USB ヘッドホンDAC AMP iFi Audio nano iDSD Black Labelとnano iDSDの聞き比べ

ヘッドフォンアンプ/DAC
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amahikasです。
先日、iFi Audioのmicro iDSDとnano iDSDを聞き比べをしました。
今回はnano iDSDの後継機となるnano iDSD Black LabelをフォロワーのGAAさんからお借りすることができました。
前回の記事では以前から気になっていたnano iDSDとmicro iDSDの違いを確認することができました。
今回も気になっているnano iDSDとnano iDSD Black Labelの聞き比べをしたいと思います。

http://ifi-audio.jp/nanoidsd.html
iFi audio nano iDSD BL
DSD256/PCM384/MQAレンダラー対応3.5mmバランス出力搭載ポータブルUSB-DACアンプ
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聞き比べ環境

聞き比べ環境は前回の記事と同じにしました。
再生機にはMacBook ProのAudirvana Plus 3を使用しています。
ヘッドホンはDT 1990 PROです。
「MacBook Pro→nano iDSDかnano iDSD Black Label→DT 1990 PRO」という構成です。
Audirvanaの設定ですが、アップサンプリングはしないようにしました。
nano iDSD Black LabelとMacBook Proは標準のUSBケーブルで接続しています。
nano iDSD Black Labelの設定ですが、FilterはMeasureにしてあり、DT 1990 PROはDirect端子に接続しています。
nano iDSDはWireworldのUltraviolet7でMacBook Proと接続しています。Digital Filterはスタンダードです。
DT 1990 PROは標準ケーブルを使用しています。

聞き比べに使う音源はいつもと同じ曲です。
主にCDから取り込んだAppleロスレス(ALAC)で、聴きどころについてはこちらを参考にしてくださいませ。

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なお、nano iDSD Black Labelは手元に届いてから100時間ほど鳴らしています。
DT 1990 PROだけでなくDT 1770 PRO、Pinnacle P1、Vision EarsのVE5といった私のメイン機と組み合わせて聴きました。

聞き比べの結果

それでは聞き比べをしていきましょう。

Bisso Baba / Bob James

まずはnano iDSD BL(以下、nano BL)から聴いていきます。
高域がよく目立っています。音質としてはカラッとしていて解像力も高いです。
中域は派手に目立つようなことはありませんが、曲をしっかりと支えています。質のほうも解像力が高く滑らかで好印象ですね。
この曲を聴いていて良いなと思ったのはベース音です。
まっすぐ下に低域が落ちていくというように感じます。低域が跳ねたり、元気すぎるということはなく音源に対して素直かつ正確だなと感じます。
低域の解像力はそこそこですが適度にウォームで聴きやすいです。また、中域がしっかりとしているため、迫力が不足したり、軽い音に聞こえることはありません。

次にnano iDSD(以下、nano)を聴いていきます。
nano BLに比べると高域がやや大人しいです。
中域はnano BLよりも目立っていて相対的に他の帯域よりも量が多いと感じます。
低域についてはnano BLで感じたましたに沈み込むベース音がいまひとつ感じられませんでした。
どちらかというと真下に沈むのではなくフワッと包み込むように広がります。
ピアノとボーカルはnanoのほうが目立ちます。

この曲に関してはnanoのほうが中域が目立ち、nano BLはよりフラットなバランスになっていると感じました。

Rio Rush / Fourplay

この曲も同様の違いを感じました。
中域のギターはどちらも目立って音源通りと感じますが、nanoのほうが少し目立ちます。
nano BLは高域がよく目立ち、シンバルやスネアの音の抜けが良いです。天井が少し高くなったように感じます。
低域の再現性はnano BLのほうが高いと感じます。nanoの包み込むようなベース音も悪くありませんが、焦点が少しぼやけるような感覚もあります。

どちらも整然とした鳴らし方でiFi-Audioの伝統は守られていますね。

At The End Of The Day / Les Miserables

この曲は前の2曲ほどの違いは感じませんでした。似たような違いは感じられますが、違いは小さくなっています。
音場についてはどちらも広く、音源に素直な表現をすると感じました。
不自然に音場が広がることもなく、狭くなることもないという感じですね。
スピード感という点では両方ともやや欠けると感じました。この曲ではオーケストラの弦楽器を聴くのが好きなんですが、もう少し歯切れよく鳴って欲しいなと感じました。

Master of Puppets / Metallica

この曲はnanoも問題なく鳴らせていますが、nano BLのほうが良かったです。
高域が目立つのでシンバルやスネア、ギターリフの音を細かく聴くことができますし、個人的にも好みのバランスです。
低域はnano BLのほうが切れが良いと感じました。結果的にスピード感はnano BLのほうがよく出ています。
中間部のギターソロもnano BLのほうが良かったです。

