amahikasです。
春のヘッドフォン祭2018の記事第2弾です。
試聴環境
試聴に使った機器は各製品の項目で記載していきますが、音源は主にCDから取り込んだAppleロスレス(ALAC)です。
試聴に使う曲や聴きどころについてはこちらを参考にしてくださいませ。
FiiO M7
FiiOからM7というDAP(デジタルオーディオプレーヤー)が発表されました。DAPはCayin i5とOPUS #3をメインで使っていますが、オンイヤーヘッドフォンのAventho wirelessを買ってからaptX HD対応のDAPが欲しいと思っています。
FiiO M7はaptX HD対応で、価格も3万前後になることが予想されています。端子はUSB Type-C、OSはAndroid 7.0と私にとっては必要十分なスペックです。
DAP(デジタルオーディオプレーヤー)としてはエントリーモデルなので、音質についてはミドルレンジやフラグシップモデルほどの音質は期待していません。
FiiO M7の詳細については公式サイトを参考にしてください。
試聴結果
試聴はメインで使っているヘッドフォンのDT 1770 PROを直接、M7に接続しました。
Rangers / A Fine Frenzy
FiiOのカラッと乾いた音は健在です。高域から低域まで広い帯域が鳴る曲ですが、全体的にすこしこもります。また、音がひとかたまりの団子になって聞こえますね。
Bisso Baba / Bob James
この曲はゆったりと聴くことができました。解像力は低いんですが聴きやすい音にまとめられていると感じます。
全体的にFiioらしい乾いた音になっていて、あまり味付けもしてないですね。
バランスは低域が少し目立っていると思います。
Flesh and The Power It Holds / Death
情報量の多いこの曲では全体的に粗さが目立ちました。
解像力が低いとか高域と低域のレンジが狭いのは価格を考えると我慢できるのですが、情報量が多くなることによってこれだけ粗くなるのは基本的な性能に問題があるのかなと思います。
FiiO M7のまとめ
安価で扱いやすいaptX HD対応ということで期待して聴いたんですが、ちょっと基本的な音質に難があるかなと思いました。
UIは使いやすかったです。迷わずに操作ができましたし、もたつくこともありませんでした。しかしAndroidモードに移行する方法がわかりませんでした。Android OSのDAPと聞いていたのでAndroidアプリも使えるのかなと思ったのですが、色々といじくってもGoogle Playの画面に行くことはできませんでした。
同じ価格帯だとCayinのN3やPLENUEの印象が良かっただけにちょっと残念な結果となりました。
Meze Audio Empyreanと試作イヤホン
わたしがサブヘッドフォンとして使っている99 ClassicsのMeze Audioです。
Mezeは今回、全世界的にも話題となっているヘッドフォンのEmpyreanと試作品のイヤホンを出展していました。
まずヘッドフォンのEmpyreanですが、数曲ほどOPUS #3で試聴をしました。
高域と中域の細かさ、滑らかさ、解像力は非常に高いレベルにあってよくできてると感じました。
ただし、ちょっと驚いたのが低域の量感がかなり不足していることです。同じヘッドフォンでいうと私は開放型のDT 1990 PROを気に入って使っています。1990は決して低域に量感のあるタイプではなく必要十分な量感と思っているんですが、Empyreanはさらに少なかったです。
私はあまり低域にこだわるほうではなく、むしろ最近は低域が出すぎていると敬遠するほうなんですが、そんな私でもEmpyreanは低域には不満を感じました。もしかするとパワーのある据え置きアンプだと鳴るのかもしれませんね。
イヤホンはいくつか出ていましたが、私が聴いたのは真鍮タイプの試作品です。
このイヤホンはとても良かったです。
ヘッドフォンの99 Classicsに似た音を出してました。まだまだ試作段階とのことですが、今後注目していきたいと思います。
beyerdynamic Amiron wireless
お次はbeyerdynamicのAmiron wirelessです。
この製品は開放型ヘッドフォンのAmiron Homeの密閉型ワイヤレス版です。Amiron Homeは開放型ヘッドフォンとして高い評価を得ていて、私も好きです。開放型のヘッドフォンは使用頻度が少ないので現在はDT 1990 PRO一本に絞っていますが、使用頻度が高ければAmiron Homeも欲しいところですね(笑)
Amiron Homeの試聴結果については以下の記事を参考にしてください。
Amiron wirelessのワイヤレス部分ですが、同社のオンイヤー密閉ワイヤレスヘッドフォンのAventho wirelessとまったく同じと思ってください。右カップを触って操作するのも一緒ですし、ケーブルが右出し、BluetoothはaptX HD対応というのも一緒です。
Aventho wirelessとAmiron wirelessの違いは装着方法がオンイヤーかオーバーヘッドかというところが一番大きいです。
Amiron wirelessは密閉型なので私がメインで使っている密閉型ヘッドフォンのDT 1770 PROと同様に外で使えたら面白いなと思って試聴しました。先に書いたとおり、DT 1990 PROも好きなんですが、Amiron Homeも良い製品だと思っています。あのAmiron Homeの音を外に持ち出せたら1770と違う使い方ができるので私にとって魅力的な製品となる可能性があるわけです。
それではAmiron wirelessの試聴結果を書いていきます。
試聴環境ですが、OPUS #3直接接続しました。Amiron wirelessは標準ケーブルを使用しましたが、Aventho wirelessの標準ケーブルと同じものと思われます。なお、ワイヤレスでの試聴はしていません。
