デジタルオーディオプレーヤー OPUS #1とOPUS #3の聞き比べ

DAP
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amahikasです。
Twitterのフォロワー様からお借りしているOPUS #1が手元にあるうちにやっておきたかった企画をやってみたいと思います。
私が購入したOPUS #3とOPUS #1の聞き比べです。

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OPUSシリーズの仕様について

左から#1、#2、#3

まずはOPUSシリーズのおさらいをしておきましょう。
仕様について比較表を作成しました。

OPUS #1OPUS #2OPUS #3
CPUARM Cortex-A9 1.4GHz, Quad-Core ARM Cortex-A9 1.4GHz, Quad-CoreARM Cortex-A9 1.4GHz, Quad-Core
MemoryDDR3 1GBDDR3 1GBDDR3 1GB
バッテリー4,000mAh/3.7V Li-Polymer4,000mAh/3.7V Li-Polymer4,000mAh/3.7V Li-Polymer
操作ボタンPOWER, PLAY/PAUSE, FF, REW Vol+ / Vol-POWER, PLAY/PAUSE, FF, REWPOWER, PLAY/PAUSE, FF, REW
音量ボタン式150段階ホイール式150段階ホイール式150段階
出力Phone (3.5mm) / Optical Out (3.5mm)
Balanced Out(2.5mm, 4-pole support)
PHONES (3.5mm) / Optical Out (3.5mm) /
Balanced Out(2.5mm, 4-pole support)
Phone (3.5mm) / Optical Out (3.5mm)
Balanced Out(2.5mm, 4-pole support)
ストレージ内蔵32GB
microSDカードスロット×2(最大200GB)
内蔵128GB
microSDカードスロット×1(最大200GB)
内蔵64GB
microSDカードスロット×1(最大200GB)
サイズ幅72mm
高さ112mm
厚み18mm
幅76mm
高さ124mm
厚み18.3mm
幅74mm
高さ117mm
厚み18mm
重量185g252g220g
DACCirrus Logic CS4398 x 2EA Dual DACSABRE32 ES9018K2M x 2EA Dual DACBurr-Brown PCM1792A DAC
対応音源PCM:24bit / 192kHz
WAV, FLAC, ALAC, AIFF, DSD, WMA,
MP3, OGG, APE
PCM:32bit / 384kHz
WAV, FLAC, ALAC, AIFF, WMA,
MP3, OGG,APE,native DSD(DFF,DSF)
PCM:24bit / 192kHz
WAV, FLAC, ALAC, AIFF, WMA,
MP3, OGG,APE,native DSD(DFF,DSF)

CPU、メモリ、バッテリーは同じスペックです。
OPUS #1のみが音量をボタンで変更するようになっており、#2と#3はホイール式です。
出力は三台とも一緒で、3.5mmと2.5mmバランス端子をひとつずつ装備しています。3.5mm端子はLine Outも兼ねていて、メニューでラインアウトの切り替えが可能です。
内蔵ストレージは三台とも異なる容量になっています。またOPUS #1だけが二枚のmicroSDカードを挿すことができて、#2と#3は一枚のみです。
microSDカードの上限は三台とも200GBです。単純計算をすると#1が32+200+200=432GB、#2が128+200=328GB、#3が64+200=264GBが最大容量となります。
本体のサイズは#2が最も大きくて、#3→#1の順番で小さくなっていきます。重量についても同じ順番です。

音質的に気になるのは三台ともDACが違うことです。#1と#2はデュアルDACなのに対して#3はDACをひとつしか搭載していません。
こうして並べてみると将来的に発売されるかも知れないOPUS #4は旭化成のDACになるのかもしれませんね。(笑)

DACに合わせて再生可能な音楽ファイルも変わります。
#1と#3は24bit / 192kHzが上限です。#2は32bit / 384kHzが上限で一番幅広いです。
DSDは#2と#3がNative再生に対応していて#1は非対応です。
価格は#1が5万円前後、#2が20万円弱、#3が9万円弱となっています。
なんで#2だけこんなに高いんだろうと思っていたんですが、スペックを見て少し納得しました。少しです。(笑)

聞き比べ環境

OPUS #1とOPUS #3の設定は合わせました。GAINはHIGHでイコライザーは無効にしてあります。再生アプリは普段私が使用しているRocket Playerではなく、標準のアプリを使いました。OPUS #1にはいつもCayin i5 DAPに入れているSandiskのmicroSDカード(200GB)を入れて、OPUS #3には同じくSandiskのmicroSDカード(64GB)を入れています。

左がOPUS #1、右がOPUS #3

ヘッドフォンにはDT 1770 PROを使いました。カスタムIEMはVision EarsのVE5です。どちらも3.5mmのイヤホン端子に直接接続しています。
音量は#1も#3も130前後で曲によって合わせました。
音源は主にCDから取り込んだAppleロスレス(ALAC)です。

試聴に使う曲や聴きどころについてはこちらを参考にしてくださいませ。

オーディオの試聴によく使う曲と聴きどころ(2017年2月版)
amahikasです。 昨年のうちに更新しておきたかったのですが、インフルエンザにかかってしまって更新ができませんでした。 今回は私がオーディオの試聴に使う曲をと聴きどころを紹介します。 ちなみに前回の更新は2015年10月でした。 ...

