じっくりと試聴 SIMGOT MEETURE MT3 PRO イヤホン(IEM)のレビュー

イヤホン
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amahikasです。
EK3に続いてSIMGOT社から「MEETURE MT3 PRO」というイヤホンのレビュー依頼がありました。今回も正直なレビューを書くという私のポリシーを承諾いただいた上でMT3 PROを提供していただきました。

MEETURE MT3 PRO

SIMGOT社についてはEK3の記事で紹介しました。今回紹介するMT3 PROはSIMGOTの姉妹ブランドMEETUREから発売されます。MEETUREというブランドからは主に一万円以下の製品を発売するそうです。

MT3 PROですが、ダイナミックドライバーひとつを搭載したモデルです。コアドライバは私が以前に試聴したEN700 PROと同じものが採用されています。EN700 PROの印象が良かったので期待大です。ケーブルは着脱式で、端子は2Pinを採用しています。EK3と同じ仕様になっていて強度や使い勝手は良いです。標準ケーブルは高純度無酸素銅線と銀メッキ銅線の4本を混合編線で、EK3と同じケーブルのようです。イヤーピースは好みに合わせてバランス型と高域強調型の2種類が付属します。本体のカラーはピンク、グリーン、クリア、クリアブラックの4種類から選ぶことができます。価格は7,800円を予定していて2020年2月1日発売です。

音質的な特徴として「高解像度」「高い適応力」「バランスの良さ」「鳴らしやすさ」がアピールされています。同じコアドライバーを使っていることからEN700 PROと同じ系統の製品と考えて良さそうです。EN700シリーズはナチュラルさが気に入ったので、あのナチュラルさを保ちながらどれだけ基本性能が上がってるのかを楽しみに聴きました。

試聴について

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試聴環境

試聴にはメインで使っているDAP(デジタルオーディオプレーヤー)のCayin N6ii/E01iBasso DX220(AMP1 MKII)を使いました。どちらも3.5mm端子に接続しています。再生アプリはNeutron Music Playerを使っていて設定も合わせています。
N6ii/E01はMid GainでDX220はHigh Gainです。イコライザ類はすべて無効にしてあります。イヤーピースはSpinFitのCP145を着けました。

試聴に使う音源はいつもと同じ曲です。
主にCDから取り込んだAppleロスレス(ALAC)で、試聴に使う曲や聴きどころについてはこちらを参考にしてくださいませ。

オーディオの試聴によく使う曲と聴きどころ(2020年1月改訂版)
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試聴結果

EK3と同じくMT3 PROも箱出しの状態ではやや硬めの音だったので70時間ほど鳴らしました。感想はCayin N6ii/E01で聴いたときの感想です。
それではそれぞれの曲での印象を書いていきます。

Bisso Baba / Bob James

全体的に味つけが非常に少ない音で音源に対して素直です。無理をしたところがなく自然な音を出すのも好印象です。冒頭のベース音は下までしっかりと出てますし、高域も開放的とまでは感じませんが天井が低く感じることはないです。シンバル音はやや軽めの音でもう少し金属的で重厚に鳴って欲しいところです。逆にピアノの音はアタックの強弱が良く表現されているのと響き方がいいと感じます。

Golden Faders / Fourplay

この曲ではベースとギターの音が良かったです。曲が持つ落ち着いた雰囲気はよく表現できてますし、ベースラインのスピード感も表現できてます。シンバル音は違和感があったり聴きづらい音を出すわけではないのですが、普段使ってる製品と比べると差があります。メインのDAPをN6iiとDX220にしてからいつも聴いてる音源がさらに良くなるのを実感していますが、MT3 PROはそういった領域には達しないという感じですね。

