じっくりと試聴 Campfire Audio Cascade 密閉型ヘッドホン

ヘッドホン

amahikasです。
友人の好意により、Campfire Audioが新しく発売をした密閉型ヘッドホンのCascadeを試聴することができました。
まだ日本では発売されていない製品ですが、Campfire Audio公式サイトから直接購入が可能となっています。

Cascadeの詳細については公式サイトを参考にしてください。

Cascade | Over-Ear Headphone | Campfire Audio
Campfire Audio Cascade Portable Over-Ear Headphone - 42mm Beryllium PVD Diaphragm Dynamic Drivers. Aluminum & Stainless ...
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試聴環境

試聴にはメインで使っているDAP(デジタルオーディオプレーヤー)のCayin i5 DAPOPUS #3を使いました。
実際に自分が購入をしたら使用をするであろう環境ですね。
Cayin i5はローゲインでOPUS #3はハイゲインで、両方ともイコライザ類は無効にしてあります。
Casecadeのケーブルは標準のものです。

音源は主にCDから取り込んだAppleロスレス(ALAC)です。
試聴に使う曲や聴きどころについてはこちらを参考にしてくださいませ。

オーディオの試聴によく使う曲と聴きどころ(2017年2月版)
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試聴結果

早速試聴結果について書いていきます。
比較対象は私がメインで使っている密閉型ヘッドホンのDT 1770 PROです。
現状、私にとってDT 1770 PROが基本となる音になっていますので、DT 1770 PROと比べてどのように感じたのかを中心に書いていきます。

Bisso Baba / Bob James

噂どおり、低域が強いですね。量感もありますし、下まで深く沈み込む低音を楽しむことができます。
逆にピアノと男性ボーカルが少し控えめになりました。
低域が中域にかぶってるようには聞こえませんが、、相対的に低音が目立ってしまうという印象です。
ベース音は量感があり、ウォームですが適度なキレもあります。

OPUS #3で聴いたほうが高域が目立ちました。
また低音もOPUS #3のほうが下まで深く沈み込むという印象です。
これまであまり差を感じなかったんですが、Cayin i5よりもOPUS #3のほうが縦のレンジが広いと感じました。

Flesh and The Power It Holds / Death

はい。この手の音楽も良いですね。
低域が強い傾向に変わりはありませんが、高域と中域ともに解像力が高く、細部の表現も出来てます。
Cascadeはどうしても低域に耳が集中してしまうので、1770と比べると1770のほうが細部を聴きとりやすいように思いますが、注意をして聴くとCascadeもツボはおさえてると感じます。

この曲はOPUS #3のほうが良かったです。
冒頭のヒステリックなギターはよく表現できてましたし、スピード感も出てました。
低域の量感はi5よりもOPUS #3のほうがやや少なめですが、OPUS #3は低音が下まで沈み込みます。

At The End Of The Day / Les Miserables

音源の通りに音場が広く感じられました。普段、1770で聴いてるよりも広いですね。
冒頭のパーカッションと歓声も聞こえてますので高域の細かさは問題ないです。
オーケストラの音はさすがに低音が目立ちすぎかなと感じましたが、迫力がかなり出ます。
ただし、スピード感についてはいまひとつでした。
どちらかというとウォームで重厚な演奏に聞こえました。

Master of Puppets / Metallica

この曲も良かったです。
ギターリフの迫力と音圧がすごかったです。スピード感のあるこの曲よりもクランチの聴い重たいギターリフのほうがさらに合うと思います。
ドラムのアタック音は1770ほど鋭くはなく、少し柔らかめです。
全体的に聞き心地は良いのですが、スピード感にはやや欠けますね。

中間部のギターソロもギターの音色がきれいで良かったです。
静と動の表現がうまいと感じました。

Crush / Kelly Sweet

女性ボーカルの生々しさだけでなく、みずみずしさもよく表現できてます。
この曲ではさほど低域寄りとは感じませんでした。高域もよく伸びてますね。
中間部でシンバルを多用するパートでも丁寧にシンバル音を鳴らしてるという印象です。
ただし、バックで流れるアコギの音はクリアさが足りてなくて解像力が落ちて聞こえました。やや埋もれがちだったのも気になります。

デザインと外観

写真で見ていきましょう。

本体

Cascadeの全体像です。
ケーブルが上を向いていますが、実際に装着するとケーブルが頭の前に出るようになっています。
写真で見てこの形状はどうなんだろうと思いましたが、コネクタやケーブルが肩に当たることがありません。
1770で大きめのコネクタのケーブルを着けると肩に当たったりしますが、Cascadeはそういった心配がないのは良いですね。

Cascade本体

スライダー部

スライダー部は短めです。
人によっては短すぎて頭にフィットしないということもあるかなと思います。
スライダーの下の部分は回転するようになっています。ここは装着感を良くするのに寄与しています。