聞き比べた結果

Bisso Baba / Bob James

・1770で聴いた結果

低音域について#3はキレがありますが、#1は量感があります。解像力は#3のほうが上ですね。

・VE5で聴いた結果

こちらも同様の感想です。低音域は#3にキレがあり、#1は量感があります。
高域は#3のほうが伸びやかで開放的な音を出します。滑らかさもありますね。

Flesh and The Power It Holds / Death

・1770で聴いた結果

低音域については前の曲と一緒です。
この曲ではさらに#3のほうが高音域に伸びがあって開放的と感じました。ヒステリックなギターの音色も#3のほうがうまく表現できてます。
それと中音域も#3のほうが厚いのでデスメタルの迫力は#3のほうが出ていますね。

・VE5で聴いた結果

#1のほうが全体的にまとまりがありました。#3は音の分離も良くて各楽器を細かく聴くことはできるんですが、少々聴きづらいと感じました。
情報量が多く、音の密度が高いのはどちらも苦としませんでした。

Rio Rush / Fourplay

・1770で聴いた結果

この曲に関してはほとんど違いがありませんでした。
“Bisso Baba”で感じた低音域の#1が量感重視で、#3がキレ重視というのは同じ印象ですが、”Bisso Baba”ほど大きな差ではないです。

・VE5で聴いた結果

この曲はほとんど違いがわかりませんでした。
#1も輪郭はそこそこはっきりしてますし、#3の低音域も量感があります。

Rangers / A Fine Frenzy

・1770で聴いた結果

低音域の質の違いは同じように違いを感じます。
高域はやはり#3のほうが開放的で上までよく伸びています。滑らかさや解像力も#3が上と感じます。
この曲でも中音域は#3が厚いと感じました。

・VE5で聴いた結果

“Crush”と同じ違いを感じた。
この曲ではベースのうねりがとても好きなのですが、#3はキレよく表現をして、#1は量感たっぷりに表現をするという違いがあります。この違いはどちらが良いということではなく好みのレベルだと思います。

Crush / Kelly Sweet

・1770で聴いた結果

この曲も前の曲と同じような違いを感じましたが、差は少ないです。かなり集中しないとほとんど違いがわからないです。

・VE5で聴いた結果

#1は全体的に優しい音と感じます。ウォームで低音域も量感があります。
#3は音の輪郭がはっきりとしていて、キレがあります。その分、長時間聴くとなると#1のほうが向いてるかなと思います。
#3は音の分離もいいのでこの曲ではアコギが気持ち良く聞こえます。

At The End Of The Day / Les Miserables

・1770で聴いた結果

この曲は違いがはっきりとわかりました。
冒頭のパーカッションは#3のほうがよく聞こえます。細かくて滑らか、かつ伸びがあって開放的です。
オーケストラの迫力も中域の量があるので#3が上です。コントラバスなど低い弦楽器の音も#3のほうがよく沈み込んでいます。
これまで違いを感じなかったスピード感も#3のほうが的確に表現しているように思います。

・VE5で聴いた結果

スピード感は#3のほうが的確だと思います。高域については1770で聞いたときほどの違いは感じませんでした。ほとんど一緒です。
低域はわずかながら#3のキレがあって、#1のほうが量感があります。

Master of Puppets / Metallica

・1770で聴いた結果

わずかにシンバルの余韻が少し違うかなというくらいで、他は違いを感じませんでした。
この曲はもっと違いを感じるかなと思っていたんですけどね。

・VE5で聴いた結果

この曲も#3の高域が目立ちます。シンバル音と余韻をよく聴きとることができます。
#1がウォームなのに対して#3は少し輪郭がはっきりしています。#3もウォームでリスニングに適したチューニングをしてあるのですが、#1と比べると#3のほうが輪郭ははっきりとしていますね。

Rock the Blues Away / AC/DC

・1770で聴いた結果

この曲はこれまでと同じような違いを明確に感じることができました。
比較的、新しめの音源のほうが違いがわかりやすいように思います。

・VE5で聴いた結果

#3のほうが高域が目立つ他は違いがほとんどわかりませんでした。VE5のほうが耳に近いので違いがわかりやすいかなと思っていたんですが、そうでもありませんでした。

使い勝手の比較

次に使い勝手について比較をしていきましょう。
使い勝手で違いを感じているのは以下の点です。

  • 音量ボタンとホイール
  • 本体の材質
  • microSDカードのスロット
  • ケースからの出しやすさ
  • 持ちやすさ
  • Playlistの認識

#1はボタン式で#3はホイール式です。ホイールは見た目がいいのですが、ボタン式のほうが使いやすいと感じます。どちらも同じく150段階で音量を調節できますしね。
ホイールにしたほうがガジェット感があり、所有欲も満たされるという効果があるのは理解できますが、私にとってオーディオ製品は「音楽を楽しむための道具」という側面のほうが強いので、個人的にはボタン式のほうが使いやすいです。
欲を言うと、右側にあるといいなと思います。

