春のヘッドホン祭 2019 レポート3 MEZE AUDIO RAI PENTA、SIMGOT EM2、FOCAL ELEGIA、他

イベント

amahikasです。
春のヘッドホン祭2019のレポート3です。
この記事ではMEZE AUDIOの新しイヤホン(IEM)のRAI PENTA、SIMGOTのEM2、FOCALの密閉型ヘッドホンELEGIAなどについて書いていきます。

試聴環境

本題に入る前に今回のイベントの試聴環境を紹介しておきます。
DAP(デジタルオーディオプレーヤー)はメインで使っているCayin i5を使いました。今回はN6iiという大本命が出ていたので、比較をする上でもなるべくCayin i5の音に耳を慣らすようにしました。Cayin i5はいつも通りLow Gainでエフェクター類は無効にしてあります。
ヘッドホンはメインで使っているDT 1770 PROを使いました。DT 1770 PROにはORBのClear forceといういつもの環境で試聴をしました。

音源は主にCDから取り込んだAppleロスレス(ALAC)です。
たまにHF PlayerでFLACの96kHz/24bitの音源も聴きます。
試聴に使う曲や聴きどころについてはこちらを参考にしてくださいませ。

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MEZE AUDIO RAI PENTA

MEZE AUDIOが前々から試作機として出していたRAI PENTAを4月26日に発売したので聴いてきました。店頭予想価格は128,000円前後で意外と安かったです。Empyreanの後なので勝手に20万超えを想像してました(笑)

RAI PENTA

写真の通り、デザインと質感がとてもいいです。手で持つと適度な重量もあって高級感をうまく演出してると思いました。さすが細部にもこだわるMEZE AUDIOらしい良い製品ですね。

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音の感想

i5の3.5mm端子に接続して聴きました。

At The End Of The Day / Les Miserables

音量は30です。冒頭のパーカッションと歓声はしっかりと再現されてます。高域はナチュラルさや滑らかさというよりもくっきりとした音を出す印象です。
低域は深く出ていて量感もあります。響き方も強調するところがなくていいです。

Bisso Baba / Bob James

この曲は音量34で聴きました。
ピアノの響き方がとてもきれいなのが印象的でした。ベース音もいいのですが、キレというよりもウォームな低音でしっかりと耳を包んでくれます。高域のシンバルは少し粗くなりました。中域と低域は99 Classicsや99 Neoと同じ傾向ですが、高域はくっきりとした音を聴かせるので少し違和感があります。
音場が広めなのも99シリーズと似ています。

Rio Rush / Fourplay

音量は同じく34で聴きました。
やはり高域がくっきりとしていてしゃきしゃきとしたシンバル音になっています。開放感があるのはいいのですがやや人工的な鳴り方をしますね。

装着感と遮音性

標準のイヤーピースをつかいましたが、装着感は普通でした。遮音性はあまり良くなくて話し声が聞こえてきました。
いつも使ってるイヤーピースにすれば装着感と遮音性はもう少し良くなると思いますが、直前に聴いたWestoneのW60とかなり差がありました。

MEZE AUDIO RAI PENTAのまとめ

RAI PENTAは初めて聴いたんですが、高域がいまひとつという印象でした。前に聴いた真鍮タイプのイヤホンのほうが私には合いそうです。

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SIMGOT EM2

EN700シリーズが個人的に好きなSIMGOT社がハイブリッド型イヤホンのEM2を出しましたね。一緒に見て回っていた友人がとてもいいというので聴いてみました。

EM2の感想

EM2

EM2は1BA + 1DDのハイブリッド型イヤホンです。
EN700シリーズの頃から感じていますが、安価ながらも本体からケーブル、プラグまで細部にこだわるメーカーです。

i5の3.5mm端子に接続して聴きました。

Rio Rush / Fourplay

音量は37で聴きました。
高域はやや軽めの音でシャカシャカと鳴ります。落ち着きや上品さには欠ける印象です。
低域は量感とキレが共存していてなかなか良いです。中域は主張をしないタイプで全体的にすっきりとした聴感になってます。

