小型DAP兼ワイヤレスヘッドホンアンプ Shanling Q1のレビュー

ヘッドフォンアンプ/DAC

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使い勝手

それでは使い勝手について書いてきましょう。

Bluetoothの接続性

先に書いたようにCOVID-19の影響でBluetoothの接続性を通常の混雑状態で試すことができませんでした。それでも出社しないといけない日などに普段の70%程度の乗車率の電車内や、時間を作っては散歩しながら使ってみましたので参考にしていただければと思います。

Cayin N6iiとQ1

コーデックをLDACにしてCayin N6iiとQ1をつないでみました。室内だと接続に問題はありませんし、音質も想像以上でした。有線で接続するよりも少し人工的でデジタルだなという音になりますが、不自然というほどではありません。これくらいの音質ならワイヤレスに移行しても良いかなと感じるくらいの音質です。
ただし、外出時にLDACでCD相当のALAC音源を再生すると定期的に音が途切れました。だいたい60秒に一度くらいの頻度です。再生が止まることはありませんが、常用は難しいですね。

次にコーデックをSBCにしました。LDACには及ばないもののこちらも音質的にはなかなか良かったです。ただ、音途切れはSBCでも発生しました。頻度はLDACよりも少ないのですが、やはり常用は難しいという印象です。

DX220とQ1

DX220もLDACで接続しました。こちらは音途切れがなく快適そのものです。音質についてもDX220+AMP1 MKIIと有線接続をしているのに近い音を得ることができました。細かいところ(ダイナミックレンジの広さ、解像力、高域の滑らかさ)が気になるのは確かですが、一昔前の「Bluetoothってこんなものよね」というレベルは明らかに脱してると感じます。

iPhone XS MaxとQ1

iPhoneはLDACとaptxに対応していないのでAACかSBCで接続しました。iPhoneの場合、音が途切れることはありません。非常に快適です。ただし、音質はLDACと比べるといまひとつです。メインで使っている密閉型ヘッドホンのDT 1770 PROとの組合せだと出力がやや不足すると感じました。音量は十分ですが、奥行きや深みが少し薄れて1770の本領が発揮されてないと感じました。前にも書いたとおり、Bluetooth接続は再生機器側の音質が影響をするのでCayin N6iiやDX220のほうが音は明らかに良かったです。

結果的に接続性はN6iiのみがいまひとつでした。ただし私の使い方だと「DAPが二つとも壊れたときにiPhoneと組み合わせる」「身軽にしたいとき」なので、N6iiとDX220との接続性が悪くてもデメリットにはなりません。むしろiPhoneと組み合わせて使うことが多いので、iPhoneと接続したときの音質や使用感が重要です。音質については満足ですが、iPhoneがLDACに対応していたらもっと良いのかなと思うと残念ですね。iPhoneは今のところaptXやaptX HDにも未対応ですが、今後どうなるのか引き続き注目していきたいです。

操作性

タッチパネルの操作性はおおむね良好です。DAP(デジタルオーディオプレーヤー)に慣れた方なら直感的に操作ができると思います。

携帯性

私が使っているワイヤレスヘッドホンDAC/AMPのEarstudio ES100に比べると大きくて重たいです。ES100は本体にクリップがついてるのでワイシャツにとめておけるくらい軽量ですが、Q1はワイシャツのポケットに入れるのも厳しいです。
ポケットなどに入れてると音量を変更するのも難しいです。まず、本体の音量ホイールが少し重たいので回しづらいです。必然的に再生機側で音量を調節することになります。iPhoneの場合は、常に手元にあるので問題はありませんが、N6iiやDX220との組合せだと少々不便です。

バッテリー

メーカーの公称値だと21時間の連続再生に対応しています。DAP(デジタルオーディオプレーヤー)として検証してみましたが、バッテリー残100%、GAINをHIGHにしてCDと同じ音質のALACファイルを再生したまま10時間放っておいたところ、バッテリー残44%でした。メーカー公称値の21時間連続再生に近い結果となりました。
待機時もメーカー公称値では20時間持つとのことです。IdleメニューのSleep Timerは無効にしていたのですが、12時間放置してもバッテリーは44%から39%までしか減りませんでした。メーカー公称値よりももう少し長く保ちそうです。
バッテリーの残量を100%にした状態で48時間ほど放置しましたが、ちゃんとディープスリープ状態になっていたみたいで48時間後に起動してもバッテリーの残量は100%でした。
バッテリーの持ちは期待して良いと思います。

音質 ワイヤレスヘッドホンDAC/AMP

ワイヤレスヘッドホンDAC/AMPとしての音質は私が持っているES100よりも気に入っています。ES100はやや人工的に感じる部分があるんですが、Q1はナチュラルな音でクセも少ないです。帯域バランスもフラットに近くてペアリングする再生機側の音質に素直です。例えば、N6ii/E01とDT 1770 PROを有線接続した時と比べても音の傾向や特徴は一緒で音質が全体的に80%劣るくらいです。

音質 DAP

DAP(デジタルオーディオプレーヤー)としての音質はあまり期待してなかったんですが、iPhone XS Max直で聴くよりも良かったです。音質的には中域の量感が多いかまぼこ型です。低域は下まで高域は上までよく出るというわけではありませんが、録音状態の悪い音源でもそれなりに聴かせてくれます。全体的なバランスはフラットに近いかまぼこ型でウォームな傾向が強いです。特定の帯域が弱いということもないので、ロックやメタル系の音楽では迫力不足を感じませんし、ジャズやプログレ系の音楽ではそれなりの音場の広さを感じることができます。
悪くいうと無難な音作りですが、この価格帯であれば攻めた音質を追求するよりも幅広い音源を気持ち良く聴かせたほうがメリットは大きいと思います。Q1の音質は基本的に聴きやすい傾向にあるものの解像力も適度にあって私のようなオーディオ好きでもピンチヒッター的な使い方なら有りと感じます。
High Gainの音量70から80にすると鳴らしづらい密閉型ヘッドホンのDT 1770 PROも十分に鳴ります。出力についてはBluetooth接続で使うよりもDAPとして使ったほうがいいという結果となりました。ホワイトノイズも極端に目立つわけではないのでイヤホンやIEM(インイヤーモニター)との相性もいいです。

