じっくりと試聴 Cayin N6ii DAP/E01 レビュー

N6ii/E01試聴の様子 Cayin N6ii
N6ii/E01試聴の様子

amahikasです。

Cayin N6ii/E01が初披露されたポタフェスに行けなかったので、またまたコペックジャパン様にお願いをしてN6ii/E01を貸していただきました。
いつも通り、感想を書いていきたいと思います。

Cayin N6ii DAP

Cayin N6iiについては以前にも紹介をしたので、以下の記事を参考にしてもらえればと思います。

Cayin N6ii レビュー前編

Cayin N6ii レビュー後編

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Audio Motherboard E01

E01はN6ii用のオーディオマザーボードとして第3弾の製品となります。AK4497EQを搭載したA01、PCM1792Aをデュアル構成で搭載したT01、そしてES9038PROを搭載したE01が今回紹介するオーディオマザーボードとなります。E01の特徴ですが、A01とT01はオペアンプにOPA1622を採用しているのに対して、E01はオペアンプではなくディスクリートアンプを採用しています。ディスクリートアンプとオペアンプの優劣をこの記事で語りたいとは思いませんが、Cayin社の意気込みが強く伝わってきました。実際、海外のオーディオ好きが集まるHead-Fiを読んでいてもE01の開発にはかなりの苦労があったようで最終的にディスクリートアンプになったのにはそれなりの理由があるのでしょう。

Cayin社とESS社のDACというとN5iiとN5iiSが真っ先に思い浮かびます。N5iiSは試聴していませんが、N5iiは個人的に高い評価をしたもののエッジが強いのが気になりました。Cayin社の製品らしい音ではありましたがややとの先端が尖っているところがあってもう少し滑らかさが欲しいと感じたものでした。
そういう意味では今回のE01がES9038PROでどのような音を聴かせるのか楽しみです。今年購入したiBassoのDX220はES9028PROをふたつ搭載していますが、どのような違いがあるのかも楽しみにしています。

E01は3.5mmのPhone端子のみとなっていて、4.4mmバランス、3.5mmラインアウトも備えるA01、T01と比べると割り切った構成となっています。
E01の価格ですが、N6iiとのセットだと税込143,000円前後、単体だと税込み43,000円前後です。A01とT01は本体とのセット価格が税込み13万円台なのでE01は他より一万円ほど高い価格設定です。

試聴環境

今回は以下の環境で試聴をしました。

試聴に使った機器

以下の機器を試聴に使いました。

主に外で使用をしたのでメインで使ったのは1770と177Xです。ゲインはLow、Mid、Highから選択できますが、Midで聴きました。イコライザ類はいつも通り、すべて無効にしてあります。再生アプリにはNeutron Music Playerを使用しました。

DAOモード

アンプですが、Class AとClass ABを切り替えることができます。個人的にはClass Aがお気に入りです。Class Aの特徴は全体的に落ち着いた音になるのと、奥行きが出ます。前後の方向に音場が広がる感じです。奥行きのない音源だと効果は発揮しませんが、奥行きのある音源だとこれまで聴いてきたDAP(デジタルオーディオプレーヤー)とは別次元の音が出てきます。

Class ABも十分にいい音ですが、全体的に音が前に出てきて耳に近くなる感覚があります。他のDAP(デジタルオーディオプレーヤー)で聴くのと変わらなくなってしまうのでE01を使うならClass Aが私にはとても合います。Class Aはバッテリー消費が激しいというデメリットがありますが、ワンランク上の音を聴かせてくれるので文句はありません。

デジタルフィルターの設定

デジタルフィルタは以下から選択することができます。無効という設定はありません。

  • Fast Roll-Off,Minimum Phase
  • Slow Roll-off,Linear Phase
  • Fast Roll-off,Linear Phase
  • Brickwall
  • Hybrid
  • Apodizing
  • Slow Roll-Off,Minimum Phase

デジタルフィルタによって結構音が変わります。私は「Slow Roll-off,Linear Phase」が気に入りました。「Fast Roll-Off,Minimum Phase」、「Hybrid」もなかなかいいです。

再生アプリ

再生アプリにはNeutron Music Playerを使用しました。他のDAP(デジタルオーディオプレーヤー)でも使っているアプリなので聞き比べがしやすいです。設定も合わせてあります。

試聴曲

音源は主にCDから取り込んだAppleロスレス(ALAC)です。
試聴に使う曲や聴きどころについてはこちらを参考にしてくださいませ。

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音の感想

N6ii/E01試聴の様子

N6ii/E01試聴の様子

それでは早速音の感想を書いていきます。

Rio Rush / Fourplay

冒頭のシンバルが軽くなりがちなんですが深みのある鳴らし方をしてくれます。Cayin i5と比べると解像力、高域と低域のレンジの広さ、音場が全体的に良くなっています。特に音場が広くなっていて深みがよく表現されています。ベース音はキレがあって演奏者の指使いも伝わってきますが、包み込むような表現も良いです。