Bisso Baba / Bob James

同じく音量37で聴きました。
ピアノの響き方が上品で好印象です。この曲も高域が物足りないですね。量はそれなりにあるんですが、もう少し自然で開放的な音だと上位機種に迫ることができると思います。

Master of Puppets / Metallica

この曲も音量は37です。
この手の曲では低域の迫力がなかなか気持ちいいですね。中域の主張は強くありませんが、しっかりと曲を支えてます。
帯域が広いとは感じませんが、この曲はレンジが広いわけではないのでよく合うなと感じます。

At The End Of The Day / Les Miserables

会場の広さをしっかりと表現できます。オーケストラの迫力は表現できてますが、分離についてはいまひとつと感じました。

SIMGOT EM2のまとめ

標準のイヤーピースが耳に合わなかったので、いつも使っているSpinFit CP145を着けました。装着感は良くて遮音性も十分でした。
価格は15,000円以内になりそうとのことです。価格を考えるとよくまとまっているように思います。
濃い味つけをするタイプではなくすっきりと原音に忠実なタイプの製品だと感じます。同社のEN700シリーズと似た傾向ですが、EM2はよりモニターに近い音になっています。EN700シリーズもクセがない良い製品ですがもう少しウォームな傾向だったと記憶しています。

デザインと質感も価格を考えると上出来なのですが、個人的にはEN700シリーズの個性あるデザインが好きでした。

FOCAL ELEGIA

ELEGIA本体

ELEGIAはFOCAL社の密閉型ヘッドホンです。秋のヘッドホン祭2018で展示されて12月に発売となりました。価格は10万円強です。
FOCALの開放型ヘッドホンELEARはこのブログでも何度か取り上げていますが、非常に気に入っているヘッドホンのひとつです。開放型ヘッドホンは使用頻度が少ないので購入には至っていませんが、チャンスがあれば欲しいという一品です。
そんなわけで密閉型のELEGIAにはとても興味があります。ELEARの音を外に持ち出せるならDT 1770 PROの強力なライバルになります。もっとも音の傾向が違うので私は使い分けますけどね(笑)

ELEGIAの音の感想

ELEGIA本体

ELEGIAはCayin i5の3.5mm端子に接続して聴きました。
聴いたのは「Rio Rush / Fourplay」、「Master of Puppets / Metallica」、「Bisso Baba / Bob James」の三曲。音量は48から58で聴きました。

高域が量的に十分でよく目立っていますが、少し硬めの音でシンバルなんかは人工的に聞こえました。中域から低域の間に谷があるようで、三曲ともに迫力が出ていませんでした。特にMetallicaにはまったく合わなかったです。全体的にナチュラルさよりもカッチリとした音ですね。ELEARよりもCLEARに似てると感じました。縦の帯域は広く、高域も低域もよく出ています。全体的に音場も広いです。音の傾向はクールでカッチリと聴かせるほうです。非常によく整理された音と感じます。
気になったのは前述の中域から低域にかけて谷があるのと少しこもる感じがあることです。

FOCAL ELEGIAのまとめ

期待していた音ではなかったのが正直なところです。ELEARはナチュラルさと開放感、アコースティックな音の傾向が気に入っていますが、密閉型にするのは難しいだろうと思っていました。ELEGIAはどちらかというとELEARよりもCLEARを密閉型にしたモデルだと思いました。CLEARとELEARはデザインこそ似ていますが、出音はかなり違っていて個人的にELEARは好きですが、CLEARは好みに合いません。逆に言うとここ数年でFOCALが出してる高級路線のヘッドホンの中でELEARの音が特別な存在なので貴重かもしれませんね。早めに手に入れておいたほうがいいのかもしれません。

