じっくりと試聴 FAudio Passion イヤホン(IEM)のレビュー

amahikasです。
ありがたいことにFAudioのPassionを友人に貸してもらいました。発売されてから非常に評判が良く、人気の製品です。
実はMajorも長期間、友人に借りていたのですが、ブログを書く時間と気力がなかなか湧かなくて記事を公開するまでに至りませんでした。
Majorもいろんな環境で長時間聴いたので比較をしながらPassionの感想を書きたいと思います。

FAudio Passionについて

Passionは2018年12月に日本で発売された製品で、FAudioブランドとしてはもっとも安価なユニバーサルタイプのイヤホン(IEM)です。9mmのダイナミック型ドライバーを搭載して2Pinコネクタを採用しています。独自開発のイヤーピースが付属するのは同社のハイエンドモデルのMajorと一緒で「FA Vocal」と「FA Instrument」というイヤーピースが付属します。

詳細な情報は公式サイトを参照願います。

価格は3万円台です。

Passionの音

音について書く前に試聴環境を紹介しておきます。

試聴環境

Passionの試聴環境はメインで使っているDAP(デジタルオーディオプレーヤー)のCayin i5 DAPOPUS #3を主に使いました。どちらも3.5mm端子に接続しています。
OPUS #3の設定はHigh Gain、Cayin i5はLow Gainで、イコライザ類は両方とも無効にしてあります。

イヤーピースはortofonのLサイズを使っています。最初はMサイズを試したのですが、ステムが短いタイプのため、耳が痛くなってしまいました。ケーブルは標準のものをそのまま使っています。ortofonのイヤーピースと並行してメインで使ってるSpinFitも試しましたが、小さいサイズ(SかM)しかないのでやはり耳が痛くなりました。私の環境の中ではOrtofonのLが一番合いました。

試聴に使う音源はいつもと同じ曲です。
主にCDから取り込んだAppleロスレス(ALAC)で、試聴に使う曲や聴きどころについてはこちらを参考にしてくださいませ。

https://music.iiotode.com/?p=7601

試聴結果

それではそれぞれの曲での印象を書いていきます。

Bisso Baba / Bob James

低域の量感と力強さに圧倒されます。中域にも量感があるのがFAudioの特徴ですね。高域は少しカラッとした音を出します。中域と低域はウォーム且つ滑らかですが、高域は滑らかさが足りなくて音の粒もより細かいほうがいいと感じます。高域で良いなと思うのはピアノの音です。適度に湿り気があってつややかに聞こえます。全体的なバランスは中低音寄りです。

Rio Rush / Fourplay

バスドラを軽く踏んだときの空気感をよく表現できてます。中域と低域の表現力は高くて音楽を楽しく聴かせるのがうまいです。
高域はこの曲でもやや粗さがありますが、聴いていられないというほどではありません。音場は横と前後に広いタイプです。ゆったりと聴くことはできますが、少し耳に近いところで鳴ります。
縦のレンジはもう少し欲しいところですね。高域は開放的というよりも少し天井が低く感じます。低域についても量感はあるものの深度はもうひとつといったところです。

Flesh and The Power It Holds / Death

デスメタルを聴いてみました。迫力と疾走感の表現力が高く、特にベースの音が魅力的です。解像力がすごく高いというわけではありませんが、価格を考えると十分で分析的と言うよりも楽しく音楽を聴くための製品と感じます。
この曲に関して難をひとつだけ挙げるとすればギターリフのディストーションの表現力がいまひとつというところです。高域がやや粗いせいか歪みも粗くなります。

Master of Puppets / Metallica

この曲は音源の粗さがそれなりに出ると感じました。特に中域が整理されておらずゴチャっと聞こえます。意外と悪い音源はそのまま鳴らすタイプですね。

At The End Of The Day / Les Miserables

迫力は表現できてますが、細かな描写はいまひとつです。もう少し各楽器が分離して欲しいのとやや雑に聞こえることがありました。

Crush / Kelly Sweet

この曲はいいですね。私のいつもの環境に比べるとボーカルが前に出てきます。逆にバックで鳴るアコギの高域やシンバルの主張が減ります。ベース音は滑らか且つ包み込むような音で気持ちがいいです。

Rock the Blues Away / AC/DC

この曲は良かったです。音の密度が低く、情報量が少ない音源のほうが得意のようですね。ただ、この曲でもギターのディストーションはいまひとつと感じました。歪んだ音については滑らかというより粗めの音になります。シンバル音もややつぶれた感じに聞こえますね。

The Brain Dance / Animal as Leaders

この曲はとても良かったです。どの楽器も滑らかで気持ちよく聴くことができます。やはり音の密度が低いほうが得意ですね。
中域と低域に量感がありウェットな聴感なので、アンビエントな雰囲気がよく出ています。ベース音は音場が広くて包み込むように聞こえますし、うっすらと入るキーボードのSEも雰囲気をうまく作っています。全体的に音がよく響いて余韻がよく残ります。やや過剰な演出とも感じますが、この手の曲にはよく合います。
ギターのディストーションはAC/DCやメタリカほど強く歪ませてるわけではないので、あまり気になりませんでした。シンバルも強く叩くわけではないので粗いとは感じませんでした。むしろ魅力的に聞こえますね。
ドラムの音も全体的に深くて良かったです。バシッとアタック音がはっきりとしているわけではなく柔らかいタイプの音を出します。