Rio Rush / Fourplay
DT 1770 PROと比べるとウォームです。Amiron Homeと雰囲気は似ているんですが、全体的に開放感がなくなっているのが気になりました。
At The End Of The Day / Les Miserables
1770に比べると細かい描写は少し苦手なのかなという印象です。その代わりゆったりとまろやかに聴くには良い製品です。
気になったのは高域の音の出方で、やや天井が低く感じました。あまり上まで出ていないという印象です。低域も同様で、不快な音を出さないところでカットしていると感じました。
Master of Puppets / Metallica
この曲は良かったです。1770と比べると音源の粗さをうまく隠して聴きやすくなっています。中域が少し物足りなく感じました。結果的にやや迫力不足になっています。
スピード感は1770や1990に比べると劣りますが、必要十分だと思います。あくまでも聴きやすい音になっているという印象が強いです。
Flesh and The Power It Holds / Death
この曲も聴きやすかったです。
気になったのは低域が下まで出ていないのとアタック音が1770に比べると弱いという点です。
すごく聴きやすいんですが、刺激的な音は出てこないというのが特徴かと思います。
Amiron wirelessのまとめ
正直にいう1990と1770のようないい関係性を見いだすことはできませんでした。1770は密閉型の利点をうまく活かして中域と低域の量感を増やしながら1990の解像力やアタックの強さを損なっていません。高域の開放感は1990のほうが上ですが、1770も密閉型としては特筆すべき開放感を備えています。
Amiron wirelessはAmiron Home譲りのウォームで聴きやすい点は引き継いでいますが、開放感が損なわれているのと、中域と低域も密閉型になっただけで大きな変化は見られませんでした。もう少し高域を上まで出すようにして、中域の量感を増やすと良いのではないかなと感じました。
結果的に聴きやすいんですが、恐ろしく凡庸で刺激の少ない音を出すというのが私の印象です。良い点は1770に比べて長時間の視聴に向いていることと音源の粗さをうまく隠す点です。私の場合、悪い音源はそのまま受け入れることができるので1770で長時間視聴をしても問題はないのですが、1770で聴きづらいとか長時間視聴をするのはつらいと感じた人にAmiron wirelessはいいと思います。
装着感は1770と比較しても遜色ありませんでした。1770よりも少し柔らかいです。ヘッドバンドの内側は人工皮革の1770と違ってメッシュの繊維素材になっています。汗をかくようなシチュエーションだといろんな匂いが付着してしまうんじゃないかと心配になりました。
先に書いたようにAmiron wirelessに付属するケーブルはAventho wirelessと同じものだと思います。細いので少し頼りないのですが、音のほうは1770や1990に付属する標準ケーブルと同程度の品質を保っていると思います。
イヤーパッドは1770と1990と同じタイプのものです。油断をすると交換時に破れるやつです(笑)
今回の試聴では試聴機についているイヤーパッドをそのまま使いましたが、1770に付属する人工皮革タイプのイヤーパッドだともう少し音が変わるかもしれないなと思いました。人工皮革のイヤーパッドでLow Mid(低い中域)と低域に締まりが出てくるとまた印象も変わる可能性があります。
遮音性は1770ほどではありませんが、そこそこ優秀でした。ここもイヤーパッドを変えることで変わるかなと思います。音漏れは一緒に回っていた友人に確認をしてもらいましたが、比較的大きな音で聴く私の音量でもかなり接近しないとわからないくらいの音漏れ性能でした。1770と一緒で満員電車だと音を絞ったほうがいいでしょうね。
音量は120から130で聴きました。1770と同じくらいのパワーを必要としますね。
おわりに
春のヘッドフォン祭 2018で他に試聴したのはDENONのD5200です。
秋のヘッドフォン祭2016でAH-D7200を試聴したときの印象はあまりよくありませんでした。その後、店頭で何度か試聴をしたんですが、違和感はだいぶなくなっていたので秋のヘッドフォン祭2016の時はバーンイン(エージング)が不足していたんだろうと思います。
D5200はOPUS #3と直接接続して聴きました。D7200以上にHigh Mid(中域の中でも高い音)から高域に硬さがあってナチュラルさに欠けるというのが第一印象でD7200よりも好みではないなと感じました。
今のDENONのヘッドフォンはいまひとつ好みに合わないという結論ですが、ネットワークレシーバーのDRA-100なんかは好みに合うので、音の出口(下流)よりも音の入り口に近い部分(上流)で使うほうが私には合うのでしょうね。
今回聴いたのは以上です。
他にも聴いてみたい製品はありましたが、時間の都合であきらめました。特にSTAX、ゼンハイザーの密閉型ヘッドフォンHD820はどちらもよく並んでました。高額な製品が展示されていたとは言え、評価の高いメーカーだと注目度が上がりますね。
イベントについて感じた点ですが、各社ブースの配置がよく考えられてると思いました。行列ができるブースはある程度予測可能だと思いますので、予想どおりにうまく分散したのかなと思います。おかげで会場内が移動しやすかったです。
いつものことですが、主催者と出展各社に感謝です。
試聴をした製品の中ではAcoustuneの試作品がとにかく良かったです。Mezeの真鍮イヤホンも良かったのですが、こちらは価格が高くなるのかなと予想しています。
今回は以上です。
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