amahikasです。
前回、友人に協力してもらった聞き比べでDX200の実力はわかりました。DX220とは少し音質が違いますが、基本性能は同等でより私の好みと感じました。Cayin i5からのアップグレードと考えるとDX200のほうがいいかもしれません。しかし使い勝手はDX220のほうが良かったです。
今回はDX150をもう少し聴いてみたいということでiBassoの代理店のMUSIN様にDX150をお借りしました。
iBasso DX150
DX150は2018年4月に発売されました。日本国内での価格は6万円弱です。最近は10万円前後の製品を買うことが多くなってますが、元々は5万円前後の製品を買うことが多かったのでDX150もちゃんと聴いておきたいと思いました。
スペックについては下表を参考にしてください。
製品名 | DX220 | DX200 | DX150 |
---|---|---|---|
CPU | ARM Cortex-A53 8Core | ARM Cortex-A53 8Core | ARM Cortex-A53 8Core |
メモリ | 4GB | 2GB | 2GB |
内蔵ストレージ | 64GB | 64GB | 32GB |
DAC | ES9028PRO×2 | ES9028PRO×2 | AK4490EQ×2 |
標準アンプ | AMP1 MKII | AMP1 | AMP6 |
サイズ | 高さ126 x 幅70.5 x 厚さ18.7(mm) | 高さ128.5 x 幅69 x 厚さ19.5 (mm) | 高さ128.5 x 幅69 x 19.5(mm) |
重量 | 240g | 240g | 245g |
バッテリー | 4400mAh | 4400mAh | 4400mAh |
画面サイズ | 5インチIPS液晶(1080×1920) | 4.2インチIPS液晶(768×1280) | 4.2インチIPS液晶(768×1280) |
Wi-Fi | 2.4Ghz/5Ghz | 2.4Ghz/5Ghz | 2.4Ghz/5Ghz |
Bluetooth | Bluetooth 5.0 SBC, AptX, and LDAC | Bluetooth 4.0 SBC, AptX, and LDAC | Bluetooth 4.1 SBC |
USB DAC機能 | 有り | 有り | 有り |
SDカード | 1スロット、最大2TBまで | 1スロット、最大256GBまで※発売時の情報 | 1スロット、最大2TBまで |
OS | Android 8.1 | Android 6.0 最新版のファームウェアでAndroid 8.1 | Android 6.0 最新版のファームウェアでAndroid 8.1 |
その他 | USB Type-C、QC.0など高速充電機能 | USB Type-C | USB Type-C、QC.0など高速充電機能 |
DX200の後に発売されていますので、中級機ながらも豪華なスペックになっています。DX200とDX220との大きな違いはDACです。DX150で採用されているAK4490EQはCayin i5とN5、AK380などに採用されています。DACで音が決まるわけではありませんが、AK4490EQはCayin i5だけでなく私がメインで使っているヘッドホンアンプのGrace Design m9XXにも採用されているので私との相性は非常に良いです。
DX150に標準で付属するアンプモジュールはAMP6です。3.5mmアンバランス端子、2.5mmバランス端子、3.5mmラインアウト端子を装備しており、AMP1 MKIIと同じ配列となっています。
試聴環境
今回は以下の環境で試聴をしました。
試聴に使った機器
以下の機器を試聴に使いました。
- DX220 → DT 1770 PRO
- DX220 → DT 1990 PRO
- DX220 → N5005
まだ暑い時期なので外ではN5005がメインです。じっくりと室内で聴くときは1770か1990を使いました。
DX150は主に標準のAMP6をつけて試聴しましたが、DX220に標準で付属するAMP1 MKIIとAMP9でも聴きました。
各種設定
DX150は5つのデジタルフィルターを選択することができます。DX220は7つだったのですが、あまり違いがわかりませんでした。最近はDX220で「Fast Roll-Off(Linear)」を使ってるのでDX150は「Sharp Roll-Off」を使っています。ちなみにDX150と同じDACを採用しているCayin i5は「Super Slow Roll Off」を使っています。イコライザー類はすべて無効にしています。
GAINはHighで最大音量は150です。DX220と同じくDX150は最大音量が調節可能です。ちなみにDX220と違ってMid Gainがありません。LowがHighから選ぶことになります。