本体の材質ですが、前にも書いたとおり、#1のほうが使いやすくて好きです。
音量ボタンとホイールの関係に似ていますが、#3のほうがデザインが良く、所有欲は満たされますが、#3は扱いに慎重になってしまいます。また、#1は手に良く馴染むんですが、#3は触り心地がいまひとつです。痛いとまでは言いませんが(笑)
もし、本体の材質が音質に影響をしているとしたら#3の材質でいいです。
microSDカードスロットですが、#1はフタを開けないといけません。
これはひと手間かかるのと、耐久性の点で不安です。#2も#3もフタは採用していないのでメーカーも考慮をした結果なのだと思います。

OPUSシリーズはどれも純正ケースから出しにくいという欠点がありますが、#1よりも#3のほうがちょっと出しやすいです。
ただし、Cayin i5 だPの最初のケースのように本体がケースから抜けてしまうという心配はありません。
#1のほうが幅が小さいので手に良く馴染みます。持ちやすいです。

私にとって大きな違いはPlaylistの認識です。
#3はmicroSDカードに転送したm3u形式のPlaylistを標準再生アプリが認識してくれます。
#1のほうはPlaylistがあることは認識していて、Playlistの名前を一覧で表示してくれるんですが、Playlistをタップすると中になにも入っていない状態になります。Playlistは認識しているものの曲との紐付けまでは理解できていないようです。

#3を使うときはサードパーティー製の再生アプリを使っていますので、標準アプリは使わないんですが、サードパーティー製アプリも動作が保証されているわけではないのでいつまで使えるかわかりません。
#3であればm3u形式のPlaylistをmicroSDカードに保存してやれば、サードパーティー製再生アプリと同じような使い方ができますので、私にとってはここはとても重要です。
以前、友人のOPUS #1を聴かせてもらったときに音がとても気に入ったので、使い勝手について調べてみたらPlaylist関連機能はほとんど期待しないほうがいいと書いてる方がいて残念に思ったことを思い出します。

そんな私がOPUS #3に飛びついたのはとても自然なことだったのですよね。

【追記:2017/08/13】

OPUS #1で「m3u形式のPlaylist」が正しく認識されないと記載しましたが、最新版のファームウェアver.2.00.07だと認識されるそうです。
私自身は試していないのですが、m3uファイルの文字コードをUTF-8にし、m3uファイルをルートフォルダに保存することで認識をするとのことです。

個人的にOPUS #1の弱点はPlaylistだったので、これでOPUS #1もお薦めすることができます。
また、ファームウェアの開発を続けるメーカーの姿勢も尊敬します。

まとめ

OPUS #1とOPUS #3の違いについて音質と使い勝手の面で書きました。
その他の点ですが、液晶はOPUS #3のほうがきれいでフォントも見やすいです。操作性は差がなくタッチパネルの反応も一緒ですね。
出力については#3のほうがやや大きいようで、#1の音量を3から5上げないと合いませんでした。

音質面のまとめですが、基本的な音の傾向は同じです。どちらもウォームでリスニング向けの音になっています。
バランスは#1が中低音寄りで#3がやや中低音寄りと感じました。特に#1は低音域に量感があるので#3よりも低音が主張します。
解像力についてはどちらも高いレベルにありますが、#3のほうがわずかながら高いと感じました。音の粒はどちらも尖っていなくていい具合に丸まっています。
ただし、#3のほうが輪郭ははっきりしています。

音場の広さ、奥行き感についてもほぼ同じと感じました。
ただし、#3のほうが高域の量が多いので開放的で伸びやかに感じます。逆に#1のほうは低音域に量感があるので、曲によっては音場が少し広く感じられます。

ただし、これらの違いもかなり集中しないとわかりませんでした。
外で音楽を楽しみながら聴いているような状況であれば、ほとんど気にならないレベルの違いです。

使い勝手については記載をしたとおりです。
#1も#3も一長一短あるという印象ですが、やはり#1の携帯性に優れた作りは魅力を感じます。これはOPUS #1を使っている友人が度々Twitterにも書き込んでいましたが、本当に良くできていると思います。

音楽ファイルやPlaylistの転送、アプリを使うことができるなど、OPUS #3は私の使い方に合った方向に進化していると感じます。
やはりDAP(デジタルオーディオプレーヤー)は音が良いだけではダメで、使い勝手もとても重要だと思うんですね。
海外ではSpotifyやTIDALを使うユーザーも増えてきてストリーミングアプリが動作するDAPの人気が高まっています。

今後も音だけでなく使い勝手、特に音楽ファイルの転送の面で便利になっていくと個人的にはありがたいです。

今回は以上です。

OPUS #1の後継機であるOPUS #1Sが発売されました。
個人的にOPUS #1で不満に感じていた出力と高域の量が改善されていてお薦めです。

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