amahikasです。
先月から早朝散歩を始めたんですが、ようやく涼しくなってきて歩きやすくなりました。散歩を始めたのは体重増加も理由のひとつですが、ポータブルオーディオの出番を増やそうという意図もあります。おかげで試聴もはかどるわけです(笑)
さて、前回はiBasso AudioのCF01をレビューしました。結果的に音質、使い勝手ともに良く、TWS(完全ワイヤレス)製品に対する私の苦手意識を払拭してくれました。
今回はSHANLING社のMW200をレビューします。MW200も「お気に入りのイヤホンをワイヤレス化できる」という点ではCF01とコンセプトが似ていますが、TWS型ではなく、ネックバンド型となっています。
SHANLING MW200
MW200はネックバンド型のBluetoothアダプタです。製品本体にイヤホンは含められておらず、MMCXコネクタを有するイヤホンを別途購入する必要があります。Bluetoothのバージョンは5.0でクアルコム社のCSR8675を搭載しています。DAC/AMPチップにはAKM4377Aを搭載しています。ネックバンド型の製品は高音質化用のDAC/AMPも搭載できるのが強みですね。BluetoothのコーデックはLDAC、aptX HD、aptX LL、aptX、AAC、SBCに対応しています。私の環境で試すことはできませんでしたが、NFCペアリングにも対応しているようです。
バッテリーは最大で14時間です。(SBCコーデック使用時)待機時間は最大500時間とかなり長いです。
IPX4の防水基準を満たしていますが、イヤホン本体は別なので気をつけましょう。MW200はiOSとAndroidアプリの『SHANLING Controller』にも対応しています。スマートフォンから「Bluetoothコーデック」、「デジタルフィルター」、「チャンネルバランス」、「イコライザ」の設定を変更できるようになります。また、『SHANLING Controller』アプリからMW200のファームウェアアップデートが可能です。
MW200は2020年8月に発売されたばかりで、15,000円弱で販売されています。
詳細については公式サイトを参考にしてください。
試聴環境
試聴にはAndroidスマートフォンのOPPO Find X2 Pro、iPhone XS MaxとDAP(デジタルオーディオプレーヤー)のCayin N6ii/E01を使いました。MMCXイヤホンはPinnacle P1とCayinのYB04と組み合わせました。YB04は2Pinコネクタのため、2PinをMMCXコネクタに変換するアダプタを使用しました。本来、こういった変換アダプタは本体側のコネクタを傷めそうなので常用はしないのですが、試聴のために規格を合わせるには便利です。
試聴に使う音源はいつもと同じ曲です。
主にCDから取り込んだAppleロスレス(ALAC)で、試聴に使う曲や聴きどころについてはこちらを参考にしてくださいませ。
試聴結果
試聴結果ですが、Find X2 ProとMW200をLDAC接続した状態の感想を書いていきます。MW200にはPinnacle P1をつけています。
Bisso Baba / Bob James
中低域寄りのバランスです。高域は中域と低域に比べると量感が少なめですが、ワイヤレスにしてはそこそこ滑らかで質の良い高域を聴かせます。ベースの深さも十分ですし、ピアノも帯域の広さも表現できてます。カラッと乾いた音というよりは少しウェット寄りの傾向にあります。
Golden Faders / Fourplay
ベース音は包み込むような表現が強いもののキレもあります。この曲ではシンバルの滑らかさが映えます。全体的に奥行きが深くなるので楽器の音も必然的に深くなり、軽さや安っぽさとは無縁の音ですね。
Master of Puppets / Metallica
迫力はよく表現されています。スピード感とスネアのアタック感はもうひとつというところですが、これくらいの迫力が出ていれば十分ですね。
At The End Of The Day / Les Miserables
冒頭のパーカッションと歓声もちゃんと聞こえますし、オーケストラの迫力も表現できてます。この曲でもスピード感はもうひとつと感じますが、オーケストラの低い弦楽器の鳴り方が良いですね。コーラスも細かさと言うより迫力のある表現になっていて、これはこれでまた良いです。
Crush / Kelly Sweet
