlow Roll-Off(Linear)です。イコライザ類はいつも通りすべて無効にしてあります。再生アプリにはNeutron Music Playerを使用しました。念のため、Wi-FiとBluetoothも無効にしました。 […]

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