じっくりと試聴 開放型ヘッドホン Grado GH2

ヘッドホン

amahikasです。
再び友人からGradoのGH2を貸してもらいました。前回はPS500eを聴いてやっぱりGrado好きだなぁという印象を受けました。GH2は前にイベントで聴きましたが、じっくりと聴く機会はなかったので今回は楽しみにしています。

Grado GH2

GH2は好評だったGH1に続いて2017年に発売された限定モデルです。PS500eの記事に書いたように大きく分類すると4種類のシリーズがあります。SR型番のプレステージシリーズは入門、GSの型番がつくステートメントシリーズはリスニング用、PSの型番がつくプロフェッショナルシリーズはモニター用途、RSの型番がつくリファレンススシリーズとなっています。今回紹介するGH2などのGH型番は限定モデルです。2015年に発売されたGH1が好評だったので味をしめたGradoはGH2を発売することにしたのかどうかはわかりませんが、最近もGH3とGH4を発売しました。

GH2のハウジングにはココボロ材が使用されています。ココボロ材は見た目が美しく、高級な楽器、家具などに使われることが多いそうです。個人的に限定モデル商法はあまり好きではないのですが、なかなか長期的に入手出来ない木材であることから限定モデルにせざるを得ないのかなと推察しております。

当時の発売価格は69,800円でした。47mm口径のドライバを採用していて、ケーブルを含む重量は300gです。ケーブルは例によって着脱することができなくて3.5mm端子となっています。
限定品だったため、現在新品で入手するのは困難です。

試聴環境

試聴にはMacBook ProとDAC/AMPのGRACE m9XXを使いました。MacBook Proとm9XXはUSB接続で再生アプリは最新版のAudirvanaを使ってます。

試聴に使う音源はいつもと同じ曲です。
主にCDから取り込んだAppleロスレス(ALAC)で、試聴に使う曲や聴きどころについてはこちらを参考にしてくださいませ。

オーディオの試聴によく使う曲と聴きどころ(2020年1月改訂版)
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試聴結果

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Bisso Baba / Bob James

非常に落ち着いた雰囲気で聴かせてくれます。全体的なバランスは高域寄りに聞こえます。開放感と抜けの良さはさすがに開放型ヘッドホンというところですが、低域もそれなりに量感があって物足りなさはありません。解像力も高く、細かい音も聞き取ることができます。

Golden Faders / Fourplay

うほ。これも良いですね。ひとつひとつの音の細かさと滑らかさもさることながら響き方が良いです。特にシンバルとピアノの音が繊細できれいでシンバルに関しては少し響きすぎかなというくらいなんですが、頭の上のほうで開放的に鳴る様がクセになります。普段、1770や1990と聴いてるのとは違って高域が鳴る空間がグッと広がります。中域と低域は高域ほど目立たないものの必要十分に出ていて、ベース音はキレと温もりが見事に両立しています。

Flesh and The Power It Holds / Death

この曲は少し迫力が不足します。ヒステリックなギターと激しさはさすがにGradoだけあってしっかりと表現されていますが、もう少し低域のパンチが欲しいところです。ボーカルに関してはやや目立ちすぎかなという程度でさほどバランスは悪くないです。ギターリフの表現力もさすがに高いですね。ディストーションの歪みがよく表現できています。

Master of Puppets / Metallica

この曲では迫力不足はさほど感じません。むしろギターリフがきれいに歪むなぁと感心します。「ひずみ」がきれいというのもおかしな表現ですが、Gradoはこの歪みの表現力が本当に高いと感心します。
スピード感もよく再現されていますし、この手の音楽との相性の良さを改めて感じました。ただし、高域寄りであることに変わりはないので人によっては低域が不足すると感じるかもしれません。

At The End Of The Day / Les Miserables

PS500eを聴いたときにも感じましたが、意外とオーケストラとの相性も良いです。会場の広さを表現するほど音場は広くないのですが、とにかくスピード感の表現力が高く、細かい音を正確に聴かせるのは得意と感じます。