Flesh and The Power It Holds / Death

音の密度を上げてみました。こういう曲もちゃんと鳴らすのは軽い驚きを覚えます(笑)
解像度や各楽器の分離、滑らかさでは普段使っている製品に比べると劣りますが、聴きづらいと感じることがないです。無理をせずに自然に鳴らしてる感じですね。クセが少なくて比較的フラットに近いバランスなのも好印象ですが、中域の高い帯域が少し強調されます。
スピード感や暴力的な荒々しさも表現できてますし、メタル系の曲にもよく合います。

Master of Puppets / Metallica

前の曲と比べると音源の粗さもそれなりに出ます。前述の通り、味つけはそれほどなく素直ですね。また、リスニングに適してるという感じでもなく音源の粗さも隠すことなく鳴らします。ギターリフの乾いた音もちゃんと表現できてますね。

At The End Of The Day / Les Miserables

さすがに会場の広さを表現するだけの音場表現は物足りなく感じます。少しこぢんまりとした音になっていますが、冒頭の歓声とパーカッション、低い弦楽器の低い音はしっかりと鳴らしてくれます。

Crush / Kelly Sweet

女性ボーカルは普段使っている製品に比べると少し目立ちます。この曲が持つゆったりとした重厚な雰囲気はいまひとつ表現が甘いと感じます。どちらかというとボーカルにフォーカスをした表現になっていて楽器も聴きたい私には物足りないです。

The Brain Dance / Animal as Leaders

この曲はそつなく鳴らしてるという印象です。違和感や不快な音は出しませんが、非常にクオリティーの高い音を出すかというとそうではありません。しかし価格を考えると上出来と感じるのは他の曲と同じです。

音質的に気に入っている点

なんと言ってもクセがなく素直な点が気に入っています。これは過去にSIMGOT社のEN700やEN700 PROを聴いたときと同じ印象です。解像力、各楽器の分離、帯域の広さ、滑らかさといった基本性能は価格以上です。
どんな曲を聴いても違和感があったり、不快な音を出さないのもいいですね。これは必要以上に背伸びをせずに無理なく音を出すからではないかと思います。逆に言うと驚くような魅力的な音も出しませんし、この製品じゃないと出ないくらい得意分野がある音も出しません。しかし全体としてよくまとまってるのはメリットです。

音質的なデメリット

価格を考えるとほぼデメリットはないのですが、ひとつだけ言うと中域の高い音が強調される点ですかね。女性ボーカルなんかが前に出てくるのはいいかもしれませんが、シンバル音が必要以上に強調されるデメリットも感じました。

デザインと質感

デザインについては写真で見ていきましょう。

外箱

外箱です。比較としてCayin N6ii DAPを並べてみました。最近は大きくて豪華な箱が多いのですが、これくらいコンパクトでいいと思います。

付属品

付属品は、2pin OFC&SPC混合ケーブル、イヤーピース、収納袋、VIPカード&保証書、取扱説明書です。十分な内容ですね。

本体

箱を開けるとこのような形で本体が収まっています。

本体

本体のカラーはクリアです。実際に手で持つとプラスチック特有の質感の軽さは感じます。高級感があるという感じではありませんが、価格を考えると十分です。必要以上に本体が重たくなっていないのも好感です。

2Pin接続部

2Pinの接続部はEK3と同じく本体から少し出っ張ってるタイプです。

本体

こちらも本体の写真です。

ケーブルを接続

本体にケーブルを接続しました。ケーブル側の2Pinコネクタを覆い被せるように取り付けます。取り外しは簡単ですし強度も十分です。

ケーブル側コネクタ

ケーブル側のコネクタをさらに詳しく撮影しました。

ケーブルのプラグ

ケーブルのプラグとY字分岐部分です。こちらも高級感があるとは言い難いですが、軽くてしっかりと作られています。

EK3と比較

MT3 PROとEK3を並べて比較しました。EK3は大きめと感じましたが、MT3 PROはちょうど良いサイズですね。

イヤーピース

付属のイヤーピースを試しましたが、やや硬いため耳への収まりがいまひとつでした。手持ちのイヤーピースを色々と試しましたが、最終的には使い慣れているSpinFitに落ち着きました。
音漏れと遮音性、装着感の評価はSpinFitをつけた状態での感想となります。

