じっくりと試聴 Cayin N6ii DAP/E02 レビュー

Cayin N6ii

amahikasです。

Cayin N6ii用の新しいオーディオマザーボード E02が発売されました。今回もコペックジャパン様にお借りすることができたので感想を書いていきたいと思います。

Cayin N6ii DAP

Cayin N6iiについては以前にも紹介をしたので、以下の記事を参考にしてもらえればと思います。

Cayin N6ii レビュー前編

Cayin N6ii レビュー後編

Audio Motherboard E02

N6ii/E02

E02はESS社のES9038Q2M DACをふたつ積んだ第4弾のオーディオマザーボードです。私自身もN6ii用のオーディオマザーボードをじっくりと聴くのは四つ目となりますが、今のところ、E01、T01、A01の順番で気に入ってE01のみを所有しています。
E02はE01と同じくアナログアンプ部にディスクリートアンプを採用しています。T01とA01とは違ってE01のバランス版と言われる所以です。E01とE02の違いですが、E01はES9038PROをひとつ搭載し、シングルエンド端子しかありません。E02はES9038Q2M DACをふたつ搭載し、4.4mmのバランス端子しかありません。E02のバランス端子はLine Outにも対応していてE01よりも優位な点と言えますが、E01で非常に気に入っているClass Aモードでの動作はE02にありません。E02はClass ABのみで動作します。

E02

E02のパッケージにはドライバと予備のネジ、端子部を保護するゴムカバー、ステッカーが付属します。価格はN6iiとのセットで税込約143,900円、単体だと税込み約43,000円です。ほぼE01と同じ価格となっています。

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試聴環境

今回は以下の環境で試聴をしました。

試聴に使った機器

以下の機器を試聴に使いました。

主に外で使用をしたのでメインで使ったのはN5005です。N5005は4.4mmバランス接続のできるケーブルをTwitterで懇意にしているこうすけさんに作ってもらったのとイヤホンを使う時期なので活躍してもらいました。バランス接続のできる唯一のヘッドホン177X GOも使いたかったのですが、あいにくケーブルを破損してしまい修理中です。

ゲインはLow、Mid、Highから選択できますが、Midで聴きました。イコライザ類はいつも通り、すべて無効にしてあります。再生アプリにはNeutron Music Playerを使用しました。念のため、Wi-FiとBluetoothも無効にしました。

デジタルフィルターの設定

デジタルフィルタは以下から選択することができます。無効という設定はありません。

  • Fast Roll-Off,Minimum Phase
  • Slow Roll-off,Linear Phase
  • Fast Roll-off,Linear Phase
  • Brickwall
  • Hybrid
  • Apodizing
  • Slow Roll-Off,Minimum Phase

デジタルフィルタは「Fast Roll-Off,Minimum Phase」で視聴しました。

試聴曲

音源は主にCDから取り込んだAppleロスレス(ALAC)です。
試聴に使う曲や聴きどころについてはこちらを参考にしてくださいませ。

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音の感想

左がN6ii/E02、右がDX220

それでは音の感想を書いていきます。ここでの感想はN6ii/E02とN5005での感想です。手元にちょうどiBassoのAMP8-EXがあるので、DX220とAMP8-EXとの比較も書いていきます。もちろん、N6ii/E01との違いも書いていきます。N6ii/E01で聴くときはddHiFi のDJ44Cという4.4 to 3.5mm変換アダプタを使用しています。

N6ii/E02と変換アダプタ

先日、Cayinからも同様の変換アダプタが発売されたんですが、一足遅かったです(笑)

Cayin PH-35X|3.5mm TRS to 4.4mm TRRRS変換アダプタ | kopek|
Cayin PH-35Xは高品質素材を採用し、最良の音を目指して開発した3.5mm TRS to 4.4mm TRRRS変換アダプタです。

Golden Faders / Fourplay

非常に良いです。高域のシンバルは非常に滑らかで開放的です。窮屈さをまったく感じません。ピアノの音も粒が立っていてきれいに響きます。余韻はさほど強く残るほうではなく、キレのほうが重視されているように感じます。中域の低いところから低域はE01に比べるとやや量感が少なめになります。背景の静けさについてはE01のほうが優秀です。
DX220 + AMP8-EXと比べるとE02のほうが音源に素直な音で、DX220 + AMP8-EXは端正な音になります。この違いはN6ii/E01とDX220 + AMP1 MKIIをシングルエンドで感じるものと同じで、アンプ部分を交換してもN6ii、DX220の特徴はそのままと思います。