再生アプリはすっかり私の定番になったNeutron Music Playerを使っています。設定はDX220と同じにしました。
DX150はAndroid 8.1にしてあります。ファームウェアは最新の1.04.047です。
試聴曲
音源は主にCDから取り込んだAppleロスレス(ALAC)です。
試聴に使う曲や聴きどころについてはこちらを参考にしてくださいませ。
音の感想
Rio Rush / Fourplay
全体的なバランスはやや中低音寄りです。全帯域ともに滑らかで音のつながりに不自然さはありません。派手さはありませんが音源に忠実で素直な印象を受けます。落ち着いていて上品な鳴らし方をしますが、ドラムのアタック音はやや強めで、ここだけが少し刺激的かなと思います。Cayin i5と比べると少しリスニングに適したチューニングがしてあると感じました。音楽を気持ちよく聴くならDX150で、より分析的に聴くならi5という感じでしょうかね。
解像力と分解はDX220のほうが上かなと思います。音場は音源に忠実という印象です。
Bisso Baba / Bob James
この曲も違和感はありません。ベース音についてはもう少し下まで出て欲しいかなと感じます。DX220に比べるとピアノが目立つと感じました。ボーカルを聴いても中域が少し前に出てきます。高域は前の曲と同じく滑らかで気持ちのいい音を聴かせてくれます。シンバルもピアノも問題ないです。
性格的にはややドライでしょうかね。DX220とi5ほどドライではありませんが、DX220やほどウェットには感じないです。
At The End Of The Day / Les Miserables
DX220と比べると音場が狭いと感じました。音源通りだともう少し空間が広がっても良いのですが、少し狭く感じます。また、ボーカルとコーラスが前に出てくるので、他の楽器が少し聞き取りづらくなります。
Flesh and The Power It Holds / Death
中域に厚みがあるので、迫力がよく伝わります。スピード感もよく出ていますし、この手の音楽にはよく合いますね。この曲をDX150で聴いた直後にDX220で聴くとやや迫力不足に感じます。それくらい中域が充実していてメタルにはよく合うという印象です。
Master of Puppets / Metallica
この曲も良いですね。前の曲と同じように中域に量感があるので迫力がよく出ています。スピード感も申し分ないです。ドラムのアタック音が強めなのもこういう曲では活きますね。
Crush / Kelly Sweet
ベース音とアコギのキレは気持ちがいいです。中低音寄りですが、低音がボワつくタイプではなくタイトな低音を聞かせてくれます。アタック音が強いのもこの曲では一緒で特にアコギの鳴り方が良いなと思いました。ピックが弦にあたる瞬間の生々しさをよく表現できてます。
Rangers / A Fine Frenzy
この曲ではアタック音が強いこともあってシンバル音にやや固さがあるかなと感じます。秀逸なのはベース音のキレですね。下のほうでうねるような表現もできてますが、キレの良さに耳が集中してしまいます。女性ボーカルの表現は音源通りに刺さるところは刺さります。妙にウォームな聴かせ方をしないのは好感です。
Days of Wonder(Original Mix) / M6
トランス系の曲では低域がもう少し下まで出るといいなと感じますが、アタック音が強めなのでリズムがうまく表現されているように感じます。高域は天井が広くてフワッと音が広がっていく感覚が気持ちいいです。
メタルと一緒で迫力とスピード感の表現にも優れています。バスドラの音にもう少し深みが出るといいですね。
AMP9との組合せ
DX150とAMP9を組み合わせて聴いてみました。DX150 + AMP6とDX220 + AMP9だと明確にわかる違いもDX150 + AMP9で聴くとなかなか違いがわからなくなりますね。中域が少し厚めなのは変わりないのですが、高域はさらに滑らかになって低域の低いところも出るようになりました。
なお、DX150 + AMP9の組合せは出力が少し不足します。AKG N5005では問題ありませんが、DT 1770 PROとDT 1990 PROでは最大にしても少し物足りなさを感じました。
AMP1 MKIIとの組合せ
DX150とAMP1 MKIIを組み合わせて聴いてみました。
DX220 + AMP1 MKIIの組合せと聞き分けるのが難しいくらい良くなりました。元々のDX150 + AMP6もいいのですが、アンプモジュールを変えることによってさらに良くなりました。
DX220とAMP1 MKIIとの違いを聞き分けるにはかなり集中しないとわからないレベルですが、音の滑らかさと背景の静けさが違います。上位機種だけあってDX220のほうがさらさらとした聴感が強く、背景も黒いです。ただ、DX150のほうも負けてるかというとそういうことはないように感じました。