Bisso Baba / Bob James

この曲も良いですね。ベース音は落ち着きがあってまっすぐ下に音が沈んでいきます。この曲でもキレと包み込むような表現がうまく両立されていると感じます。DX220のほうがキレよりも包み込む感覚を重視しています。その分、ピアノなど他の楽器はN6ii/E01のほうがよく目立っています。N6ii/E01は背景の静けさも優秀です。真っ黒な背景から音が浮かび上がってくるように感じます。

At The End Of The Day / Les Miserables

パーカッションや歓声、各楽器がくっきりと細かく聞こえます。会場の広さもよく表現できていて吹奏楽器の音が気持ちよく広がります。DX220は少し聞きやすい音になっていて滑らかさを感じます。N6ii/E01は生々しいという感じです。背景の静けさもN6ii/E01が優秀です。ただ微細な音が鳴っていないというわけでもありません。スピード感もN6ii/E01は優秀ですね。ゆったりと聴かせるところとスピード感を持って聞かせるのがうまくメリハリが良いと感じます。

Flesh and The Power It Holds / Death

音の密度が上がって情報量が増えても問題ないです。迫力も問題ありませんが特筆すべきはスピード感です。音の立ち上がりが速いですね。この曲ではDX220は全体的にまろやかに聞かせてくれるので聞きやすいと感じました。N6ii/E01は粗も真面目に鳴らす傾向にあるので音量を上げていくと少し聞きづらくなることがあります。
N6ii/E01とi5を比べると基本的な音の傾向はよく似ているものの、やはり全体的にN6ii/E01が良くなってると感じます。

Master of Puppets / Metallica

この曲もi5と比べてみましたが、i5よりも音源の粗をカバーする傾向にあります。それと中域の中でも低い音がしっかりと出ています。i5だと少し軽く聞こえる箇所もN6ii/E01だと軽く聞こえることはなく、むしろ深みがあるように聞こえます。
中間部のギターソロでは再び背景の静けさが際立つのを感じました。i5とDX220はわずかながらホワイトノイズが聞こえます。私はホワイトノイズはあまり気にしないタイプなんですが、これだけ差があると気になるものですね。

Crush / Kelly Sweet

アコースティックギターとシンバルの繊細な表現力が高いです。N8を聴いてるのと近い感覚です。OPUS #3と同じくらい柔らかな表現にも長けています。音源によってカッチリと聞かせたり、アナログっぽく聞かせたりと基本性能の高さを感じました。
メタル系と違って女性ボーカルは他の楽器よりも前に出てきます。ただし、必要以上に前に出てくることはなく音源に素直ですね。

Days of Wonder(Original Mix) / M6

この曲はDX220のほうが良かったです。N6ii/E01は真面目に鳴らそうとしすぎて少し耳が疲れます。音源の情報量はしっかりと鳴らしていますが、それがかえって疲れる原因と感じました。DX220はいい感じに味つけをしてくれるので全体的にマイルドな聴感になります。また、余韻の残し方もうまいですね。

Prophecy / Their Dogs were Astronauts

ギターの歯切れが非常に良いですが、低い弦はゆったりと下を流れます。背景の静かなので非常に気持ちがいいですね。

The Brain Dance / Animal as Leaders

この曲も良いですね。雄大なベース音と非常に細かくて滑らかなシンバル音、ギターの音は繊細且つ柔らか。最近、よく聴いてるこの手の音楽との相性が非常に良いです。
前の曲もそうですが、ドラムの音も非常に細かく聴くことができます。アタック音は強すぎず弱すぎずで、空気感もよく伝わります。バスドラの近くで聴いてるときに風圧を感じる感覚に近いです。

使い勝手

基本的な使い勝手については前の記事で紹介したので割愛しますが、E01特有の使い勝手について書いておきます。
まず、バッテリーですが100%の状態で自宅を出てから断続的に四時間ほど再生をして12時間後に自宅に着いた状態でバッテリーの残量は52%でした。同じような使い方でA01は72%、T01は58%残っていたのでE01のバッテリー消費は大きいです。ちなみに無線LAN(Wi-Fi)は常時ONでBluetoothはOFFです。DACのES9038PROはかなりバッテリーを消費するという評判でしたし、Cayin社もバッテリーライフを伸ばすのに苦労をしたと聞いていたので思っていたよりも消費をしない印象です。
発熱はDX220にもインストールしているAntutu 3DBenchとCPU Monitorで計測しましたが、40度前後でした。夏場に60度近くまで上昇したDX220と比較すると優秀ですが、T01と比べると発熱はしますね。

