【コラム】オーディオとの付き合い方 いい音と好きな音

オーディオ

amahikasです。
かなり前から書きたいなと思っていたテーマです。なかなかうまいことまとめるのが難しくて長い間書きためていたのですが、ようやく公開できるようになりました。
重たそうなタイトルですが、気軽に自分のオーディオと音楽に対する考え方についてまとめたいと思います。まずは「いい音と好きな音」について書いていきます。

序章

なかなか難しい課題ですよね。『いい音やいい音質ってなんなんだろう』と考えるのは、今に始まった話しではなく、オーディオに凝り始めた頃からの永遠のテーマのようなものだと思ってます。
当ブログを読んでいただければわかるとおり、私にとって音楽はとても重要な趣味でして音楽がなかったらここまで楽しく豊かな人生を送ることはできなかったと思います。
この『好きな音楽をいい音で聴きたい』という欲求は中学生の頃から芽生えました。理由ははっきりとわからないのですが、友人に連れられて秋葉原に行ったのが始まりで、それ以来、30年以上オーディオと付き合ってきました。興味が無くなったと言うよりも一度構築した環境に満足したり、他に夢中になるものができるとオーディオと距離を置くことはありますが、オーディオはほぼ毎日のように使っています。

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いい音とは

いい音や音質を定義するのは難しいと感じていますし、万人共通の定義づけはさらに難しいと感じています。音質を表現するときに、「帯域(ダイナミックレンジ)の広さ」、「解像力」、「音場の広さ」などがオーディオ製品の音の良さを表現するのによく使われる言葉だと思いますので、これらの要素がいわゆる『いい音』になるのかなと思っています。
音響測定機材を使って専門的に伝送周波数特定や音圧レベルを測定して客観的に且つ科学的に音質を測定する方法もあります。これらのデータに基づいて『いい音』を判断していくのもいいと思います。
私の場合、専門的な知識は有していないのと音響測定機材を使いこなすスキルがないので、自分の耳で聴いて音の善し悪しを判断するしかありません。しっかりとした根拠はないので、読み手からするとなかなかわかりづらかったり、説得力に欠けると思います。私自身もこのことは自覚しているのですが、勉強をしても頭に入ってこないものをどうにかしようとしても仕方がないので、自分の能力の範囲内でわかりやすく書くしかありません。本来であれば勉強をしてから出直すのがいいかもしれませんが、専門家や詳しい人ばかりが発信をするよりも、私のような人間が発信することも少しは意義があるのかなと開き直っているところもあります。

では、どのように判断をしているかについて書いたみたいと思います。

いい音と好きな音

音響に対して専門的なスキルと知識を有しないので、自分の耳で聴いた音が良いか悪いかを判断するしかないのですが、音の善し悪しを判断しているというよりも好きか嫌いかを判断しているのが正直なところです。
いつも偉そうにレビューなどを書いてるのですが、客観的且つ科学的な根拠はなくあくまでも自分がいろんな製品を聴いた印象と感想しか書くことができません。例えば、私が「フラット」と表現したからといって科学的にフラットであるという意味ではなく、私がフラットと感じただけの話しです。長いこと私の記事を読んでる方ならすでにお気づきのことと思いますが、良い機会なのではっきりと表明しておきたいと思いました。そういう意味では私のレビューはいい音を聞き分けているというよりも好きな音を聞き分けていると理解してもらえればと思います。また、「音源通り」という言葉もよく使いますが、これはあくまでも私が「この音源はこう鳴って欲しい」と感じているのを「音源通り」と表現しているだけのことです。「正確」、「素直」という言葉も同様ですね。

オーディオと長いこと付き合っていますが、音の善し悪しや特性をいろんな方と共有するのは非常に難しいと感じています。人間は耳の形も違いますし、聴覚も人によって様々です。年をとれば高域が聞こえづらくなったりもします。スピーカーはまだ個人間の違いが出にくいと思いますが、ヘッドホンと(特に)イヤホンは個人差を排除するのが非常に難しいと思っています。よって、自分の耳で聴いた印象と感想を重視するようになったのですが、客観的且つ科学的な測定を軽んじているわけではありません。むしろ、科学的に音の善し悪しや特性が証明できるようになれば良いと思っています。