いくつかアンプモジュールを変えて聴いたので整理しましょう。
標準のDX150 + AMP6の組合せは価格なりと感じました。やはりDX220 + AMP1 MKIIやDX220 + AMP9よりは音に深みがないと感じます。また、音の滑らかさと背景の黒さもDX220のほうが上です。
DX150 + AMP1 MKIIとDX150 + AMP9だと、DX220と音の違いを聞き分けるのに苦労しました。DX150とDX220ではDACが違いますが、アンプモジュールの作り込みがうまいので、さほど違いを感じないという印象です。
音量
DX150 + AMP6とDX150 + AMP1 MKIIの組合せではDT 1770 PROで124から134で聴きました。AMP9の場合は、最大音量の150にしても少し足りないですね。AMP6とAMP1 MKIIであればインピーダンスの高い大型のヘッドホンも鳴らせますが、AMP9だと厳しいです。
他の製品との比較
DX150 + AMP6 と Cayin i5
同じDACを使ってるだけあって基本的な音の傾向は似ています。i5のほうが全体的にフラットなバランスで味つけも少ないです。DX150はやや中低音寄りになります。また、中域が少し厚めになっているのもDX150 + AMP6の特徴だと思います。ボーカルを始めとして中域が近めになってアタック音も強めです。低域はi5のほうがより下まで出るのと音の深みの点ではi5のほうが勝ります。
DX150 + AMP6 と OPUS #3
硬質なDX150と柔らかめのOPUS #3で音の傾向ははっきりとわかれました。この2製品の比較でもDX150 + AMP6は中域が目立つと感じました。また、音の深み、高域の開放感はOPUS #3のほうが勝ります。
いくつかアンプモジュールを変えて聴いたので整理しましょう。
標準のDX150 + AMP6の組合せは価格なりと感じました。やはりDX220 + AMP1 MKIIやDX220 + AMP9よりは音に深みがないと感じます。また、音の滑らかさと背景の黒さもDX220のほうが上です。
DX150 + AMP1 MKIIとDX150 + AMP9だと、DX220と音の違いを聞き分けるのに苦労しました。DX150とDX220ではDACが違いますが、アンプモジュールの作り込みがうまいので、さほど違いを感じないという印象です。
DX150のデザイン
写真でデザインを見ていきましょう。
本体正面です。基本的にDX200と同じデザインと質感になっています。
本体下部のネジを少し緩めておきました。このネジを緩めて下方向に引っ張ることでアンプモジュールを外すことができます。
DX150下部にはAMP6が装着されています。左から3.5mmラインアウト、3.5mmアンバランス、2.5mmバランス端子と並びます。この出力端子構成はDX200とDX220と同一ですね。個人的にはバランス端子が4.4mmだとありがたいかなと思います。
右側面です。DX220のすっきりとしたデザインも好きですが、DX150のメカめかしたデザインも好きです。
本体上部には左から電源ボタンとUSB Type-Cポート、SPDIF端子が並んでいます。この構成もDX200やDX220と一緒ですね。
本体左側面にはDX200やDX220と同様にmicroSDカードスロットがあります。
本体裏面です。DX220と違ってシックなデザインになっています。光沢性のあるDX220よりも個人的にはこちらが好きですかね。指紋も目立ちにくいです。
標準ケースを着けました。標準ケースはしっかりと保護してくれる反面、少し嵩張ります。DX220の明るい合皮ケースのほうが好きです。
嵩張ることを除けば標準ケースのデザインと質感は好みです。
標準ケースの裏面はこれまたシックで良いです。
DX220と並べて撮影しました。DX150のほうが高くてDX220のほうが太いです。やはりDX220の全面モニターは良いですね。
前述の通り、DX150はDX200がベースになっていますので、デザインと質感はDX200とほとんど変わりません。
付属品
付属品はUSBケーブル(Type-C)、エージングケーブル、SPDIF変換ケーブル、標準ケースとなっています。私は使ってないのですが、エージングケーブルが付属するのもDXシリーズの定番ですね。
使い勝手
サイズと重量、携帯性
サイズと重量はDX220とほとんど一緒なので、私が外出先で使うにはギリギリですね。これ以上大きくなると携帯しづらくなるサイズです。
DX220を長く使ってみて感じていることですが、ヘッドホンやイヤホンを本体下部に接続するのは意外と使いづらいです。冬はコートや上着のポケットにDAP(デジタルオーディオプレーヤー)を入れることが多いので問題ありません。しかし暑い時期はポーチにDAPを入れていますので音量の上げ下げをするのにポーチから出す必要があります。Cayin i5やOPUS #3はポーチに入れたままでも音量の上げ下げができるので良いのですが、DX220とDX150はポーチから出すのが面倒くさくなってそのままにすることが多いです。
