じっくりと試聴 Cayin N8 DAP レビュー前編 音とデザイン

amahikasです。
昨年の真空管ヘッドホンアンプCayin HA-300に続いてN8 DAPも貸していただいたので二週間ほど聴き込みました。
N8 DAPはHA-300と同じく、Cayin社の創立25周年を記念して開発された製品です。価格は税抜きで35万円弱とかなりお高めです。

書いてみたらかなり長くなったので前編と後編に分けました。まずは前編を楽しんでください。

Cayin N8

Cayin N8については以前にも紹介をしたので、以下の記事を参考にしてもらえればと思います。

amahikasです。 暑い中、ポタフェスに行ってきました。いつも通り、試聴をしてきた製品について感想を書いていきたいと思います。 試聴...

この記事では2018年7月時点の試作機を聴きました。今回聴く製品版は音の点でも改良がされていると聞いております。

Cayin N8 DAPの詳細については公式サイトを見てもらうのがいいと思います。

卓越した真空管アンプがオーディオ愛好家により知られるようになった所から始まったCayin(カイン)が放つ、暖かく、心地よい音を奏でる真空管ヘッドホンアンプHA-1A MK2。クラシックスタイルの良さをぜひ味わってください。

試聴環境

今回は二週間貸していただくことができたので、いろんな環境で試聴をしました。

メインで使ったのは「N8 DAP → DT 1770 PRO」で、通勤の時によく使いました。自宅では「N8 DAP → DT 1990 PRO」と「N8 DAP → Spark 884A → B&W CDM1NT」を半々で使いました。まだ未体験の4.4mmバランス接続も試したかったので2.5mmから4.4mm変換アダプタを購入してRK01で使ってみました。ちなみに変換アダプタを購入した後にCayin純正の変換アダプタが同梱されていることに気がつきました(笑)

N8 DAP本体の設定ですが、ゲインはノーマルにしました。DT 1770 PROで聴いた結果、一番しっくりときたのがノーマルでした。
N8 DAPには出力を上げるためのHIGH2モードがありますが、これは使わずに標準モードで使用しています。エフェクタやイコライザ類も無効にしてあります。

音源は主にCDから取り込んだAppleロスレス(ALAC)です。
たまにHF PlayerでFLACの96kHz/24bitの音源も聴きます。
試聴に使う曲や聴きどころについてはこちらを参考にしてくださいませ。

amahikasです。 昨年のうちに更新しておきたかったのですが、インフルエンザにかかってしまって更新ができませんでした。 今回は私...

音の感想

DT 1770 PRO

まず、DT 1770 PROでの感想から書きます。2018年7月に聴いたときと比べるとNutubeの真空管モードが良くなっていると感じました。2018年7月の時はトランジスタモードのほうが全然好きだったのですが、今回は真空管モードもトランジスタと同じくらい好きになっています。
トランジスタモードは全般的に安定していてどのような曲を聴いても不快な音が出ません。かといって無難な音にまとまっているかというとそういうこともなく、縦のレンジは広くて高域は天井が高く、低域も下までよく出ます。基本性能が非常に高い音だなという感想は初めて聴いたときから変わりありません。
真空管モードだと高域の量感が増します。前に試聴をした時は「付帯音が多すぎて、全体的に音が整っていなくてごちゃついてる」と感じました。今回も付帯音が多いというのは変わりありませんが、全体的にごちゃついてる感は見事になくなっています。高域はやや軽い音に聞こえることがあるんですが、中域と低域はトランジスタモードでと似たようなどっしりと落ち着いた聴感に変わっています。

例えば、シンバル音を確認するのによく使う「Rio Rush / Fourplay」、「Bisso Baba / Bob James」「Last Train Home / Pat Metheny Group」ではトランジスタモードのほうがすっきりとした高域を聴かせてくれます。真空管モードは少し軽めに聞こえるんですが、量感が増すのでシンバル音が聞き取りやすくなります。音源にもよりますが、良い状態で録音されている曲では真空管モードのほうが魅力的に聞こえると感じました。

「At The End Of The Day / Les Miserables」、「Crush / Kelly Sweet」、「Rangers / A Fine Frenzy」、「Flesh and The Power It Holds / Death」といった曲は真空管モードのほうが好きでした。「Rock the Blues Away / AC/DC」、「Eighteen Angels / Michael Monroe」はトランジスタモードのほうが好きでした。この2曲はシンバルを強く叩くのでどうしても高域の量感が増して付帯音が多すぎると聴きづらくなりますね。

最終的にDT 1770 PROでは真空管モードを使うことが多くなりました。
自分が使っている製品と比較をすると、Cayin i5 DAPより二回りくらい基本性能が高くなっていると感じます。N8とi5は音の傾向も似ていますね。
OPUS #3とは音の傾向が異なるので、単純に比較は難しいです。中域と低域はN8のほうが好みですが、高域の量と質はOPUS #3のほうが好きです。真空管モードだとOPUS #3と同じくらいの量が出るんですが、質はOPUS #3のほうが好きですね。