しかし、最終的にオーディオは自分の好きな音を探すのが面白いですし、音楽を自分の好きな音で聴くのが何よりも楽しいです。

オーディオとの付き合い方

いよいよここからが本題です。
具体的に好きな音の探し方について書いていきますが、これから書くのはあくまでも私の体験に基づく探し方で、誰にでも当てはまるわけではありません。むしろ、いろんな探し方があっていいですし、好きな音なんて探さなくてもいいとも思います。私と違って『いい音』を客観的且つ科学的に追求するのもオーディオとの付き合い方として間違ってるわけではありませんし、特に好きな音を決めずにいろんな音を楽しむのもいいと思います。

あくまでも一人の音楽好きの体験として読んでもらえればと思います。

好みの音を探す

私自身も最初から自分の好きな音を把握していたわけではありません。漠然と「この曲はこう鳴って欲しい」というところからスタートしました。まだ高校生の頃によく秋葉原に通っては自分の決めた試聴曲で試聴をしていました。まあ、今とやってることは変わりませんね(笑)
試聴曲の選び方も今と一緒で基本的に自分が好きでよく聴く曲から選んでいます。好きでよく聴く曲のほうが違いがわかりやすいですし、ちょっとした音がちゃんと鳴ってるかも確認できます。ちなみに10代や20代から今でも使っている試聴曲はOzzy Osbourneの”No More Tears”、Metallicaの “Master of Puppets”、AC/DCの”Thunderstruck”です。
こういった曲でいろんな製品を聴きながら、徐々に自分の好きな音を漠然としたイメージからよりはっきりとしたイメージにしていきました。
20代から30代は好きな音が今とまったく違っていて、中域と低域の量感にこだわっていました。また、細かく分析的に聴くよりも迫力やスピード感を重視していました。この時期はメタルとハードロックを中心に聴いていたのも影響しています。
25歳前後にスピーカーの試聴をした時のことをよく覚えてます。最終的にPioneer S-99twinXというスピーカーを購入したのですが、他に試聴をしていたのはDiatoneのDS-1000HRYAMAHAのNS-1000Xです。DiatoneとYAMAHAのスピーカーは音は良いと感じたもののメタルを聴くにはちょっと大人しすぎると感じました。逆にS-99twinXは中域の量感と解像力、スピード感が気に入りました。今とは好みの音がまるで違っていて、最近執拗にコメントするシンバル音もほとんど気にしていませんでした。「鳴ってればいいや」くらいの感覚でしたね(笑)
この時に上位機種(DS-3000など)もいくつか聴いたのですが、高価なものが必ずしも好きな音ではないことに気がつきました。無理矢理効果な製品の音に自分の好みを合わせるのもアホらしいですし、もっと金をかければ自分にとって理想的なシステムを組むこともできたのかもしれませんが、自分では稼げそうにないくらい金がかかると感じたので、いったんは落ち着いて音楽を楽しもうと決意しました。アンプについても同じ経験をしていて、見た目と美音に惹かれてVICTORのAX-Z921を購入したのですが、メインで聴いているメタル系と合わなかったためほとんど使わないという結果になりました。

そんなこんなで好みの音を探すのに10年くらいかかったと思います。しかし、自分の好みがわかってからはいろんな製品を聴いてもぶれることが少なくなり、製品選びがしやすくなりました。好みの音が曖昧だった頃は、音以外の点で製品を選ぶことが多く、失敗も多かったです。もちろん、今でも失敗はするのですが理由がはっきりしているので納得できます。
好みの音を自分で把握してからは音質云々をあまり気にしなくなったので、音楽を聴くときの楽しさが増しました。それまでは「これでいいのかな」と考えながら聴いていて心底音楽を楽しめてなかったように思います。