タッチパネルの操作性
Cayin i5とOPUS #3よりは良いです。DX220とCayin N6iiに比べると少し反応が悪いです。ただし、DAPとしてる使うなら十分かなと思います。
メニュー構成とUI
DX150のメニュー構成とUIはDX220とあまり変わらないので詳細は割愛します。DX150とDX220で大きく異なるのはMangoOSの有無です。DX220はAndroidモードを使いたくなかったらMangoOSに切り替えるという使い方ができます。DX150にはMangoOSがないため、Android OS上でMango Playerを使うしか選択肢がありません。音質や使い勝手の点でAndroid OSを使いたくない方もたくさんいらっしゃると思いますので、ここはデメリットかなと思います。
Androidアプリ
DX220で使用しているアプリをインストールして一通り使ってみましたが、特に問題なく各アプリを使うことができました。MacのiTunesとの同期や同期した音源とPlaylistの認識、Neutron Music Playerでの再生、last.fmへの再生履歴の同期など私がDAPに期待している機能はすべて問題ありませんでした。
私が数週間使ったかぎりでは動作も安定していて特に気になる不具合はありませんでした。
バッテリーと発熱
多少の発熱はありますが、DX220ほどではありません。
- 自宅を出る時に100%
- 約75分の通勤で87%
- オフィスで60分ほど再生をして15:25に76%
- 約75分の通勤で20:00頃に帰宅して59%
こんな感じでした。DX220だとCPUが60度くらいまで上がるのですが、DX150は55度くらいでした。
まとめ
DX150 + AMP6の組合せだとCayin i5とOPUS #3、DX220とは差があると感じました。DX150の価格が6万円弱でDX220が約11.4万円ということを考えると妥当な差かなと思います。ただし、アンプモジュールを変えることでDX150は上位機種と比べてもひけをとらない音を聴かせてくれました。AMP9の価格が3万円弱なのでDX150 + AMP9は9万円弱となります。DX220 + AMP9は約14.4万円なので10万円以内に抑えることを考えるとDX150とAMP9の組合せは結構良い選択だと思います。
私がこれまで聴いたDXシリーズのアンプモジュールではAMP1 MKII、AMP7、AMP9の印象が非常に良いです。AMP1 MKIIは残念ながら単体販売をしていませんが、好みや使い方に合わせてAMP7、AMP9またはAMP8を選ぶといいと思います。
DX150 + AMP7やDX150 + AMP9のバンドルモデルを発売するとより競争力が増して良いのではないかと思います。この場合、販売パッケージが増えるのでメーカーと代理店の仕事が煩雑になりますので、DX150のアンプ無しモデルを販売するのが最適ではないかと思います。
ここまでiBassoのDXシリーズとアンプモジュールを聴いた時点で、私なら予算も考慮してDX150 + AMP7を買うのではないかなと思います。もちろん、DX200とDX220にもそれぞれに良さがあるのでかなり迷うと思いますけどね(笑)
使い勝手については後発製品ということもあり、DX200よりも操作性は上がっています。発熱はDX220よりはマシですが、Cayin i5とOPUS #3に比べるとやはり熱くなります。発熱とバッテリーの持続についてはiBassoのDXシリーズの今後の課題でしょうね。個人的には音に影響がなければ今くらいでも良いかなと思っています。今年の夏も乗り切ることができましたしね。
AndroidアプリがDX220と同じように使えるのも個人的にはありがたいです。動作も安定しています。Google PlayがないのもDX220と同じなのですが、やはりDX220と同じようにカスタムファームウェアのiBasso DX150 firmware modified by Lurkerを導入することによってGoogle Playを使えるようになります。DX220とDX150では手順が違うのですが、DX220でカスタムファームウェアの導入手順をまとめましたので参考にしてみてください。
私が確認をしたかぎり、DX220で私が使ったブータブルSDカードの方法がDX150にも使えるようです。
以下の記事も合わせて参考にしてください。使い勝手はあまり変わらないということで今回は詳細に紹介をしませんでしたが、DX220の後編に詳しく書いていますので参考になれば幸いです。
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