Bisso Baba / Bob James

落ち着いた上品な音を聴かせてくれます。この曲でもピアノの音の響き方がいいと感じました。必要以上に余韻を残さずに着色のない音が良いですね。低域についてはE01よりも量感が少なめですが、不足するレベルではありません。また、解像力が損なわれてるとも感じません。大きく違うのは背景の静けさです。E01をClass ABで聴くと違いはありませんが、E01をClass Aで聴くと違いがわかります。全体的な音の深さ、立体的な表現力もE01のほうがいいです。
DX220 + AMP8-EXとの比較では前の曲と異なる違いを見いだすことはできませんでした。

At The End Of The Day / Les Miserables

会場の広さを表現する音場の広さ、スピード感、情報量の多いオーケストラの演奏、どれをとっても申し分のない鳴らし方をしてくれます。着色もほとんどなく音源に対して素直です。全体的に文句なしですが、特に良かったのはクラッシュシンバルとドラムの音です。非常に聞き分けしやすいですし生々しい音がします。時として不快に聞こえる破裂音なんかも実際に会場で聴いてるように聞こえます。DX220 + AMP8-EXだとこういうちょっとした不快とも受け取れる音が丸められて聞こえてきません。ダイナミックレンジと音場の広さ、解像力で大きな性能差はありませんが、音作りの違いは感じます。

Flesh and The Power It Holds / Death

メタル系も聴いてみましょう。この曲ではスピード感がよく表現されています。音の立ち上がりと消え方の両方が優秀でキレ味があります。必要以上にウォームにならず、ドライな音を聴かせてくれるのも好印象でディストーションが強めにかかったギターの音も上品になりすぎず、気持ちがいいです。シンバルやドラムの音がタイトで良いのは前の曲と同じです。

Master of Puppets / Metallica

この曲もドライな傾向にあっていいですね。中域が必要以上に主張せずにフラットに近いのも好印象です。おかげでこの曲の迫力を損なうことなくスピード感や音の隙間がよく表現されています。音場については奥行きよりも左右の広がりがあるように感じました。N6ii/E01 Class Aと比べると音の傾向はどちらもドライな傾向にあってよく似ています。E01のほうが奥行きがあるのとドラムなどのアタック音が強いのが違いです。E02のドラムのアタック音は悪くいうと淡泊なんですが、逆に言うと全体的にすっきりとした聴感になるのはメリットです。どっちが良い悪いではなく好みの範囲の違いと思います。

Crush / Kelly Sweet

ボーカルの表現力は非常に高く、生々しさもあります。バックで流れるアコギが少し目立ちすぎですが、キレがあって心地良いです。ベースも膨らまずにタイトでキレのある音になっています。中間部でシンバルを多用するパートも実に滑らかな音です。
N6ii/E01のClass Aと比較すると背景の静かさと奥行きに違いを感じます。E01の奥行き方向の音場の広さで好きなのは音を伸ばして音場を広げるのではなく、単純に音場が広いことから音が含まれない空間が目立ち、結果的に背景の静かさが目立つことなんですよね。存在する音と存在しない音の違いを表現するのが非常にうまくて、音と音の隙間に変に音を鳴らさないのがメリットと感じています。
DX220 + AMP8-EXと比べるとボーカルの瑞々しさや生っぽさはAMP8-EXのほうが上です。多少の演出は感じますが、DX220は中域の表現力が高いですね。逆に低域は少し緩めでタイトさやキレはN6ii/E02のほうが好みでした。

Days of Wonder(Original Mix) / M6

トランス系の曲も聴いてみます。情報量が多くてもひとつひとつの音をちゃんと拾ってますね。低域がもう少し下まで出て欲しいところです。全体的に高域のほうが目立ちます。2分35秒あたりから低域に効果音が流れるんですが、ちょっとゆがみます。E01とDX220 + AMP8-EXだと同じ部分は素直にフワッと広がります。

