amahikasです。
M6 Proのレビューを書いたばかりですが、iBassoの代理店のMUSIN様からDX160 ver.2020が送られてきました。既発のDX160のレビューは2019年10月に書きましたが、せっかくver.2020を聴くなら初代DX160とも聞き比べたいと思い、無理を言って二台送ってもらいました。
この記事ではver.2020になって変わった点と既発のDX160との音の違いについて書いていきます。
iBasso DX160 ver.2020
DX160 ver.2020の基本的な仕様について簡単におさらいしておきます。2020年5月発売で、価格は4万円弱です。iBasso社にはDX150とDX120というモデルもありましたが、DX160 ver.2020はDX120のAndroid OS版と捉えています。DX120はMango OSのみで動作するモデルですすが、DX160 ver.2020にはMangoOSモードがなくAndroidOSで動作します。ただ、DX220やDX150のようにアンプモジュールを交換する仕組みもないため、DX120に近い立ち位置の製品と思っていいかと思います。
採用されているDACはCS43198でデュアル構成です。CS43198は他ではHiBy R5、OPUS #1S、SR15などにも採用されています。OSはAndroid 8.1を採用で好みの再生アプリも使えますが、Mango Playerが標準となっています。
DX160 ver.2020の詳細については公式サイトを参考にしてくださいませ。
DX160 ver.2020とDX160(2019年発売モデル)の3つの変更点
既発のDX160は2019年10月に日本で発売されましたが、液晶パネルの調達ができなくなったため、しばらくは生産を中止し、今月ようやくver.2020として販売を再開しました。
変更点は以下の三つです。
1. 新しくなったバッファチップにより、更に高速な信号変換と帯域幅の増加を実現 -より安定した電流出力と優れたリスニング体験をもたらします
2. CTIA規格ジャックを採用 -3.5mm 4極プラグの機器を接続した場合でも正常な音声出力が可能です
3. JDI(ジャパンディスプレイ)社製 1080P全面液晶を採用
※これらの変更により、既発の『DX160』との間で音響特性数値に変化が出ることはございません。消費電力については新しいバッファ回路の影響により増加しており、最大連続再生時間は13時間から12時間と減少しています。
変更点はMUSIN社のサイトから引用しました。既発のDX160と比べて「音響特性数値に変化」はないと明記されています。
試聴環境
いつもの通り、試聴環境と試聴曲から紹介していきます。
試聴に使った機器
以下の機器を試聴に使いました。
- DX160 ver.2020 → DT 1770 PRO
- DX160 ver.2020 → IE 400 PRO
- DX160 ver.2020 → N5005
外出がなかなかできないので近所を散歩する時に使用しました。暑くなってきたので外ではIE 400 PROを、室内ではDT 1770 PROをメインで使いました。N5005は4.4mmバランス端子を確認するのに使っています。
使用したアプリは標準のMango Playerです。今回はNeutron Music PlayerをインストールせずにDX160 ver.2020と既発のDX160ともにMango Playerを使いました。
DX160 ver.2020は150時間以上バーンイン(エイジング)をしました。
各種設定
DX160 ver.2020は4つのデジタルフィルターを選択することができます。既発のDX160と「Slow Roll Off」で試聴をしました。GAINはLOWとHIGHから選択でき、HIGHにしてあります。最大音量は100です。
試聴曲
音源は主にCDから取り込んだAppleロスレス(ALAC)です。
試聴に使う曲や聴きどころについてはこちらを参考にしてくださいませ。
音の感想
私がメインで使用している密閉型ヘッドホンのDT 1770 PROで聴いた感想を中心に書いていきます。比較対象は既発のDX160です。先日購入したイヤホン(インイヤーモニター)IE 400 PROは既発のDX160と組み合わせて聴いたことが無いので、IE 400 PROの感想も書いていきます。
Bisso Baba / Bob James
全体的に落ち着いた音を聴かせてくれます。中域から低域にかけては量感があり、ウォームで聴きやすい音です。分析的に聴くよりも気持ちよく聴くのに適してます。高域についてはやや粗いところがあってピアノの余韻が淡泊なのとシンバルが人工的になるところがあります。
既発のDX160と比べると違いはほとんど感じられません。
