春のヘッドフォン祭2017のレポートその4はMitchell and Johnsonのヘッドホンです。
この記事で春のヘッドフォン祭2017のレポートはおしまいです。
最後はイギリスのMitchell and Johnsonというメーカーのヘッドホンの感想を書きます。
ヘッドホンは密閉型、開放型ともにDT 1770 PRO、DT 1990 PRO、99 Classicsでおおむね満足していますが、新しい製品が出るとなれば聴いてみたくなります。
Mitchell and Johnsonはイギリスと言っても2012年に創設された比較的新しいメーカーです。アンプやCDプレーヤーを先に発売してヘッドホンは2017年から発売しているそうです。
静電型ドライバーを搭載しているのが特徴となっています。
詳細な情報については公式サイトを参考にしてください。
試聴環境
試聴環境を紹介しておきます。
各ヘッドホンはメインで使っているDAP(デジタルオーディオプレーヤー)のCayin i5 DAPに直接接続をして聴きました。
音源は主にCDから取り込んだAppleロスレス(ALAC)です。
試聴に使う曲や聴きどころについてはこちらを参考にしてくださいませ。
それでは試聴結果にいきたいと思います。
GL2
GL2は約3.7万円の密閉型ヘッドホンでどちらかというとモバイル用途を意識してるとのことです。
At The End Of The Day / Les Misérables
妙なクセはなく音源に対して素直な音に感じます。
ウォームでも硬質でもなく中庸な音に仕上がっています。
高域の量が少なく開放感も乏しいのでこもった印象を受けます。
中域は必要十分な量ですが、低域はあまり沈み込まないです。
縦のレンジは狭いものの、奥行きと左右は広めでオーケストラの雰囲気は出てます。
Rio Rush / Fourplay
曲の雰囲気は出ていますが、この曲も低音域の沈み込みが足りないと感じます。
解像力はこの価格にしては標準的だと思います。すごく高いわけではありませんが、その分全体的に聴きやすいです。
この手の音楽をまったり聴くには良い感じですね。
Master of Puppets / Metallica
この曲は迫力が表現できてなくてダメでした。
スピード感の表現力や、厚みを出すことは苦手と感じます。
Rock the Blues Away / AC/DC
もう1曲ハードロックを聴いてみましたが、この曲もダメでした。
迫力が表現できてなくてスカスカな音になっています。
GL2のまとめ
音量は54から60で聴きました。ちょっと厳しめに書きましたが正直な感想です。
高域と低域の量がもっと欲しいところです。モバイル用途で使うならなおさらですね。
全体的に中庸な音で妙なクセがないのは好印象でした。
装着感はまずまずです。側圧もそれほどきつくないので快適に外でも試聴ができると思います。
ちなみにGL1というモデルもあって、こちらはより低音域が出るようにチューニングされているとのことです。
そういう意味ではGL2は狙ったとおりの音が出てるのかなと思います。
JP1
続いてJP1です。約8.5万円で、同社のフラグシップとなるヘッドホンです。
DJ用途を意識して右側のイヤーカップが折りたたみ可能となっています。
個人的にはDJ用途の製品がフラグシップというのが違和感があります。(笑)
At The End Of The Day / Les Misérables
先に聴いたGL2と似た傾向ですが、こちらのほうが低音がちゃんと出ますね。
そこそこ深いところまで沈み込みますし、響き方も良いです。
高域は相変わらず少なくて少しこもった感じがあります。
Master of Puppets / Metallica
GL2とは違って迫力が出てきました。中音域もしっかりと出てますね。
JP1のほうがこの手の音楽には合いますが、向いてるとは言えないという印象です。
Rio Rush / Fourplay
やはりこの手の曲(Jazz)のほうが得意かなと思います。
音の密度が低いので余裕を持って鳴らしているという印象を受けました。メタリカでは情報量が多すぎてシンバルの音が隠れてしまうんですが、この曲ではよく聴きとることができます。
この曲に関しては私がメインで使っている1770よりも魅力的に聞かせるくらいです。
Titanium Ft. Sia / David Guetta
DJ用途なので電子音楽も聴いてみました。
この曲にも合いますね。
低音域の沈み込みは相変わらず良いですし、高域もちゃんと聴くことができます。