Android OSの各機能も使いやすいです。Neutron Music Playerは安定して動作していますし、フリーズや突然のリセットなども発生していません。iSyncrを使ったMac上のiTunesとの同期も安定しています。転送速度も同じようなスペックのDX220と同じくらいです。
Neutron Music PlayerからAirplayを使ってYAMAHAのネットワークプレーヤーNP-S303に音を転送できています。

実際に携帯すると重みと厚みを感じます。DX220でこのサイズにはだいぶ慣れてたので問題とは感じませんが、私が携帯するにはこれくらいの大きさと重さが限界と思います。音量ホイールが電源ボタンを兼ねているのも使いやすいです。ランダムにいろんな時代、ジャンルの音源を聴くことも多いのでどうしても音量の差が生じてしまうので音量ホイールが使いやすいのはありがたいです。ポケットに入れたままでも操作可能ですね。

音量についても書いておきます。E01の最大音量は100です。Highゲインで1770を聴く場合、70前後で聴きました。Midゲインだと90から100です。今回の試聴ではMidゲインで聴くことが多かったです。パワーに関してはA01とT01よりも少し非力という結果になりました。

まとめ

T01よりもさらにすっきりとした聴感になっていて好みです。低域の量感はA01やT01より少し控えめで、高域がよく出るようになっていて開放感があります。そういう意味ではよりフラットな傾向になっています。ウェットというよりもドライな傾向にあるのも個人的に好みです。解像力も全体的に向上していて音の粒がさらに細かくなっています。滑らかさも向上しているので音が尖ってるとも感じませんでした。録音状態の良いシンバル音は非常に滑らかですし、ギター、ベース、ドラムのちょっとした演奏の違いも聞き分けやすくなっています。
音質傾向はi5とよく似ていますが、全体的にブラッシュアップされているので個人的には待ち望んでいた音と感じます。音源に素直という点も似ていて味つけは少ないです。録音状態のあまりよろしくない音源は粗も聞こえますが、i5よりもカバーしてくれます。
DX220と比べるとキャラクターが明らかに違うのがわかりました。

T01が好みに合うとN6ii/T01の記事に書きましたが、E01は基本性能がさらに高くなっています。Class Aモードで聴くのが条件でClass ABモードだとA01やT01と同程度と感じました。N6ii/E01のClass AモードはN8にも匹敵すると感じています。N8に比べるとN6ii/E01はよりすっきりとした聴感になっていて、N8のほうが量感があってウォーム且つウェットな音なので傾向は少し違います。

メインで使っているイヤホン(IEM)のN5005でも聴きましたが、1770や1990ほどT01との違いを感じませんでした。ヘッドホンのほうがN6ii/E01の性能がわかりやすい結果になりました。

i5とOPUS #3を購入してから長いこと二台に満足して使っていましたが、最近はN8やDX220、N6iiを聴いてひとつ上のレベルの音だなぁと感じています。特に録音状態のいい音源がさらに良く聞こえることが多いです。いろんな製品を試聴するときのリファレンスとしてもi5OPUS #3を使ってきましたが、N6ii/E01を購入したらN6ii/E01にリファレンスの役割を担ってもらおうと思っています。
価格的に私の予算(10万円)を超えているのでN6ii/E01を購入するのは先の話しになりますが、できれば来春には購入したいです。E01はバランス端子とラインアウト端子がありませんが、私の使い方であれば3.5mmアンバランス端子ひとつでも問題はありません。それくらいE01に魅力を感じたのでT01の購入はひとまず保留にしてN6ii本体とE01に集中したいと思います。

今回は以上です。
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コメント

  1. […] 三週間ほどDX220 MAXを堪能しました。こういった機会を与えていただき、(株)MUSIN様には感謝いたします。 DX220 MAXの音について大ざっぱにまとめると、DX220よりは確実に良くて、Cayin N8には及ばないといったところです。また個人的な好みでいうとCayin N6ii/E01のほうが好きです。 […]

  2. […] amahikasです。 先日、久しぶりに店頭試聴をしてきたんですが、FostexのTH610とGradoのThe Hemp Headphoneが非常に良かったです。TH610は2016年にイベントで試聴していて好印象だったものの、当時からメインで使っていたDT 1770 PROと併用するほどではなかったようです。当時の上流は「iPhone 6s Plus +Vantam Red」だったことも影響していそうですが、今回CayinのN6ii/E01との組合せでは素晴らしい音を聴かせてくれました。というわけで、ようやく1770と同じレベルで使えそうな密閉型ヘッドホンを見つけて少し興奮しています。 […]

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