Flesh and The Power It Holds / Death

もう1曲メタル系を聴いてみました。
ドラムのアタック音の鋭さ、ギターリフの歯切れの良さはやはりnano BLのほうが勝ってると感じます。
ただ、音質もそこそこ良くて情報量が多い曲でもありますのでシンバル音は少し聴き疲れをするかもしれません。
迫力はどちらもよく表現できています。スピード感についてはnano BLのほうが上ですが、nanoも悪くはないです。表現できてるかと言われればイエスと答えます(笑)

Crush / Kelly Sweet

nanoのほうがボーカルは目立っています。
ただ、nano BLのほうが生々しさがあって、ボーカルの質はnano BLのほうが上と感じます。
バックで流れるアコースティックギターはnano BLのほうがよく聞こえます。
ベース音は包み込むような優しさだけではなく切れもあるので、この曲については明確にnano BLのほうが好きです。
nanoはボーカルに他の楽器が埋もれてしまう場面もありますね。

Near the End / Mat Zo

この曲はnanoのほうがいいと感じました。
nanoんほうが中域に厚みがあるので、音場が少し広がります。低域もキレがあるよりも量感があったほうがこの曲には合うと感じました。
nano BLも決してこの曲が合わないというわけではないのですが、nanoと聞き比べると優等生的な鳴らし方になってしまってこの曲の魅力は少し減るかなと思いました。

Jitterbug Love / T.Rex

ちょっと古めの曲を聴いてみます。
どちらも軽快でグルーブ感がよく出ています。
この曲はnano BLのほうが良かったです。高域も低域もキレがあるのでより軽快に鳴らしてくれますね。ベースのキレがいいのでグルーブ感もより出ていると感じます。

A Kind of Magic / Queen

この曲は左右前後に効果音が入るんですが、nano BLのほうがうまく表現をしていました。
全体的にキレとアタック音が強いのがnano BLでした。nanoは聞き比べるとやや大人しい鳴り方に聞こえます。

外観とデザイン

nano iDSD Black Label本体

左から3.5mmラインアウト端子、デジタルフィルター、USBデジタル入力端子です。

nano iDSD Black Label本体

左からiEMatch端子、Direct端子、LED、音量つまみです。
LEDですが、以下の色に点灯します。
DSD 256を再生中:ブルー
DSD 128/64を再生中:シアン
PCM 384kを再生中:ホワイト
PCM 192kを再生中:イエロー
PCM 96l/48kを再生中:グリーン
MQAを再生中:マジェンダ
USB接続待ち:グリーン点滅
バッテリー残量10%以下:レッド
バッテリー切れ且つ充電をしていない:消灯
充電中:ブルー

左がnano BL、右がnano

左がnano BL、右がnano

左がnano BL、右がnano

左がnano、右がnano BL

サイズはほとんど変わりありませんが、nanoには前面と後面にふちがあって角張っていました。nano BLではこのふちがなくなってすっきりとしたデザインになっています。携帯をする上でもnano BLのほうが扱いやすいです。
デザイン的にはnanoのほうが高級感があっていいかもしれませんね。

本体はシルバーから思い切ってブラックに変わっています。
個人的にはどちらも好きですが、なんとなくiFi-Audioの製品はシルバーというイメージがあるので、ブラックは違和感がありますが、慣れの問題だと思います。

入出力端子

nanoとnano BLは入出力端子に大きな変更があります。
まず入力端子用のUSB端子ですが、nanoがType Bだったのに対してnano BLはType A(オス)に変わっています。micro iDSDと同じタイプになったのは良いのですが、USB Type A(オス)だとUSBケーブルの選択肢が少なくなります。microBからType A(メス)に変換をするアダプタも売っていますが、個人的にはマイナスポイントかなと思います。
個人的にはUSB Type-Cに統一をしていって欲しいです。

音声用の端子ですが、nanoは3.5mmヘッドホンジャック、RCA出力端子、SPDIF出力端子の三つです。
nano BLは3.5mmヘッドホンジャック(Direct)、3.5mmヘッドホンジャック(iEMatch)、3.5mmラインアウト端子の三つです。
RCA出力端子とSPDIF出力端子がなくなり、3.5mmヘッドホンジャック(iEMatch)と3.5mmラインアウト端子に変わりました。
この変更はいいと思います。microと違ってnanoは携帯をするタイプの製品というメーカーの思いがより強く反映されたように思います。
3.5mm端子にiEMatchを追加したのもイヤホンを意識したのでしょう。