DT 1770 PROと組み合わせたときのN8 DAPの音量ですが、ノーマルゲインで65から80といったところです。

DT 1990 PRO

続いてDT 1990 PROの感想です。1990は1770に比べると高域寄りのため、真空管モードよりもトランジスタモードのほうが好みでした。1990は静かな宅内で聴いているせいもあると思いますが、真空管モードだと高域の量感が多すぎて音量を5%ほど落として聴いていました。トランジスタモードでも高域が出ていないというわけではなく、私にとってはちょうど良い量と感じます。また中域と低域の量感がトランジスタモードのほうが増すので、全体的に落ち着いた音を聴くことができます。

音量は75から79くらいで聴きました。

N5005

N5005との相性は非常に良かったです。真空管モードとトランジスタモードはどちらが良いと決めるのは難しくて、自分がN8を買うとしたら好みで使い分けるだろうなと思います。「Rio Rush / Fourplay」、「Bisso Baba / Bob James」といったフュージョン系の曲では高域と低域がさらに魅力的に鳴ります。中域も決して悪いわけではなく主張をせずにしっかりと曲の骨格を形成しています。しかし、個人的な好みによってどうしても高域と低域に耳がいってしまいますね(笑)
楽器の音の生々しさも向上しますし、アコースティック楽器の鳴り方が特に良くなりました。「Days of Wonder(Original Mix) / M6」、「Near the End / Mat Zo」といったトランス系の曲は音場がいい感じに広がります。高いところも低いところもよく出ているのと静かなパートと音の出るパートのメリハリが上品に表現されます。「Master of Puppets / Metallica」、「Rock the Blues Away / AC/DC」といったメタル系の曲では迫力とスピード感の表現力が高いです。腹に響くような低音もN5005の得意とするところなので、N8との相性は良いと感じます。N5005は解像力が高く、高域の主張が激しいところがありますが、N8の音の滑らかさとマッチしているように感じます。

音量59から67で聴きました。

RK01

RK01はバランス接続で聴きました。ケーブルはORB Clear forceClear force Ultimateの2種類を試しました。最終的にはClear force Ultimateが好みでよく使いました。
RK01はケーブルのClear forceを使ってOPUS #3とバランス接続をしてよく聴くんですが、ケーブルのClear force UltimateをN8の4.4mmバランス端子に接続するとガラッと聴感が変わります。

N8とRK01

RK01はクールでモニター系の音を出すのが好きなんですが、N8とのバランス接続ではウォームになり音場が広がります。もちろん、RK01の良さや特徴も残っているんですが、結構変わったので驚きました。
私の試聴曲の中だとどの曲も高いレベルで聴かせてくれました。ジャンルは選ばないタイプです。RK01とOPUS #3だと録音の悪い音源をそのままに鳴らすんですが、RK01とN8だと良い具合に録音の悪さを隠してくれます。ここは好みに応じて使い分ければいいと思います。
なお、同じRK01、Clear force Ultimate、N8の組合せをアンバランスで聴くとクールでモニター系の傾向が強くなりますが、i5で聴くほどではありません。やはりN8はi5と比べると少しウォームな傾向にあると感じます。

2.5から4.4への変換アダプタはPWAudioの製品を購入しました。

$('#comp_760').css('width', '100%'); 2017/07/15 ◎スペック 種類:アダプタ 材質:単結晶銅 規格:24AWG ...

2.5から4.4への変換アダプタも各社が出してきて選べるようになってるのはありがたいです。慣れ親しんでいるEffect Audioのアダプタもあったのですが、7900円のものが生産終了(在庫かぎり)になっていて現行品が13800円と高くなっていたのでなんとなくやめておきました。ケーブルがついたタイプの変換アダプタはケーブルで音が変わる可能性が高いので選から外しました。
最終的にPWAudioのケーブルを好んで使っている友人がいることから価格もそれなりで品質も安定してそうなPWAudioにしました。
変換アダプタは過去に安物を購入してすぐに壊れた経験があるので、ビックリするくらい高価なものは買えませんが、それなりの価格の製品を信頼できるメーカーから買うようにしています。

Spark 884A と B&W CDM1NT

N8 DAPのラインアウトからSpark 884Aに接続して聴きました。Spark 884AにはB&W CDM1NTがつながっています。音の違いですが、DT 1990 PROでi5とN8を聞き比べたのと同じような違いがあります。同じ環境で聞き比べたわけではありませんが、個人的にはHA-300MENUETとi5DAPの組合せのほうが好みに感じます。HA-300の時はエレキギターのディストーションとの相性の良さと静かな部分がどこまでも静かなのが強く印象に残っているんですが、N8とSpark 884A、B&W CDM1NTではそこまで強く感じないです。同じ傾向の音ではあるんですけどね。
いつかN8とHA-300、B&W CDM1NTの組合せで聴いてみたいものです(笑)