デザインと質感

写真で見ていきましょう。

Passion本体

Passion本体

オーソドックスなデザインで好みです。今時の製品に比べると見た目は普通ですが、装着感を重視しているのは好感です。質感についても同様です。

ケーブルとプラグ

標準のケーブルとプラグです。こちらもオーソドックスなデザインですね。
試聴はこの標準ケーブルを使いました。2PinのケーブルはVision EarsのVE5用に購入したAres II+が手元にありますが、Passionはケーブルを抜いたり挿したりするのも硬かったのでやめておきました。

AKG N5005との比較

N5005のほうが少し小ぶりですね。ただPassionのほうが薄いです。
全体的に奇をてらってるわけでもなくオードソックスなデザインとなっています。質感についてもほどほどで好感が持てます。

音漏れと遮音性

音漏れは問題ありませんが、遮音性は低いです。私が所有しているユニバーサルタイプのイヤホン(IEM)だとWestone 4R > Pinnacle P1 = Ar:tio RK01 >> AKG N5005の順番で遮音性は悪くなるんですが、PassionはN5005と同じくらいです。電車内、特に地下鉄では結構雑音が入ってきてしまいます。

最近は開放感を出すために遮音性を犠牲にしている製品が多いですね。私がメインで使用しているAKGのN5005も電車内で使うにはいまひとつですし、ヘッドホン祭で試聴したMEZE AudioのRAI PENTAもいまひとつでした。
カスタムIEMのように遮音性が高すぎると外で使うのに不安になりますし、低すぎると外で使うのに音楽に集中できなくなったりとなかなか良い塩梅に仕上げるのが難しいと感じますが、音楽を快適に聴く上で、装着感と同じくらい重要なファクターだなと改めて思いました。

装着感

装着感は良好です。私が所有している中だとWestone 4R > Pinnacle P1 = Ar:tio RK01 >  AKG N5005の順番ですが、PassionはP1やRK01と同等でした。

イヤーピース

試したのは以下のイヤーピースです。

  • SpinFit CP100
  • SpinFit CP145
  • ortofon
  • Spiral Dot++

最終的に一番合うと感じたのはortofonでした。SpinfitのCP100とCP145はSとMサイズを試しましたが、耳の奥まで装着しないと安定しないため、耳が痛くなってしまいました。逆にSpiral Dot++は耳の奥まで入らずに少し浮いたような形で装着をするという感じでした。ortofonはLサイズがもっとも装着感が良くて、Spinfitほど耳の奥まで入れなくても安定し、耳が痛くなることもありません。音についても特に着色されることがないので総合的に満足度が高いです。

ケーブル

Passionは2Pinコネクタを採用していますが、ケーブルの抜き差しが硬いので標準で付属する「Black Jacket Silver Plated Litz Cable」で聴きました。
音についてはこの標準ケーブルでも十分と思いますが、他のケーブルも試してみたいですね。

音量(鳴らしやすさ)

Cayin i5 DAPではLOW GAINで32から35で聴きました。OPUS #3はHIGH GAINで66から71です。比較的鳴らしやすい部類なのでスマートフォンと直接接続しても良いのではないかと思います。

まとめ

Passionと私のイヤホンたち

個性的でなかなか評価が難しい製品という印象です。
まず、全体的なバランスは中低音寄りです。上位機種のMajorに比べると高域の主張が強いので個人的にはPassionのバランスのほうが好きです。
音質は全体的にウエット且つウォームで、長時間聴いても聴き疲れをしないタイプですが、意外と音源の善し悪しも素直に鳴らすタイプです。特に高域が素直と感じました。中域と低域はある程度音源の悪さをカバーしてくれます。
音場は少し広めです。特に中域と低域が広く感じました。逆に言うと天井が広くて高いとは感じませんでした。
途中から気になったのが音の近さです。結構耳に近い所で音が鳴るので、音圧が高い音源だとつぶれたように聞こえることがありました。鳴らしやすいという利点はありますが、私のようにヘッドホンをメインで聴くためにシステムを作ってると合わないかなと思うことがありました。

装着感は良好です。本体も軽いので外で使うのも苦になりません。ただし、遮音性がいまひとつだったので、騒音が大きい地下鉄などの使用にはあまり向かないと思いました。

他の製品との比較ですが、価格を考えると私が所有しているAr:tio RK01Pinnacle P1と比べるのがフェアです。実際、Passionを聴きながら自然とRK01とP1と比較をすることが多かったです。
まず、RK01との比較ですが、全体的なバランスはRK01のほうがフラットに近いです。ただ、音が近くて音圧が高い音源が苦手というのは同じと感じました。RK01を購入したときにPassionも候補に挙げていたらかなり迷ったと思います。現在進行形でPassionを購入候補に挙げてる方がいたらRK01と聞き比べることをお薦めします。どちらも良いところと悪いところがあるので、好みに応じて選ぶといいと思います。
P1と比べると低域はPassionのほうが量感があります。中域については大きな差は感じません。高域はP1のほうが好きですが、P1はケーブルを変えることが前提なので、標準ケーブルでの価格を考えると全体的なパフォーマンスではPassionが勝ると感じます。

上位機種のMajorと比べると高域の質だけでなく中域と低域の表現力に差を感じました。とは言え、Passionの価格を考えると健闘してますし、音源が良ければ不満はほとんどないという印象でした。

結論としてはPassionとRK01を比べていてもRK01を購入したと思いますが、良い音源を聴くときはPassionのほうが好みの音を出していました。前述した「評価が難しい」と感じた原因ですね。
最後になりますが、FAudioについては先日イベントで試聴をしたMinorがとても良かったので、引き続き追いかけたいと思っています。

今回は以上です。
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