Crush / Kelly Sweet

曲の持つウェットな部分よりもドライな部分を魅力的に聴かせてくれます。ボーカルのサ行は刺さりますが、この曲の場合は刺さるのが正しいので気になりません。ベース音はフワッと包み込むというよりもキレが強調される感じですね。

Rock the Blues Away / AC/DC

AC/DCとGradoの相性の良さはPS500eの記事でも書いたように理想的と思っているので期待しすぎましたかね。この曲はやや高域が目立ちすぎかなと感じました。AC/DCは他の曲も聴きましたが、70年代から80年代前半の音源のほうが良かったです。例えば”Hells Bells”の冒頭の鐘とシンバルの音なんかは非常に繊細で細かく聞こえますし、”It’s a Long Way to the Top(If You Wanna Rock ‘n’ Roll)”のギターリフとバグパイプの音はとても生々しいです。

デザインと外観

写真で見ていきましょう。

Grado GH2

GH2本体です。PS500eと違ってウッド素材のハウジングが特徴です。
ヘッドバンドや頭に合わせるためのスライダーは同一ですね。

GH2とケーブル

ケーブルと一緒に撮影しました。PS500eと同じでリケーブルには対応していません。プラグは3.5mmが標準です。この太くて重たいケーブルもGradoの特徴かなと思います。

GH2本体

違う角度で本体を撮ってみました。

こうして見るとPS500eとあまり変わりはなくてハウジングがアルミ合金なのかウッド素材なのかの違いくらいしかないです。

音漏れと遮音性

PS500eの時と一緒で自宅で使ってる分には周囲の音があまり気になりません。音は盛大に漏れてますけどね(笑)

装着感

GH2もGradoの特徴でもあるスポンジ素材のイヤーパッドを採用しています。装着感についてもPS500eと一緒で耳を覆うというよりも耳に乗せるという感覚が強いです。室内で使うのでさほどデメリットではありませんが、ベロアや人工皮革のイヤーパッドも試してみたくなりますね。

音量

PS500eと比較するためにDX220とAMP1 MKIIの組み合わせて聴いてみました。PS500eは98から106の間で聴いていたのですが、GH2は117から131で聴きました。GH2のほうが鳴らしづらく出力が必要という結果です。

DAPの比較

MacBook Pro+Grace m9XXCayin N6ii/E01DX220+AMP9DX220+AMP1 MKIIといろんな環境で試聴をしました。それぞれに良さがあるので優劣をつけるのは難しいのですが、MacBook Pro+Grace m9XXは他と比べて中域と低域の量感が出ないため、少し迫力が不足します。
DX220+AMP9はギターのディストーションがもっともよく表現されていてGH2を聴くなら一番好きな組合せでした。アコースティック系の楽器の表現力も高いです。DX220+AMP1 MKIIとの相性も良いのですが、少しマイルドになりすぎると傾向にあります。暴れん坊というイメージのGradoが優等生になりますね。
N6ii/E01との組合せももちろん良かったです。DX220+AMP9とは少し傾向が違っていて優等生的な鳴り方になります。ちょっと気になったのがN6ii/E01とDT 1990 PROの組合せと比べるとN6ii/E01の良さが活きないと感じたことです。特に背景の黒さや音場の広さはGH2よりもDT 1990 PROのほうがうまく表現できてました。GH2と組み合わせるならDX220+AMP9が最適と思います。

まとめ

横に並べて聞き比べたわけではありませんが、GH2はPS500eと比べると中域と低域の量感が少し増してると感じます。ドラムなどのアタック音の鋭さや音場の広さ、奥行きの表現力はPS500eのほうが上です。GH2は良くも悪くもリスニング向きで、上流(DAPやパソコンなどの再生機器)の性能をしっかりと鳴らすのはPS500eのほうが得意と感じました。
私がGradoに期待する音はPS500eのほうが出してくれますが、GH2はGradoの特徴を保ったまま少し聴きやすくなっていると感じました。

今回は以上です。
以下の記事も合わせて参考にしてください。

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