音楽体験

自分の好みの音を把握するのが重要ということについて書きました。次にどのように好みの音が決まったかについて書きたいと思います。
私の場合は、音楽体験による影響が大きかったです。自宅のリビングに置いてあったラジカセやコンポが私の最初の音楽体験で、そこから少しずつレベルアップをしていきました。社会人になるとライブに行く機会も増えてライブ会場で鳴ってる音の影響も受けました。最後にもっとも私の音の好みに影響を与えたのはスタジオでの体験です。一時期、Queenが好きな仲間とスタジオや小さなライブハウスでセッションをするという贅沢な経験をしました。私自身もベースとボーカルで演奏に加わったのですが、「なんでプロじゃないの?」というくらいうまいプレーヤーもいて非常にいい勉強になりました。
この時の経験で感じたのは同じ楽器を同じセッティングで弾いても演奏者によって出音が変わるということ、生で聴くドラムの音は自分が知っている音とは少し違うことでした。ギターとベースについてもPAから出てくる音ではなく、アンプから直接出てくる音を聞けたのも貴重な体験でした。
最近になると女性ボーカルやミュージカル、ジャズを聴くようになり、メタルを聴いていた頃よりも規模が小さく、音響設備のいい会場で聴く経験が増えました。また、この時期にジャズのドラマーが出すシンバルの音がお気に入りになっていたので友人のライブでうまいドラマーのシンバル音を間近で聞くことが出来たのも良い体験でした。

こうして、いろんな音楽体験をすることによって自分の好みの音ができあがっていきました。しかし、困ったことに体験によっては好みが少しずつ変わることにも気がつきました。同じような音楽を同じような環境(オーディオシステムやライブ会場)で聴いてる分には好みがあまり変わることはなく一定の幅の中で収まるのですが、異なるジャンルや異なる環境で聴き始めると好みが変わって今までの環境に違和感を覚えるようになりました。

音楽とオーディオの複雑で面白い関係ですが、限られた世界の中で音楽を聴くのも楽しいのですが、いろんな世界を見るのも楽しいです。世界を広げると好みの音が変わったりしますが、これもまたオーディオの楽しさであると思っています。

好みは変わる

オーディオと音楽と付き合っていくのは面白い反面、難しいこともたくさんあります。音楽の趣味も変われば、好みの音も変わります。様々な音楽体験が影響を及ぼすこともあるので、一度、音楽と音の好みが決まったと思っても時間とともに変わったりします。
私の場合、30歳まではハードロックとメタル系の音楽を聴くことが多かったので、学生時代から構築したシステムで一度は安定しましたが、40代からメタル系とは異なる音楽を聴くようになって好みが変わりました。前述した通り、Pioneer S-99twinXを選んだ25歳の頃からオーディオ環境は落ち着きましたが、40代から全体的な見直しをすることになりました。

こういう体験から学んだのは好きな音を探して楽しく音楽を聴くのも大事だけど、こだわりすぎるのも良くないということです。例えば、お気に入りのメーカーやお気に入りの仕様にこだわりすぎるとより好みに近い音を出す製品を見逃すようになったりします。
『仕様』と書いたのは「開放/密閉」、「BA/ダイナミック」、製品に使われる素材、特定のメーカーなどです。私自身もこだわることがあって、自分の好みの音ではない仕様に対して偏見を持つこともあるんですが、現在はできるだけこういった偏見は排除するようにしたいと思っています。たまに突拍子もない製品を聴いたりするのにはこういった理由があります。

まとめ

うまくまとめた自信はないのですが、自分が伝えたいことは書けたかなと思います。
いい音と好きな音について書きましたが、いい音を追求することを軽視するつもりはなく、むしろ非常に大事だと思っています。ただ、環境や聴く音楽、個人差といった要素もあるので普遍的にいい音を定義するのはなかなか難しいですし、最終的に音楽もオーディオも非常に個人的な趣味だと思っているので、自分が好きな音楽と音を見つけるのが一番いいのではないかなと思っています。少なくとも私はそのようにして音楽とオーディオと付き合ってきましたし、今後もこのスタンスを崩すつもりはありません。

とは言え、私がたどってきた道程が正しいかというと、まったくそういう思いはなくて音楽とオーディにはいろんな付き合い方がありますし、それぞれが納得できる楽しみ方を見つければ良いと思います。
私がこの記事で書いたのはあくまでもひとつの事例でしかありません。音楽にはいろんなジャンルがありますし、音質についても様々です。自分がもっとも心地良い音楽とオーディオ環境を探していくところに面白さがあると思っています。

今回は以上です。

コメント

  1. アンドレ より:

    DX160 の記事楽しく読ませていただきました。記述にある付属品の情報が事実と異なり、トラブルになりかねない為、連絡させていただきました。お手数ですがご確認ください。

    • amahikas より:

      アンドレさん、コメントありがとうございます。
      DX160の付属品についてご指摘いただいたように誤りがあったので、修正をしました。
      ありがとうございました。

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