イヤーパッド

イヤーパッドはふかふかの触り心地でした。
深さも十分ですね。

イヤーパッド

イヤーパッド

イヤーパッドには特徴があって前方に向かって傾斜が高くなっています。
これは音に影響があるのでしょうね。

イヤーパッドの取り外し

ありがたいことにイヤーパッドは簡単に取り外すことができます。
B&WのP7と同じ仕組みになっています。
ちなみにイヤーパッドの上部についている黒いフィルムのようなものがダンパーです。
このダンパーについては後述します。

ケーブル接続部

ちょっとボケてしまって申し訳ないのですが、ケーブルの接続部です。
コネクタはゼンハイザーのHD 800シリーズと同じです。
HD 800の標準ケーブルを取り付けることもできました

ヘッドバンド

ヘッドバンドにはメーカー名が入ってます。

ケーブル

ケーブルも写真で見てみましょう。

標準ケーブル

標準ケーブルは布素材で覆われています。タッチノイズは特にありませんでした。
軽くて柔らかいので扱いやすいですが、絡まりやすいと感じました。

コネクタが曲がっているのは良いですね。
DAPをポケットに入れる場合、まっすぐのコネクタだとコネクタの根元から断線をしたりするのでこの形状はいいと思います。

装着感

装着感はこれまで使ってきた密閉型ヘッドホンの中でも非常に良かったです。
しっかりとホールドされているので頭を振ってもズレることがありませんでした。その割にヘッドホンを着けているという感覚があまりありませんでした。
側圧は密閉型にしては緩めで、長時間装着をしても疲れることはないかなと思います。

音漏れと遮音性

遮音性は1770よりも良かったです。
音漏れは1770と同程度で、電車の中で使う場合は音量に気をつけたほうがいいかなと思います。
しかし、側圧が緩めで長時間の装着にも耐えうる構造なのに、音漏れが少ないのには驚きました。

音量

Cayin i5だと43から50で聴きました。
OPUS #3だと110から120で聴きました。
密閉型ヘッドホンとしては標準的な鳴らしやすさだと思います。
私の経験上、おそらくiPhone単体でも問題ないです。

ダンパー

Cascadeには4種類のダンパーが付属します。
ダンパーによって音質を変えることができるようになっています。
私は4Tというもっとも音を制御するダンパーをつけて聴いたのですが、ダンパーを外した状態のほうが好みでした。

ダンパーを外した状態だと高域がより出るようになりましたし、ナチュラルな聴感を得ることができました。

終わりに

約50時間ほど鳴らしたCascadeを30分ほど聴きました。
1770に比べると低音寄りと感じますが、個人的にはこういうバランスも嫌いではないです。
似ている製品としてはMEZEの99 ClassicsB&WのP7を思い浮かべました。どちらも好きな製品です。
99 Classicsほどウォームな聴感が支配的ではなく、キレも適度にあるのが特徴かなと思います。また、解像力も高いので細かい音を聴くのにも適しています。
ちょうどDT 1770 PROと99 Classicsとの中間の音と感じます。言い方を変えるといいとこ取りということもできると思います。
ただし、音の滑らかさやアコースティックな表現については99 Classicsのほうがいいと感じました。
P7との比較ですが、P7は目立つべき音(楽器)を目立たせるのがうまい製品で唯一無二の特徴だと思っています。
CascadeはP7に比べるともう少しモニター寄りで味つけが濃いとは感じませんでした。
P7よりも音源に対しては素直ですね。

低音については100時間ほど鳴らすとさらにタイトになるという報告もありますので、もしかするともう少しキレが出てくるのかなと思いました。
ただ、低域の量感がひとつの武器にもなっているのは確かで、密閉型のヘッドホンでここまで低域が強い製品は初めて聴きました。

適合するジャンルはロックやメタル系が良いと感じました。
オーケストラものは少し苦手だと感じましたが、繊細さよりも迫力を重視したい人にはオーケストラも合うと思います。
しっとりとした女性ボーカル、ジャズフュージョンは1770と違う聴かせ方をしてくれました。
多少、音源の質が悪くてもそれなりに聴かせてくれるのはB&WのP7と一緒ですね。うまく粗を隠して音楽を魅力的に、楽しく聴かせてくれる製品です。

音以外の点について書くと、ポータブル性がとても高い製品だと感じました。
装着感は良いですし、遮音性も高いです。音漏れについては注意が必要ですが、私は普段から大きめの音量ですし、試聴の時はさらに大きくなるので、普段使いであればそれほど問題はないと思います。

期せずして今回の試聴で初めて感じましたが、Cayin i5よりもOPUS #3のほうが縦のレンジは広いですね。
元々、OPUS #3は高域が少し大げさに出る製品だと思っていましたが、低域にここまで差が出るとは思いませんでした。
OPUS #3のほうが下まで深く沈み込み、高域はよく伸びると感じました。
総合的にCascadeにはOPUS #3のほうがよく合ってました。

最後になりますが、Cascadeはまだ日本で正式に発売されていません。
現時点で購入するならCampfire Audio公式サイトから購入するしかないのでリスクはあります。
個人的には17770と併用するのに良い製品だと思いましたが、いまは予算もない状態なので日本での発売を待ちながら年末あたりにもう一度検討をしたいと思います。

今回は以上です。

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