N8のデザイン

写真でN8のデザインを見ていきましょう。

ケース付きのN8

純正ケースは私が使っているi5 DAPと同じようなタイプなので私の手には馴染みました。少し緩い気がしますが本体が抜け落ちるほどではないです。ケースからの出し入れもしやすいので良い具合だと思いました。

底面

本体底面には左からI2S端子、micro SDカードスロット、USB Type-C端子があります。

右側面

本体右側面にはボリュームつまみと曲選びつまみがあります。
両方とも緩いのでポケットに入れたまま操作をすると誤操作をしやすいです。また、曲選びつまみを押すと一時停止ができるため、ポケットに入れたままだと意図せずに押してしまうことがありました。
いつも私が感じていることの繰り返しになりますが、デザインも重要ながら使いづらくしてしまっては元も子もないので、割り切ってボタンにしても良いんじゃないかと思います。

本体上面

本体上面には左から3.5mmラインアウト端子、3.5mmアンバランス端子、4.4mmバランス端子があります。3.5mmアンバランス端子を使うことのほうが多い私ですが、バランス端子は2.5mmよりも4.4mmのほうが安心感があって好きです。
4.4mmのケーブルは持っていないので、N8の4.4mm端子を試聴するために2.5から4.4への変換アダプタを購入しました。今後も重宝しそうです。

本体裏面

N8で一番気に入っているのがこの裏面です。高級感がありますし、ブラックとゴールドの組合せが好きです。

底面と左側面

裏面のこのカーブも好きです。

底部と正面

底部と正面です。

正面

本体正面です。シルバーとゴールドはいまひとつ高級感がないかなと思います。本体正面のデザインはi5、N5iisなんかのほうが好きです。

裏面

逆に裏面は本当に気に入ってます(笑)

裏面とつまみ

つまみも裏面と撮ったほうが美しいと思います。

上面と裏面

裏面からのショットが多くなってしまいました(笑)

箱は三段になっています。一番上に本体、真ん中にUSBケーブルと純正ケース、一番下にその他のケーブルやアダプタが同梱されています。

まとめ

前編は音とデザインについて書きました。

デザイン

デザインについては前述した通り、裏面が気に入っています。正面はパネル下三角形のボタンに違和感があるのとゴールドとシルバーの組合せが好きではありません。
ふたつのつまみ(ノブ)はデザイン的に良いのですが、使い勝手はいまひとつです。これは後編で感想を書きます。
もう少しすっきりとしたデザインでも良かったと思いますが、創立25周年モデルということで派手にしたかったのでしょうね。

音は2018年7月に試聴をした時と変わらず、非常に印象が良かったです。私がメインで使ってるDAP(デジタルオーディオプレーヤー)のCayin i5 DAPOPUS #3と比べるとヘッドホンよりもイヤホン(IEM)のほうがより良く聞こえるように感じました。また、当たり前ですが、騒音の多い外で聞くよりも静かな室内で聴いたほうが差は大きいです。特にN5005は本領を発揮したかなと思うくらい良くなりました。RK01では4.4mmバランスの良さを感じたものの、3,5mmアンバランスもすっきりとした聴感も良かったです。

音の特徴ですが、レンジが広くて解像力も高いのに落ち着きがあって安定した音という印象です。これだけレンジが広くて解像力も高いと聴きづらくなったり、不安定な部分も出てきたりするんですが、全体的に滑らかな聴感で不快な音が出てくることがありませんでした。
それでも、真空管モードで3.5mmアンバランス端子で聴くと録音状態の良くない音源はそのまま鳴らします。トランジスタモードのほうが落ち着いていて整った音を出すと感じました。
4.4mmバランス端子は音場が広く、ウォームな傾向が強くなり、どのような音源でもいい感じに鳴らしてくれます。
N8 DAPは三種類の音を楽しむことができるのも利点になります。ちなみに私がひとつだけ選ぶとすればトランジスタのアンバランス接続ですかね。選ぶのが難しいですけど、やはりバランスが良いと感じました。

Cayin i5 DAPと比べると全体的に二周りくらい良くなってると感じますが、外で聞く分にはひとまわりくらいかなという印象です。遮音性の高い製品で聴けば別ですが、それなりに周囲の音が入ってくる環境だと違いがわからなくなります。
OPUS #3とは音の傾向が違うので単純に比べることはできませんが、価格や携帯性を考慮せずに音だけで判断すればCayin N8 DAPを選ぶことでしょう。

前編は以上です。
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