音質 USB DAC

MacBook Proと接続してUSB DACとして使用したときの音質もなかなか良かったです。DAP(デジタルオーディオプレーヤー)として使った時よりも全体的に音質は向上しました。特にクリアさと音の深さが向上します。MacBook Proの3.5mmイヤホンジャックに接続した状態よりも音は良いので、出張や旅行のお供にQ1を携帯するのは便利ですね。

メリットとデメリット

Q1を使ってみてメリットとデメリットをまとめます。

メリット

  • iPhoneと直接有線で接続するよりも音がいい
  • 小型、軽量
  • 手持ちのイヤホンやヘッドホンをワイヤレスで使うことができる
  • 音楽を聴きながらiPhoneの充電ができる
  • DAP(デジタルオーディオプレーヤー)とUSB DACとしても使える
  • タッチパネルで操作が容易
  • USB Type-C

ES100で感じたメリットとほぼ同じです。ES100に比べると携帯性はいまひとつですが、音質についてはES100よりもQ1のほうが良かったです。また、DAPやUSB DACとして使用できるというメリットもあります。個人的にはDAPとしての性能も高かったのでDAP機能はお薦めです。
ES100と比べてUSB端子がType-Cなのもメリットです。タッチパネルについてはサイズが大きくなってしまうデメリットもありますが、操作性はおおむね良くて曲送りなどの操作も楽です。
Q1は私のようなオーディオ好きがサブとして使うのにもいいですし、手軽に高音質化したいというライトユーザーにも適してると思います。ES100ほどではありませんが、小型なので荷物を少なくしたいときにも活躍します。出張や旅行、オフィスでの使用にもちょうどいいのかなと思います。

デメリット

  • 携帯性はいまひとつ

Q1のデメリットは携帯性の一点と感じました。ただし、あくまでもES100と比較をしたときの話であって、DAPとしても使えることを考えると携帯性が悪くなるのは致し方がない部分もあると思います。

まとめ

多機能な製品ですが、全体的に完成度が高く、音質的にも価格を超える高いレベルにある製品と感じました。前述したようにメインのDAPを持ってるマニアからライトユーザーまでお薦めできる製品です。例えばメインのDAPが壊れたときにピンチヒッターとして使うのもいいですし、ライトユーザーが日常的に使うのも良いと思います。スマートフォンとBluetooth接続してもいいですし、DAPとして使うのも有りです。
一般的にはTWS(True Wireless Stereo)タイプの製品が人気ですが、手持ちのイヤホンやヘッドホンをワイヤレスで使うことができる点でQ1のようなワイヤレスヘッドホンDAC/AMPタイプの製品をお薦めしています。そもそも気に入ったイヤホンやヘッドホンがないという方はTWSで良いと思います。

Q1は約16,000円で小型DAP、ワイヤレスヘッドホンDAC/AMP、USB DACとして使えるのが魅力です。最近はiPhoneの音質も上がってますのでライトユーザーに3万円前後のDAPを薦めるのはなかなか難しくなってるのですが、Q1くらいの価格なら気軽にお薦めすることができます。1万円ちょっとで購入できるイヤホンのIE 40 PROあたりと組み合わせると価格と音質、機能のバランスが非常に良いと思います。

Bluetoothの接続性を十分に確認できなかったのは残念ですが、おそらくiPhone XS Maxと同等のデバイスであれば満員電車でも問題なく使用できると思います。Cayin N6iiやDX220とLDAC接続をした時は期待を超える音が出てきました。Bluetoothオーディオのレベルも高くなり有線に迫る音質でしたが、やはり有線のほうがいいと感じたのも事実です。使い勝手の点でもDAPにケーブルを挿してすぐに使えるというのは魅力的です。充電を考える必要もないですしね。
BluetoothのコーデックについてはLDACが秀逸でした。安定した接続環境がある場合は、LDACで接続するのが良いですね。

音質的にはやや人工的な音になるES100よりも好みでした。ES100のほうが解像度という点では上ですが、Q1のほうがナチュラルでどんな音源でも気持ち良く鳴らしてくれる万能さがあります。音質的な良さを簡単にまとめると「N6ii か DX220 とBluetooth(LDAC)接続」→「Q1(DAPとして使用)」→「Q1(iPhoneとBluetooth接続)」の順番です。

ワイヤレスヘッドホンDAC/AMPはまだニッチな製品ですが、私が所有しているES100、FiiOのBTR3とBTR5、オーディオテクニカのAT-PHA55BTなどが出てきています。個人的にはワイヤレスオーディオはこういった種類の製品に期待しています。

今回は以上です。
以下の記事も合わせて参考にしてください。

ワイヤレスヘッドホンアンプ Radsone earstudio ES100のレビュー
amahikasです。iPhoneで音楽を聴くのをやめてDAP(デジタルオーディオプレーヤー)で聴くようになってから一年半が経ちます。iTunesとの連携など不便な点もありますが、おおむね満足しています。何よりも一番重要な音が良いです。最初...

コメント

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