全体的にウェット寄りのため、ボーカルの生々しさが上がりますね。バックで静かに流れるアコギも繊細で細かくと言うよりも重厚に鳴ります。
Days of Wonder(Original Mix) / M6
中域と低域に量感があるので、普段私が聴いてる音よりも重心が低く、お腹のあたりにガツッと低音が響きますね。かといって高域が犠牲になっていないのが好感です。高域は量感こそ少ないものの少し開放感もあって質は高いです。
デザインと外観
写真で見ていきましょう。
本体と相応の大きさの箱に入ってきます。本体の他、USB充電ケーブル、ユーザーガイド、レザーポーチ、MMCXスペーサー6個が付属します。MMCXスペーサーは地味に便利ですね。
MW200本体です。光沢があって高級感があります。
本体左側です。上部に電源ボタン、側面に再生/一時停止ボタン、音量ボタンがあります。再生/一時停止ボタンにはLEDインジケータもついていて、グリーンだとLDAC、ホワイトでHWA/LHDC、イエローはaptX HD、パープルはaptX/aptX LL、ブルーはSBC、シアン(水色)はAACコーデックで接続していることを示します。ホワイトのHWA/LHDC以外のコーデックは一通り試しまして色が変わることを確認しました。
ちょっとわかりづらいのですが、これは先ほどと同じ本体左側で下部を写したものとなります。下部にはUSB Type-C端子があります。マイクなども本体左側に配置されています。
装着感
やはりTWSよりもネックバンド型のほうが装着感はいいと感じました。ただし、早朝の散歩で使うときは首の周りが発汗するので少し不快感がありました。ネックバンドの内側はゴム素材になっているので劣化やアレルギーを気にする必要はないかと思いますが、軽い運動中は先に試したTWS(完全ワイヤレス)タイプのCF10のほうが快適でした。
バッテリー
バッテリーの検証は出来ませんでしたが、数日間充電をしないで放置してもバッテリーの残量が80%から減りませんでした。「連続再生最大14時間」と「待機時間最大500時間」というメーカー公称値は実現しているんじゃないかと思います。
音漏れと遮音性
組み合わせるイヤホンによって変わります。私が試したPinnacle P1とYB04はどちらも有線接続をした時と同じ遮音性が得られ、音漏れについても同じでした。
Bluetoothの接続性と音質
Find X2 Pro、CayinのN6iiとはLDAC、iPhone XS MaxとはAACでペアリングしました。Find X2 ProとiPhone XS Maxでの接続性は良好で安定してます。N6iiはLDACだとたまに音が途切れます。ただ、LDACについてはこれまで試した製品の中でもっとも安定していました。
音質についてはCayin N6ii + LDACがもっとも良く、Find X2 Proと + LDAC、iPhone XS Max + AACの順序でした。iPhone XS Max + AACが極端に悪いわけではなく他の環境が少し良いかなという程度で、さほど大きな違いは感じませんでした。
Shanling Controllerの使い勝手
MW200はiOSとAndroidアプリのShanling Controllerに対応しています。
Shanling Controllerを起動するとこのような画面になります。スマートフォンとMW200をBluetoothで接続した状態で起動すると自動でMW200を見つけてくれます。
こちらがメインメニューです。主に使用するのはデバイスコントロールだと思います。
デバイスコントロール画面ではMW200がペアリング済みということがわかります。画面右上の「+」アイコンでデバイスを追加することもできます。MW200の右側にある「↑」アイコンをタップするとファームウェアの更新画面に遷移します。MW200はパソコンとUSBケーブルで接続をしてファームウェアの更新をすることも可能ですが、Shanling Controllerアプリを使って更新することもできます。
一番最初の起動画面でMW200をタップするとデバイスのステータス画面に遷移します。ここではMW200のバッテリー残量、私用しているコーデック、MW200のファームウェアバージョンがわかります。その他、RGBインジケーター、音量メモリー、HWA自動接続のチャンネルバランス、コーデック選択の設定が可能です。
Bluetoothコーデックの選択画面です。HWAは無効にしてあります。