それと音の空間が広いですね。特に奥行きが広いと感じました。
JP1のまとめ
音量は58から67で聴きました。鳴らしやすいとは言えないですね。
GL2よりも私の好みに合ってました。
それとジャンルによって向き不向きがはっきりと出る製品だなと感じました。
音質のほうは中庸なのでどんなジャンルにも合いそうなんですが、情報量が多くなって音の密度が上がる曲は苦手とするようです。
装着感と側圧はGL2とほぼ同じでした。
MJ1
約5.5万円の密閉型ヘッドホンです。
イヤーカップの形状に特徴がありますね。
At The End Of The Day / Les Misérables
全体的にはリスニングにもモニター用途にも適した中庸な音でした。
高域は少し物足りないという印象です。
ウォールナットのイヤーカップを採用しているせいか、低域の響き方が良かったです。
少し気になったのがこもりです。特に高域が少しこもる傾向にあるように感じました。
Master of Puppets / Metallica
この曲も気持ちよく聴くことができました。音の密度が上がっても問題はなさそうです。
それとこの手の古い音源との相性が良いと感じました。
MJ1のまとめ
音量は56から64で聴きました。DT 1770 PROと同じくらいの鳴らしづらさです。
これと言って優れてる点がないので評価がしづらいのですが、全体的にそこそこのレベルで音のほうはまとまっているという印象を受けました。
ナチュラルな表現もなかなかです。ただし、5.5万円というと他にも良い製品がたくさんありますので、もう少し売りとなるポイントが欲しいかなと思います
装着感は良くて軽いです。側圧は緩めなんですが、頭を振ってもズレることはなく安定していましたので外で使うにも問題はないでしょう。
遮音性はそこそこでした。私が使っているDT 1770 PROと同じレベルです。
音漏れについては確認していません。
まとめ
今回、6製品を一気に発売するんですが、私が聴いた3製品に関して言うと一貫した音質であると感じました。
どの製品も中庸で聴きやすく、妙なクセがありませんでした。
音の密度が低い曲や比較的古めの曲も得意としてるように感じます。
ジャズやクラシック、トランス(EDM)には向いてるように思いますが、情報量が少ないことが条件になるように思います。時間の都合で聴きませんでしたが、しっとりとした女性ボーカルにも合うと思います。
全体的にこもりを感じたのは残念でした。
それと高域にもう少し開放感が欲しいですね。やはりどの製品も上方向に対して狭いと感じました。もっとも情報量が減ると少し開放感も出てきます。また、無理にひねり出した高音域ではなかったので、そこは好印象です。
デザインと質感は音と一緒で、特に優れているわけでもなく劣っているわけでもないです。高級感がありすぎても扱いに困りますので個人的には好印象です。
装着感が良かったのも好印象です。あとは音漏れがどうかってところですね。
いい製品がたくさんある価格帯なのでもう少し細かなところをブラッシュアップすると大化けするのかなと思いました。
それとどの製品もDT 1770 PROと同じくらい鳴らしにくいと感じたので、アンプを挟んでやると化けるのかもしれませんね。
メーカーとしては専用アンプ不要の静電型ドライバーにこだわりがあるようなので、今後にも注目をしたいと思います。
春のヘッドフォン祭2017
以上で春のヘッドフォン祭2017の感想は終わりです。
今回は他にも聴きたい製品があったのですが、OPUS #3の音が頭にこびりついてしまったのと、集中力が切れてしまったので16時くらいに会場を後にしました。
今回は人が少なかったのか会場に工夫があったのかわかりませんが、通路も歩きやすくて今まで以上に快適でした。
人混みや行列もうまい具合に分散されていたように感じます。
開催者や出展者のみなさまには感謝です。
残念だったのは試聴機の盗難があったことと、開場直後のエレベータ待ち行列ですかね。
開場直後のエレベータ待ちは仕方がないと思いますが、試聴機のほうは本当に残念なことです。
よりフラットな会場にすれば、エレベータ待ちもなくなりますし、盗難車がいても入り口に警備員がいることで抑止になると思います。
しかし中野サンプラザという場所にこだわりがあるようにも思いますので難しいところだなと感じました。
今回は以上です。
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