Near the End / Mat Zo

もう1曲トランス系を聴いてみます。重低音に注目をして聴いてみましたが、非常に低い音だと不自然に膨らんでゆがんだ音になりますね。トランスに使われるような電子的な重低音はちょっと苦手にてしてると感じます。

Prophecy / Their Dogs were Astronauts

この曲は申し分ないです。ギターのキレや歪み、ドラムのアタック音、シンバルの滑らかさとこれまで聴いてきたように高い表現力で聴かせてくれます。E01と比べるとこれまでと同じような違いが出ます。E01のほうが音場が広く、暗闇からフワッと音が出てくる感覚が強いです。

The Brain Dance / Animal as Leaders

この曲も非常に良いですね。電子的な重低音は苦手と感じましたが、この手のジャンルの重低音だと問題なく鳴らしてくれます。下のほうで雄大に響く低い弦の音がとても気持ちいいです。逆にスネアとギターの音はキレがあります。ゆったりとした音源ではあるんですが、タイトに切れ味鋭く聴かせるところはしっかりと心得てると感じます。シンバルも滑らかで良いです。

使い勝手

相変わらず外で使う機会は少なかったのですが、たまの通勤時や近所を散歩するときに使いました。N6iiを購入したのは冬だったんですが、この時期に外で使うとさすがに以前よりも発熱してると感じますね。

音量

N6ii/E02とN5005の組合せで54から66で聴きました。N6ii/E01だと60から70で聴いたのでE02のほうが出力が少し強いです。ちなみに両方ともゲインはミドルです。

発熱とバッテリー

発熱は体感だとE01よりも少し熱いです。N6iiにインストールしてあるAndroidアプリのCPU Monitorで計測しましたが、42から43度まで上がります。
バッテリーの持ちについては連続再生で計測しました。約8時間の連続再生ができたという結果です。
今回の聞き比べで数曲おきにE01とE02を差し替えましたが、E01も42から43度まで上がったので発熱についてはE01と同等といって良いと思います。

まとめ

E01と比べると基本的な性能差を感じたのが正直なところですが、E02はE01をさらにすっきりとさせた傾向にあって意外でした。これは私がE02を聴く前にE01をバランス化し、さほど音の違いはないのかなと勝手に予想していたからなんですが、良くも悪くも予想と違う結果になりました。
N5005の広いダイナミックレンジはE01、E02どちらでも活かされますが、E01のほうが中域と低域の量感が多く、低域も下までよく出ています。高域については違いは感じませんでしたし、解像力や各楽器の分離においても違いは感じませんでした。E02の特徴はすっきりとした聴感だと感じました。特にメタル系の音源を聴くと音の立ち上がりが速く、余韻も短めでスピード感がより強く出ました。他のジャンルではハードコアパンクなんかとも相性が良かったです。Charged G.B.H.というイギリスのバンドが昔から好きなのですが、この手の音楽だと実に気持ちのいいリズムを聴かせてくれます。
一方ではフュージョンやプログレ系といった比較的、音の隙間が多く、録音状態もいい音源ではE01の背景の静けさや奥行き、音の深みが際立ちました。
N6ii用のオーディオマザーボードを試聴するのは四つ目ですが、E01のClass Aは個人的に衝撃が強く、やはり頭ひとつ抜けていると今回も感じました。E02とT01は若干、音の傾向が違うものの個人的にはどちらも甲乙つけがたいです。しかし買うとなればシングルエンド、バランス、ラインアウトの三つの端子が独立しているT01でしょう。

DX220 + AMP8-EXとは音の傾向が違うので単純に比較できませんが、音源に素直ですっきりとした聴感が特徴のE02に対して、DX220 + AMP8-EXは音の先端を丸めて聴きやすくしてるのが大きな違いと感じました。低域についてはDX220 + AMP8-EXのほうが下までしっかりと出てています。高域はE02のほうが素直ですが、開放感についてはどちらも甲乙つけがたいです。中域はE02が素直で表現力が高いです。DX220 + AMP8-EXは良くも悪くも音源の良さを強調するところがあります。

それにしてもDT 1770X GO用のバランスケーブルを破損してしまったのは大失敗でした。177XとE02の組合せでも聴いてみたかったのですが、これは別の機会の楽しみにおいておきます。

今回は以上です。
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