他に聴いた製品

秋のヘッドホン祭で気になっていたイタリアのヘッドホンメーカー、Spirit Torinoの製品も聴いてきました。Spirit TorinoはGradoのリペアを手がけていたそうで、同社のヘッドホンもGradoをデザインが非常によく似ています。

The Radiante

The Radiante

The Radiante

まず、新発売となる密閉型のThe Radianteを聴きましたが、帯域バランスが中低域に寄りすぎていてまったく好みは合いませんでした。高域はほとんど聞き取れないですし、全体的にこもってます。
デザインと質感は本家Gradoよりも良いです。装着感はそこそこでした。上質のイヤーパッドを使ってると思いますが、サイズがひとまわり小さいと思いました。それと側圧が緩かったです。圧迫感がないのは良いですが、外で使うとなると遮音性と音漏れの点で問題が出ると思います。

開放型のモデル(レッド)も聴きました。The Radianteと同じ傾向の音で、中低域寄りにかわりはありませんが、高域もしっかりと出てました。帯域レンジはさほど広くないのと中域の量感が多すぎるのが私の好みには合いません。しかしデザインや質感を考えると日本でも人気製品になってもおかしくないでしょう。
ちなみに本家Gradoとは異なる音作りです。青のサウンドを期待すると肩すかしを食らいます(笑)

イタリアのオーディオメーカーというと前にヘッドホンを聴いたPRYMAを思い出しました。

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PRYMAもレザー素材をうまく使って独特のデザインと質感のいいヘッドホンを作っています。また、音も中低域寄りでウォームでした。イタリア人はこういうサウンドを好むのでしょうかね。

まとめ

春のヘッドホン祭 2019のレポートはこれで終わりです。短時間でしたが、集中して聞き体制品を聴くことができました。心残りなのはWestoneのBシリーズを聞き忘れたことです。またの機会に店頭などで聴いてみたいと思います。

イベント全体を通して感じたのはワイヤレス製品がすごい勢いで増えてますね。私も過去にB&W P7 Wirelessを所有していて、現在はAventho Wirelessを使っています。ワイヤレスDAC/アンプのES100も持っているので、ワイヤレスに対して抵抗があるということはないのですが、メインで聴くのはまだ有線のほうが音は良いと感じています。むしろ、これまでオーディオに興味のなかった友人からお薦めのワイヤレスイヤホンを教えて欲しいと頼まれることが多いのでライト層に向けた製品が多いと感じます。有線タイプだと一万円以上払うのをためらう人が数万円のワイヤレスイヤホンを買う時代なのでポータブルオーディオの裾野を広げるには良いチャンスじゃないかと思います。

ヘッドホンに比べるとイヤホン(IEM)のほうが活況な状況が続いています。個人的には密閉型のいいヘッドホンに対してまだ貪欲ですが、ヘッドホンは音の点で差別化をするのが難しいくらい煮詰まってきているように思います。反面、イヤホン(IEM)はまだ進歩の余地があって、私も定期的に気に入る製品が出てきます。静電型ドライバなんかも新しく出てきてます。製品としてこなれるまで時間がかかりそうと思って見ていますが、どこからどんな製品が予想するのも難しいです。

DAP(デジタルオーディオプレーヤー)は音の点で煮詰まってきてるなと感じます。各メーカーともに最新のDACを搭載して新製品を出していますが、個人的には好みの製品が少ないです。DAPで面白いのはストリーミングサービスを使えるように各メーカーともアプリ対応が目立ちます。いろんな形でアプリを使えるように工夫をしているのも面白いですね。

今回のイベントで聴いて一番印象が良かったのはFAudioのMinorです。次点はWestoneのW60。非常に楽しみにしていたCayinのN6iiについては今後も何度か試聴をして今回の印象が正しいのかを確認したいと思います。新しいオーディオマザーボードが出てくれば音も変わると思いますので、そちらも楽しみです。

最後に主催および関係者のみなさまと一緒に聞いて回ってくれた友人たちに御礼を申し上げます。

今回は以上です。
以下の記事も合わせて参考にしてくださいませ。

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