試聴環境
試聴環境にはOPUS #3を使いました。現状、3.5mmアンバランスと2.5mmバランス接続を公平な状態で聞き比べられる環境はOPUS #3しかないためです。
OPUS #3はHIGHゲインで聴きました。イコライザー類はすべてオフにしてあります。
音源はいつも通り、主にCDから取り込んだAppleロスレス(ALAC)です。
試聴に使う曲や聴きどころについてはこちらを参考にしてくださいませ。
なお、Silver Dragonのみ2.5mmのバランス接続となります。Silver Dragonについてはバランス接続の効果もあるということを考慮してくださいませ。
また、標準ケーブルとBlack Dragonは6.3mmのプラグなのでOPUS #3と接続するときはフルテックの変換アダプタ(6.3mm→3.5mm)を使用しています。
聞き比べの結果
聞き比べの方法ですが、1曲毎に標準ケーブルで聴いてからBlack Dragon、Silver Dragonという順番で聴きました。
Bisso Baba / Bob James
標準ケーブルと比べるとBlack Dragonは低域だけでなく中域も少し量感が増します。高域は標準ケーブルのほうがやや歯切れが良いように感じます。
高域の違いはかなり小さな違いですが、中域と低域の厚みははっきりとわかります。
Silver Dragonは高域が標準ケーブルよりも量が増えて歯切れも良いです。中域と低域はBlack Dragonほどの量感はありませんが、キレが増しますね。
それと少しですが、音場が広がったように感じます。音の響き方や深みがより増すという感じですね。
Silver Dragonは明らかに標準ケーブルよりも良くなるという印象ですが、Black Dragonは他の2本と比べると少し傾向が違うので好みが分かれるところかなと思います。
Rio Rush / Fourplay
Bisso Babaとまったく同じ結果になりましたので詳細は割愛します。
今のところ、高域をより魅力的に聴きたいならSilver Dragonで中域と低域に量感が欲しい場合は、Black Dragonという感じです。
標準ケーブルは少し分が悪いですが、高価なSilver DragonやBlack Dragonとさほど変わらないケーブルが標準でついてくると思えばお得です。
At The End Of The Day / Les Miserables
この曲はSilver Dragonが良かったです。
情報量が増えて音の密度が上がるせいか、音の分離が良くて解像力が高くなりました。
高域の開放的な雰囲気も増しますし、中域と低域についてもBlack Dragonと違いを感じませんでした。これは高域と中域に迫力が出たため、神経が低域にあまり集中していなかったからかもしれません。
音の抜けも全体的に良くて、こもると感じるところがないですね。これは標準ケーブルでも勘したことですが、Silver Dragonによってさらに強化されるという印象です。
それともうひとつ気がついたのですが、Silver Dragonは全体的にスピード感も増しますね。
標準ケーブルはSilver Dragonと比べてもあまり負けてませんが、Black Dragonはややスピード感がなくなりました。特にコーラスとオーケストラ系の音に対する反応が鈍くなったという印象です。
Black Dragonと標準ケーブルはこれまでの曲と同じ違いでした。Black Dragonは低域の量感が増すのが特徴で、高域はやや量が減って控えめになります。
Master of Puppets / Metallica
この曲はSilver DragonとBlack Dragon、どちらも良かったです。
Black Dragonのほうが中域と低域に厚みが出るのでメタル系の音楽にはよく合います。また、前の曲で感じたスピード感もドラムのスネアやバスドラ、ギターリフに対する反応は悪くないようで、スピードが鈍るようには感じませんでした。
Silver Dragonはこれまでの特徴は変わらないのですが、やや高域が目立ちすぎてしまって全体的な迫力はBlack Dragonのほうがいいと感じました。
ただし、Silver Dragonがこの曲には合わないということではなく、あくまでもBlack Dragonと比較をしたらという話しです。
標準ケーブルは全体的にバランスが良いので、この曲の場合はSilver Dragonよりもいいと感じました。