IE 400 PROだと低域の量感が多くなりすぎてややブーミーな傾向になります。高域は1770ほどではありませんが、やはり細かいところで滑らかさが不足すると感じます。
Golden Faders / Fourplay
“Bisso Baba”よりも録音状態がいいので印象は良いです。高域の上方向への広がり方は気持ちがいいです。滑らかさが足りないとは感じますが、この曲だと違和感はないです。低域はウォームさの中にキレも適度にあって好きな音です。ベースラインとドラムのタムが気持ち良く鳴ります。
この曲も既発のDX160との違いは感じられませんでした。今のところメーカーが言うように音質的な違いはないですね。
IE 400 PROとの相性は”Bisso Baba”よりもこの曲のほうが良かったです。
At The End Of The Day / Les Miserables
情報量の多いこの手曲でも解像力はしっかりとしていて各楽器がよく分離されてるんですよね。オーケストラの音も申し分なく表現できてますし、音場の広さも十分です。
既発のDX160も同じ印象で、音質的な変化は感じられません。
Flesh and The Power It Holds / Death
この曲も印象は良いです。スピード感と迫力は表現できてます。低域についてはもう少し下まで出ると良いなと感じますが、価格を考えれば十分だと思います。むしろあまり低域が目立ちすぎないので聴きやすいというメリットがあります。それとギターやドラム、ボーカルが目立ちやすくなります。
この曲も既発のDX160と変わりはありませんでした。
Crush / Kelly Sweet
この曲も全体的に不満はありません。音源の意図通りにボーカルが前に出てきてますし、ベースもウォームながらも適度なキレもあります。バックで流れるアコギに関してはもう少し滑らかさが欲しいところです。
IE 400 PROで聴くと全体的なバランスが良くなりますね。低域が少し強調されることにより、印象的なベース音が目立ちます。ボーカルについては変わりませんが、高域がやや大人しめになるので粗も目立たなくなります。
Near the End / Mat Zo
トランス系も聴いてみました。低域が下まで出てないのと、高域の開放感が足りないかなと思います。トランス系に限らず、最近の電子系のジャンルはかなり音域が広く、奥行きもある音作りをするのでこの手の音楽には合わないかなと思います。
この曲は中域と低域の量感が多いIE 400 PROのほうが良かったです。低域の下が出ないことに変わりはないのですが、量感が増すだけで聴感は変わります。
Prophecy / Their Dogs were Astronauts
悪くないです。低域はもう少し下まで出て欲しいのと、高域は滑らかさが欲しいところですが、解像度は高くて各楽器を聞き取りやすいです。必要以上に元気に明るい音ではなく曲の持つ落ち着いた雰囲気も表現できてます。この曲ではギターの歪んだ音と明るいトーンの表現、ドラムのキレが気持ちいいです。
Doom Mantia / Electric Wizzard
この曲ももう少し低いところまで低音が出て欲しいと思いますが、その他はよく鳴らせてます。特に1770で聞くとベースとギターのうねるような低音がよく表現されています。あまり環境が良くないとギターのリフがつぶれてしまって聞きづらくなるんですが、DX160は問題ないですね。
音量
DT 1770 PROだと65から76、IE 400 PROだと43から50前後で聴きました。このサイズと価格にしては出力が強くて好印象です。
DX160 ver.2020のデザイン
写真でデザインを見ていきましょう。
DX160 ver.2020と既発のDX160を並べてみました。液晶ディスプレイが変更になりましたが、大きな変化は感じません。写真では左のver.2020の文字が白くなってますが、実機を比べると大きな差はないです。個人的にはどちらもDAP(デジタルオーディオプレーヤー)として十分な品質と思います。
DX160 ver.2020の写真です。既発のDX160と同様に小さくてスマートなデザインです。
既発のDX160ともう少し比較してみました。ご覧の通り、変更点はありまえん。
DX220も入れて撮影しました。DX220でかいですね(笑)
まとめ
DX160 ver.2020とDX160(2019年発売モデル)で音に違いがあるかどうかを聞き比べてみましたが、違いは感じられませんでした。液晶ディスプレイも大きな違いは感じません。よって、2019年発売モデルが欲しかった方は迷わずDX160 ver.2020を購入してOKかと思います。
今回は以上です。
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