音漏れと遮音性

遮音性は電車の中で使っても問題のないレベルです。最近試聴をしているCayinのYB04、EK3などと同様に快適です。音漏れについても同じで私が限界に感じるくらい大きな音で聴いてもほとんど漏れていません。

装着感

MT3 PROはEK3と同等の装着感ながらもスイートスポットが比較的甘いので、多少耳に入れる角度が違っても音への影響は少ないです。EK3はその点では少しシビアで角度が変わると音も変わったため、MT3 PROのほうが使いやすいです。

ケーブル

前述の通り、EK3に付属するケーブルと同じものと思われます。タッチノイズは皆無で軽くて扱いやすいです。その反面、とても絡まりやすいです。それと耳の周りのカーブが少しきついですかね。
一万円以下の製品に付属するケーブルとしては十分と思います。
試しに手持ちのORB Clear forceをつけてみましたが、やはり差はありますね。特に背景の静かさと高域の響き方、全体的な滑らかさに差が出ます。とはいえ、一万円以下の製品に一万円以上のケーブルを買うのもどうかと思いますし、付属のケーブルでも価格以上の音は出ています。

音量(鳴らしやすさ)

CayinのN6ii/E01の音量ですが、59から70で聴きました。iPhone XS Maxでも60%程度の音量で十分でした。どのような製品を組み合わせても出力不足は感じないと思います。

まとめ

期待していたとおり、EN700 PROの音を継承する良い製品でした。この製品が一万円以下で出てくるのはちょっと驚きです。iPhone XS MaxにLightning – 3.5mm変換アダプタをつけた構成とES100とBluetooth接続をした構成でも聴いてみたんですが、非常に満足度の高い音が出ました。CayinのN6ii/E01との組合せだと上流の情報量が多すぎて処理し切れてないと感じるところがiPhone XS MaxやES100だとお互いの性能がちょうど合うのでしょうね。DX220とも組み合わせてみましたが、こちらも上流である程度の味つけをするのでN6ii/E01よりも好印象でした。最近、試聴をした製品で言うとDX160Shanling M6との相性もいいと思います。基本的な音質はいいもののDAP(デジタルオーディオプレーヤー)からの情報量はある程度制限をして、マイルドにしたほうが合うと感じました。正確且つ真面目にすべての音を鳴らすには無理があります。また、私が所有するAKG N5005や最近試聴をしたCayin YB04といった上位機種と比べると奥行き感が狭く、中域が薄く聞こえることがあるので上流で調節をするのが正解と思います。

総合的に考えるとEK3よりも好みでした。N6ii/E01との組合せだとそれなりに価格差を感じることもありましたがよく健闘しています。iPhone XS MaxやポータブルBluetooth DAC/AMPのES100との組合せだと5万円以下のDAP(デジタルオーディオプレーヤー)と組み合わせたのとほとんど変わらない音を出してくれたのも好印象です。EK3はEK3で好きな製品ですが、最良の音が鳴るスイートスポットが狭いです。言い方は悪いのですが、MT3 PROは少し雑に耳に入れても最良の音が鳴るのが利点だと思います。

音の面でいうとMT3 PROとEK3は異なる性格でMT3 PROのほうが上流に素直でナチュラルな音を出します。EK3は情報量が増えても問題にしませんし、より細かい音を聴くのに向いている反面、全体的にややマイルドな音にする傾向にあります。
ということで、MT3 PROはLightning – 3.5mm変換アダプタを使ってiPhoneと接続したり、マイルドな傾向の音を出すDAP、ポータブルBluetooth DAC/AMPと組み合わせる方にお薦めです。

今回は以上です。
以下の記事も合わせて参考にしてくださいませ。

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