Rangers / A Fine Frenzy
この曲でもBlack Dragonが健闘しました。
女性ボーカル、ベース、シンバル、アコースティックギターが印象的な曲ですが、私はこの曲のベースが特にお気に入りです。Black Dragonだとベースに量感があってフワッと包み込むような優しさもあります。
Silver Dragonと標準ケーブルはキレのほうが目立ってしまい、いまひとつ包み込まれるような表現に乏しいです。
高域のシンバル音はSilver Dragonが頭ひとつ抜けています。さすがにひとつひとつの音が細いです。その割に滑らかなのも好印象。
Near the End / Mat Zo
この曲は評価が難しいです。
標準ケーブルはバランスよく鳴らしていました。Silver Dragonは高域がやや目立ち過ぎるように感じました。中域と低域も良い感じに量感とキレが共存しているんですが、耳が高域を追ってしまいました。
Black Dragonはややスピード感がなくなるものの、中域と低域の厚みは変わらず良い感じに鳴ります。高域はやはりやや量が減って開放的な雰囲気も少し減ります。
まとめ
想像以上に違いが出ました。
Silver Dragonは全体的に良かったんですが、メタル系とトランス系の場合は少し高域が目立ちすぎるように感じました。
最近、私はPinnacle P1を愛用しているように、ダイナミックドライバの低域に魅力を感じています。耳もだいぶダイナミックドライバに慣れてきていますので、ELEARとSilver Dragonの組合せは高域が素晴らしいなと感じるものの、ちょっと高域が目立ちすぎかなと感じました。
おそらくPinnacle P1を常用する前ならば、このようには感じなかったと思います。
Black Dragonはメタル系の音楽によく合います。弱点はスピード感がやや鈍くなるのと高域が目立たなくなってしまうところです。
特に高域についてはELEARの開放感や抜けという良い要素が損なわれてしまったのは残念でした。
標準ケーブルは飛び抜けたメリットはないもののどのようなジャンルでも無難にならしているという印象です。使い勝手に問題を感じないのであれば、標準ケーブルでも十分かなと思います。
ジャンルでいうとジャズやクラシック、アコースティック系の音楽はSilver Dragon、メタル系はBlack Dragon、トランス系は標準化がいいと感じました。
ただし、この感想はあくまでも私の好みであって、同じジャンルや曲を聴くのでも好みの帯域が各人で違うので、異なる結果になることもあると思います。
各ケーブルともELEARの性能を損なうことはないと感じました。Black Dragonについては少々厳しいことも書きましたが、高域は出ていないわけではなく、あくまでも中域と低域のほうが目立つのと、Silver Dragonや標準ケーブルと比べるとELEARの開放感や抜けが損なわれてると感じるだけで、ELEARとBlack Dragonの組合せでしか聴いていなかったらなんの不満も感じないでしょう。
今回聴いた中で1本だけ選ぶとしたらSilver Dragonを選びます。
前回の記事で書いたようにELEARは上流(再生機器)の音の傾向にとても素直なので、今回試聴に使ったOPUS #3のクセも含んだ感想となっています。
実際にi5やMacBook ProでELEARとSilver Dragonの組合せを聴くと中域と低域の厚みが出てきて良い感じで聴くことができました。
基本的に万能型の製品を好む私ですが、ここまで細かい好みの違いになると、再生機器やアンプで調節をするしかないかなと思います。
今回の記事を書くためにMOON AUDIOについて色々と調べた結果、DT 1770 PROとDT 1990 PRO用のケーブルをひとつオーダーしたくなってしまいました。(笑)
1770用だとSilver DragonかBlue Dragonが良さそうなんですが、1990は絶対にBlack Dragonが合うと思うので、1本では済まなくなりますね。
高額なケーブルでもありますし、よっぽど経済的に余裕が出てこないと買えないなぁと思います。(笑)
今回は以上です。
以下の記事もあわせて参考にしてくださいませ。
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