ちなみにWestone 4RとVision EarsのVE5はiEMatch端子よりもDirect端子に接続をしたほうが好みでした。iEMatch端子だと膜を一枚張ったようなぼんやりとした音になってしまいました。せっかくのキレとアタックの強さが損なわれてると感じます。

デジタルフィルター

nano BLには「Measure」と「Listen」のふたつのデジタルフィルターがあります。
メーカーとしては音楽を楽しむには、「Listen」フィルターを推奨していて、「Measure」フィルターは周波数レンポンスが最適化されていると説明しています。

DT 1990 PROとWestone 4Rを3.5mm Direct端子、iEMatch端子それぞれに接続をして聴いたかぎりではデジタルフィルターに違いを感じませんでした。
一番違いを感じたのはVision EarsのVE5ですが、違いはほんのわずかです。
VE5はDirect端子に接続をして「Listen」フィルターにするのが好みでした。

音量

nano BLは12時30分から1時の位置で聴きました。nanoは1時30分から14時のだったのでnano BLのほうは出力はやや強いようです。
iPhone Xに接続して聴いてみましたが、MacBook Proと接続したときと同じく12時30分から1時の位置で十分でした。

ちなみに3.5mmのiEMatch端子も試しましたが、こちらだと出力が弱くなるので音量を最大にしてもDT 1990 PROだと物足りなさがあります。
Direct端子はヘッドホン用、iEMatchはイヤホン用と使い分けるのがいいかなと思いますが私のように高出力を要求するイヤホンを使っている場合はDirect端子ひとつだけでOKかと思います。
なお、Direct端子とiEMatch端子は排他仕様となっていて、両方にヘッドホンを接続するとDirect端子が優先されます。iEMatch端子からは音が出ませんでした。

それとnano BLの3.5mm端子は3.5mmTRRS四極接続も可能となっています。
iFi-Audio社はこの接続方式を「Sバランス」と呼んでいますが、バランス接続の効果があるかは疑問です。
「3.5mmTRRS四極端子が接続できる」くらいに思っておいたほうがいいかと思います。
個人的にはここまでして「バランス接続」を謳わなくてもいいんじゃないかと感じました。

バッテリー

OPUS #3とnano iDSD BLをUSBケーブルで接続をしてバッテリーの持ちも確認してみました。
17:30から鳴らし始めて翌朝の8時までバッテリーが残っていました。
残念ながらOPUS #3のバッテリーのほうが先になくなってしまいましたが、last.fmの再生履歴から23:15まで再生していたことを確認しました。

6時間の連続再生、電源を15時間つけっぱなしでもバッテリーに残があるところまで確認しました。
まとまった時間が取れなくて限界まで検証をすることはできませんでしたが、毎日充電をしないといけないくらいシビアではないと感じました。

終わりに

音質についてはnano BLのほうが個人的には好みでした。
メタル系についてはnanoのほうが得意という曲もありますが、総合的に考えるとnano  BLですね。
高域は量が増えているというよりも高い帯域まで出るようになっていると感じました。そのおかげで抜けが良くなっていますし、天井も高くなったと感じました。
解像力にはそれほどの違いは感じませんでしたが、全体的にキレが増していて音の立ち上がりが良くなっています。ピアノの音も全体的に良くなっていました。
また、アタック音も鋭くなっているのでドラムとピアノといった打楽器の音が特に良くなっているように聞こえました。
micro iDSDとは聞き比べていないので正確なことは言えませんが、nano iDSDとmicro iDSDを聞き比べたときほどの違いは感じませんでした。
すなわちnano iDSD Black Labelといえどもmicro iDSDには及ばないと思います。

使い勝手ですが入出力端子が携帯性を重視した方向に変わっています。
nano iDSDを携帯して使っている場合、nano BLに買い換えるのは有りだと思います。ただし、nano iDSDを据え置きようとしても使っている場合は注意が必要です。
据え置きメインで使っている場合は、nano BLよりもmicro iDSDがいいと個人的には感じました。
nano iDSD BLとmicro iDSDでは価格差はありますが、音質的な面を考慮すると旧機種になったとはいえ、micro iDSDも良い選択肢だと思います。

今回は以上です。
micro iDSDとnano iDSDの記事も参考にしてみてくださいませ。

USB ヘッドホンDAC AMP iFi Audio micro iDSDとnano iDSDの聞き比べ
amahikasです。 今回は聞き比べです。 2016年にiPhone用にnano iDSDを購入しましたが、前々からmicro iDSDとどの程度の差があるのか気になってました。 いつもお世話になっているTwitterのBeepさんにmi...

 

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