画面下にあるタブをタップするとイコライザ画面に遷移します。
こちらはフィルター画面です。
最後に使用法画面です。この使用法画面はマニュアルと思ってください。MW200の使い方について詳細に説明がありますので困ることがあったらこの画面を調べるのが良いと思います。
これと同じような機能がShanling社のDAP(デジタルオーディオプレーヤー) M6 Proにもありましたが、非常にわかりやすくて好きです。
開発コストもかかるため、ワイヤレス製品にShanling Controllerのようなアプリが必ずしも必要とは思いませんが、ファームウェアの更新ができたり、使用しているコーデックとマニュアルをすぐに確認できるのは便利です。
まとめ
まずはメリットとデメリットをまとめます。
メリット
- MMCXコネクタであればお気に入りのイヤホン(IEM)が使える
- 今まで聴いたBluetooth製品でトップクラスの音
- 装着感
- 操作性
- バッテリー
先にレビューを書いたiBasso AudioのCF01と同じようにMMCXコネクタであればお気に入りのイヤホンをワイヤレス化できます。ただし、CF01はさらにTWS化できるという利点があります。
CF01の音も良いなと思いましたが、MW200はCF01にもひけをとらない音質でした。MW200は中低域寄り且つウェットな傾向にあるため、普段私が使ってる製品の音とは少し傾向が違います。しかし、我慢ができないほどウェットな傾向ではなかったのと高域の質が良かったので、楽しむことができました。高域の質についてもう少し書いておくとクセのあるPinnacle P1が滑らかになったのには驚きました。YB04で聴くとさらにクセがなくなり、気になるところがなくなりました。
全体的にはShanling社のM6と音の傾向は似てます。小型DAP兼ワイヤレスDAC/AMPのShanling Q1にも似ていますが、Q1はもう少し中庸でMW200ほどウェットではなかったように記憶しています。イヤホン(IEM)なので単純比較はできませんが、出てくる音という意味ではIE 400 PROやIE 40 PROにも似ています。
装着感と操作性についてはネックバンド型のMW200に利点があります。特に音量の上げ下げなどの操作性はMW200が楽でした。Shanling Controllerというアプリがあるのもメリットです。
デメリット
- 充電の手間
- MMCXコネクタのイヤホンを持ってないと使えない
TWS型の製品は専用ケースに入れることで充電ができますし、ワイヤレス充電に対応している製品も多いので、思っていたよりも充電は手間にならないと感じますが、ネックバンド型は明示的にUSBケーブルを接続しないといけないので手間は増えますね。
Shanling社はMMCXコネクタのイヤホンも発売していますので、セット販売をしてもいいのかなと思いました。
総評
CF01に続いてMW200も印象が良かったです。あくまでもメインは有線ですが、ワイヤレスもかなり有線に近づいてきていて価格も下がってきました。有線環境だとケーブルにそれなりのお金が必要になりますが、ワイヤレスは送信側と受信側に専念できます。費用対効果を考えるとワイヤレスがワイヤードを逆転するのも数年くらいなのかなと思わされます。
使い勝手については有線、TWS、ネックバンドそれぞれにメリットとデメリットがあり、選ぶのが難しい且つ楽しい状況になってるのではないかと思います。人によって使い方や重視するポイント、価値観が違うので選択肢は一様ではないでしょうが、そろそろ淘汰が始まるのかなと思います。
比較的短い期間でAusoundsのネックバンド型とTWS型、iBassoのTWS型、Shanlingのネックバンド型をじっくりと試聴しました。使い勝手や機能性を度外視で言うとネックバンド型のほうが優位と感じます。特にネックバンド型はオーディオ専用のDACを搭載できるのは強みです。そのうち、TWSに搭載できる高音質の小型DACチップが出てくれば一気にTWSに情勢が傾きそうですが、今のところはネックバンド型のほうが音はいいと思います。
TWSはなんと言っても機能性が高いのと、ケースを使えばバッテリーの持続時間が長くなる、ほとんどのケースがワイヤレス充電に対応していることによる利便性が優位と感じます。TWS Plusという規格も出てきてますし、伸びしろは大きいですよね。
今回は以上です。
以下の記事も合わせて参考にしてください。
コメント